2012年10月23日 (火) 掲載

◎サメ特産化で一石二鳥、ひやま漁協が試験漁獲へ

 ひやま漁協(本所・乙部町)は今秋、地元では流通の少ないアブラツノザメの活用を図る試験漁獲に初めて取り組む。スケトウダラ漁を妨害する厄介者の駆除とともに、淡泊な白身がかまぼこなどの原料に重宝されていることから、新特産化の販路拡大も視野に力を入れる。

 このサメは、秋から冬場にかけて近海に現れ、100〜150bの水深を好むため、「サメを警戒して肝心のスケトウダラが上がってこない。サメは水揚げしても捨てられるばかり」(漁業関係者)と懸念されていた。

 同漁協が主体となって取り組み、予算約800万円を計上。このうち400万円を桧山振興局が地域づくり総合交付金として補助する。漁は10月15日から始まり、熊石、乙部、上ノ国で計4隻が操業するが、しけが続き、22日現在では上ノ国で2日間計600`の水揚げ。付加価値をつけるために皮をむいた状態の「棒ザメ」にすると200`ほどで、青森県の市場に出荷された。

 同漁協によると、初出荷時は1`約300円で「正月にかけて高値で取引されることが多いので、水揚げに左右するが、これまで嫌われてきた魚が浜の活気づけとして見直される可能性もある」とし、「例年11月中旬から本格化するスケトウダラ漁前の代替漁としても期待したい」とする。

 東北では、アブラツノザメのかば焼きやフライなどのご当地料理も。また、肝機能に効果があるとされるオルニチンなどを含み、健康食としても注目を浴びている。

 桧山振興局も地元での活用策を探り、「白身そのものの味はほとんどないが、煮魚にするといい」(水産課)。山崎峰男局長は「魚群探知機でスケトウダラは確認されているが、サメを嫌って上がってこないと思われる。このサメの駆除が、新特産品化やスケトウダラ漁の盛り上げにつながり、桧山のにぎわいを生むことにもなれば」としている。(田中陽介)



◎道南の食ブランド確立へ、道が相談会と見本市

 地域の食の販路拡大とブランド化を図ろうと、渡島総合振興局と桧山振興局は22日、函館国際ホテル(大手町)で「2012道南食と観光ブランドフェア」を開いた。生産者や食品加工業者が、道内外から集まった目利きのバイヤーから商品改良のアドバイスを受けたほか、地元での消費、利用拡大に向け飲食店やレストランに売り込んだ。

 2015年度の北海道新幹線開業を見据えた事業で、フェアは今年で5回目。これまではバイヤーからアドバイスを受ける個別相談会だけだったが、初の試みとして、地元飲食店にPRする「道南産品見本市」も開いた。

 見本市には食品加工業者など42社が出展。ブースには農産物や菓子、水産加工品などがずらりと並び、来場した流通関係者や地元のレストラン、飲食店の関係者にアピール。

 来場した本通のイタリアンレストラン「ステラ」の小坂龍巳さんは「知らない農産物があり、すぐにでも料理に使えそう。地元の食材を知るいい機会になった」と話していた。

 一方、個別相談会で地元業者はバイヤーと面談。パッケージや量、販売戦略などのアドバイスを受けた。渡島総合振興局商工労働観光課の鈴木一弘課長は「バイヤーの意見を参考にして、商品を全国にどんどん発信していってもらいたい」と話していた。(松宮一郎)



◎市場2食堂、旬の味覚を格安定食で販売

 函館産鮮魚と果実を使った格安メニューの販売が22日、市内2カ所の市場食堂で始まった。600円と普段食べられない低価格とあって、初日から多くの市場関係者らが旬の味覚を楽しんだ。

 市水産物地方卸売市場(豊川町)の「魚いち亭」(佐々木博樹代表)では、天然ブリといけすイカの刺し身、イカゲソ、ご飯、みそ汁のほか、デザートに梨とブドウが付いた。来店者は脂の乗ったブリ刺し、身がコリコリのイカ刺しに満足の様子だった。

