2012年10月18日 (木) 掲載

◎国道沿いの草刈り、機器の刃替えて効率アップ

 【七飯】函館開発建設部は16日、国道沿いの草刈りに使う機器や人員編成を変えることで、従来より5倍効率が上がるとする検討結果を明らかにし、町西大沼の国道5号で実際の作業を公開した。

 これまで草刈り機に使われていたのは「回転歯式」と呼ばれる刃。作業中に小石がはね上げられる可能性があることから、飛び石対策として、ついたてを持つ作業員を配置する必要があった。

 このため、同開建は道路縁石付近の除草方法について、8月から内部の道路維持管理研究会で検討を重ねてきた。その結果、草刈り機の刃を「バリカン式」と呼ばれるタイプに替えると、作業効率が上がることが判明したという。

 バリカン式にはトリマー式と円盤式があり、2種類を併用することで、従来は1日あたり1・4キロメートルだった作業効率が6・8キロメートルと約5倍に。同一区間における作業時間が短く済むことで、1キロメートルあたりにかかるコストは、これまでの3万9000円から1万円にまで縮減される。

 また、バリカン式での作業では、飛び石防止のための作業員を配置する必要がないため、効率的な作業員編成が可能になるという。同開建は、来年度から約40台分を導入する予定で、「今後も効率化を進めたい」としている。(森裕次郎)



◎亀田川にサケ遡上

 函館市内を流れる亀田川で17日、サケの遡上(そじょう)が確認された。函館市梁川町の鍛治橋付近で、同日正午過ぎ、ペアになったサケが水しぶきを上げながら河床を掘る産卵行動がみられ、通りがかった市民も足を止めて物珍しそうに眺めていた。

 1995年から同川流域の環境美化活動を続ける市民団体「亀田川をきれいにする市民の会」前代表の石井満さんによると、99年ごろからサケの遡上が確認されているという。ただ、石井さんは「亀田川で孵化(ふか)したサケが回帰したのではなく、おそらく迷いザケではないか」とする。

 通勤途中にサケの姿を確認した大妻高校講師の時田隆さん(63)は「かつて、亀田川の汚染を調査したことがあったが、サケが遡上するとは知らず、うれしい大発見でした。寒くなる時期まで遡上が続くというので、これからも川が大事にされていけばいいですね」と話していた。(今井正一)



◎国や事業者は責任逃れ、函館市長ら大間凍結要請

 函館市の工藤寿樹市長ら道南の首長らが上京し、電源開発(東京)の大間原発(青森県大間町)建設の無期限凍結を求めた要請活動。道南が一致結束して「ノー」を突き付けたが、政府、事業者とも責任や権限の所在が不透明で、「打っても響かない」(工藤市長)と不満も残った。今後は法的措置を含め、凍結への突破口をどう見いだすか、予断を許さない状況が続く。

 「政府も電源開発も責任をキャッチボールしているようなもの。敵が見えない」。工藤市長は16日、前日(15日)の首相官邸や内閣府、経済産業省、電源開発に対するそれぞれの要請を振り返り、徒労感をにじませた。

 東京での要請活動は3回目。今回は北斗市、七飯町のほか、50キロ圏外の松前町の首長も参加。要請書には渡島11市町長をはじめ、各議会議長、商工団体、漁協、農協、観光団体、町会団体など計61人が名を連ね、オール道南で反対姿勢を示した。

 初参加の石山英雄松前町長は「函館だけでなく、道南全体に関わる問題。津軽海峡のマグロ漁師の不安も大きく、その思いを届けたかった」。松本栄一函館商工会議所会頭も「長年かけて築いた函館の産業、観光、食、ブランドに大きな影響を及ぼす」と、経済人の立場から疑義を唱える。

 一方、国や事業者から明確な回答は得られなかった。工藤市長は「理解はいただけたと思うが、それぞれの立場、立場での発言。真意が見えなかった」と消化不良を口にする。同行した高谷寿峰北斗市長も「いったいどこの誰に言えばいいのか、もやもやは残った」と、責任者の不在に苦虫をかみつぶす。