 鮮魚と果実の消費拡大に向け、市水産物地方卸売市場魚食普及協議会(松山征史会長)と市青果物地方卸売市場活性化対策委員会(木戸浦静男会長)が連携した初の試み。

 青果市場(西桔梗町)の「十字軒」でも販売し、各食堂1日60食限定。午前7時〜午後2時。24、28日定休。11月2日まで。

 問い合わせは市市場課TEL0138-22-5304へ。(山崎大和)


◎市営競輪売上高180億円

 21日で今シーズンの開催を終了した市営函館競輪の本年度売上額は、開催58日間で180億9078万円で、前年度比32億8771万円(22・2%)の増加となった。初めて開催されたGTレース、高松宮記念杯の効果が売上額を押し上げたが、普通競輪の不振が響き、本年度当初予算からは4億921万円、2・2%下回る結果となった。

 本年度は高松宮杯開催のため、例年開いている函館記念(GV)は行われなかった。

 6月に開催された高松宮杯は103億2603万円を売り上げ、当初予算で見込んだ100億円を上回ったが、普通競輪(FT・FU)の売り上げは77億6474万円にとどまり、予算比で8・7%(7億3525万円)下回ったほか、昨年度比でも5・8%(4億7548万円)減少する結果に。市競輪事業部は不振の要因として「ナイター競輪の開催場が増加し、電話投票が他の開催に流れた。日程は調整しているが、現状ではどうしても重なってしまう」と話す。

 売上区分別では収入の65%を占める臨時場外が118億9321万円で、高松宮杯開催に伴い前年度比32・9%増と大幅に増えたが、当初予算からは0・4%減と、わずかに届かなかった。本場とサテライト松風では計5億2664万円。臨時場外と同様、前年度からは増加したものの予算額には届かなかった。

 市営競輪は2009年度から特別、記念競輪を除いてナイター開催に踏み切っており、「昼間に戻すと競合がさらに激しくなる」(同部)としてナイター開催を続けていく方針。昨年度決算で6億685万円ある累積赤字の圧縮に向け、同部は「他場の場外発売に力を入れ、単年度黒字を目指したい」としている。(千葉卓陽)


◎補助金、事業費の原則2分の1以下に、検討委が提言書

 函館市の補助金適正化のあり方を審議する検討委員会(奥平理委員長)は22日、補助金支出に関する提言書をまとめ、工藤寿樹市長に提出した。ガイドラインの策定と、適正さや費用対効果を検証する第三者委員会の設置を柱に、各種行事や団体に対する支出額を総事業費の原則2分の1以下とするよう求めた。

 提言書では、補助金交付の統一基準として@公益性A必要性B公平性C自主性D透明性E有効性—を定めた。統一したルールづくりに向けて交付規則の改正を求めるとともに、補助割合を原則として事業費の2分の1以下とした。また、繰越金が発生した場合は翌年度の補助金減額や廃止、既得権化を防ぐために補助期限の終期を定め、自立した運営を要求している。

 市財務部によると、本年度で234件、総額21億7500万円支出している補助金のうち、総事業費に対する補助金の割合が50%以上を占める事業は市社会福祉協議会(1億3352万円、90・5%)、港まつり開催(2450万円、70・2%)など20件ある。ただ、総事業費の2分の1以下は「原則」とすることで、弾力的な運用も可能としている。

 工藤市長は第三者委員会について、行財政改革も含めたチェック機関とする考えを示すとともに「自分の目で見てもいいのかと思う補助金はあるが、市民のさまざまな意見を聴きながら、外部委員にチェックをお願いしたい」と述べた。

 市は要綱をまとめた上で、2013年度の予算に反映させる方針。奥平委員長は「補助金はあくまで市税から出ているもの。税金の使い道や有効性に関して、意識を持って市民に見てもらうきっかけになれば」と話した。(千葉卓陽)