 市は今後、建設の差し止め訴訟も辞さない構えだが、工藤市長は「私たちは反原発ではない」と述べ、原発論争の照準を「大間」の一点に絞り込む。道南でも盛り上がる市民団体の運動とは一線を画す考えだ。

 「これは政治の責任。一本の筋を通してもらいたい」。超党派の国会議員でつくる「原発ゼロの会」との懇談で、工藤市長はこう啖呵(たんか)を切った。現行法の改正も含め、国政の場での議論拡大にも期待をつないだ。

 「原発ゼロ」を目指す政府方針や、核燃料サイクルの継続、今後策定される新たな安全基準…。大間原発にはこれらとの矛盾や疑問が山積みだ。建設を急ぐ前に、政府、電源開発とも30キロ圏内にある道南への説明責任が求められる。(森健太郎)


◎大間のNPO、函館とのヘリ航路開設検討

 青森県大間町のNPO団体が、函館とのヘリ航空路開設に向けた検討を進めている。民間のヘリコプター会社と組み、早ければ来年春にも開設する構想で、観光振興に加え、建設を再開した大間原発で事故が発生した際の避難路確保などが狙い。ただ、NPO側は函館側のヘリポートとして戸井地区の廃校のグラウンドを想定しており、函館市の対応が注目される。

 ヘリ航路は、同町内のNPO団体「北通りNPO」(野崎信行代表)が計画。野崎代表は取材に対し「原発で事故が起きた際の避難路や急患患者の搬送、マグロ漁船の転覆など災害時に救助できる」とし、今月2〜4日には現地で住民向けの試験搭乗会を行った。

 機体と操縦士は東京のヘリ会社、ミツワエアサービスと提携。同社によると、町内の1カ所を「空港場外離着陸場」として東京空港局などから許可を得たほか、町内の別の1カ所も今後、申請する方針。

 大間と戸井地区の汐首岬は約18キロ。ヘリでの所要時間は10分程度といい、既設のフェリー航路からの大幅な短縮を見込む。

 NPO側は、1998年に廃校した旧汐首小学校(釜谷町)を函館側のヘリポートとして想定し、ヘリ1機を同社と共同保有し、必要に応じて飛行できる体制を整えたい考え。同社は専用機材を探しており、葛生智久代表は「年間の維持費が約3000万円かかる。町民や事業者から年会費を募り、運営費を安くしたい」としている。

 一方、土地を所管する市戸井支所は「今年4月に問い合わせがあったが、具体的な要請は来ていない」と話す。旧汐首小は市の防災計画で、災害など緊急時のヘリ離着陸候補地にリストアップされており、市総務課は「商用利用は想定していない。こちらに話はなく、現段階では何も言えない」としている。(千葉卓陽)


◎附属幼稚園と小学校、「連絡進学制度」導入へ

 道教育大附属函館幼稚園(後藤嘉也園長)と同大附属函館小学校(根本直樹校長)は、園長が推薦することで、希望者全員の小学校入学が確約される「連絡進学制度」を2013年度の入学生から導入する。幼・小・中の12年一貫教育を通し、学校と家庭と地域の連携を深め、教育の充実を目指す。

 従来は附属以外の同小希望者とともに面接などの「入学選考」を受け、希望者全員が入学とはいかなかった。同制度は同幼稚園の園児を附属小へ進学させるもので、これまで同様入学選考はあるが、同小希望者全員の入学が事前に確約される。

 小学校入学時のギャップをなくし、安心してスムーズに学校生活に入れることと、教職員の連携を築き、教育活動の充実を図ることなどがねらい。同園では募集人数を下回る定員割れが発生している現状もあり、園児確保にもつなげていきたい考えだ。同小の定員70人に対し、例年同園からは約9割が同小入学を希望しているといい、今年は卒園児23人のうち19人が入学を希望した。

 文部科学省が幼、小との連携を推進していることなどを受け、同制度の導入を以前から検討していた。同大5校のうち、函館校と旭川校に幼稚園があり、12年一貫教育は函館校が初。

 後藤園長は「研究大会などを通じて地域へ教育の実践例を発信していきたい」と話している。(平尾美陽子)