2012年10月25日 (木) 掲載

◎奥尻でハチミツ生産へ

 【奥尻、江差】桧山振興局(山崎峰男局長)は地域振興策として、奥尻町でミツバチの飼育事業に来年度から取り組む。病害などを受けにくい離島ならではのメリットを生かし、高級ハチミツの生産を目指す。本年度は対岸の江差町で試験飼育に成功、11月上旬に同振興局で江差産ハチミツを販売する。

 桧山振興局の独自事業で、関連経費40万円を予算要望する。温暖な気候と、ハチミツの味わいを決めるニセアカシアなどがあることから、奥尻での計画を組んだという。

 離島でハチが遠方へ逃げず、他地域から病気を持ったハチが入りづらいことから、「健全な女王蜂を育てやすい。優良なハチの供給として、奥尻が国内では唯一の産地になる可能性もある」と同振興局農務課。また、奥尻はワインづくりが盛んで、このハチをブドウの花粉交配に活用することも期待される。

 事業は北海道養蜂協会道南地区組合の協力で、長期的に専門的な助言・指導を受ける。学術研究機関とも連携し、全国的に希少な高品質の女王蜂の配給システム構築にも力を入れたい考え。

 江差での試験飼育は順調で、紀井親浩・農務課長は「この冬がターニングポイント。ビニールハウスで越冬できるかどうかしっかり見守りたい」とし、「江差でできたハチミツの味は、一般的なものより糖度が若干高く、食べやすい。奥尻でもいいハチミツができると思う」としている。

 同振興局によると、来年4月下旬から5月の連休明けに奥尻へ江差で越冬したハチが送られる予定で、約120キロのハチミツの収量を見込む。同振興局は、事業の具体的な計画や管理者などを道へ1月1日までに提出するため、奥尻町側と早急に協議を詰めるという。

 江差産のハチミツは、180グラム瓶詰め、1000円で50〜60本を、同振興局売店で販売する予定。(田中陽介)



◎豊かな海へ、恵山地区で苗木500本植樹

 水産資源の豊かな海を育もうと、山林に樹木を植える「恵みの森づくり植樹会」が24日、函館市柏野町の市有地で行われた。恵山地区の小学生や漁業関係者ら約150人が参加し、ミズナラなど広葉樹の苗木500本を植えた。

 水産資源の枯渇を防ぐため、合併前の東部旧町村がそれぞれ行ってきた植樹活動を市が引き継ぎ、2005年度から全市的に行っている。昨年からは児童らが山で拾い集めたドングリで苗木作りも手掛けている。

 植樹場所の市有地(0・25ヘクタール)は、昨年度も植樹したが、エゾシカによる食害が目立つため、今回は市有地の周囲を高さ約2メートルの防護ネットで覆った。苗木はミズナラ220本、カシワ230本、クリ50本を用意した。

 この日はえさん小5、6年生や市内5漁協の関係者らが参加。子どもたちが「きれいな空気にしてください」などと書いたメッセージ入りの紙製ポットを土に植えた。同小5年の九村未夢(みゆ)さんは「山と海がつながり、自然が豊かな恵山になってほしい」と話していた。(森健太郎)



◎戸井ブリフェア始まる、19店で多彩な料理

 函館市戸井地区に揚がる天然ブリの消費拡大を目指す戸井漁協(森祐組合長)と函館魚市場(松山征史社長)主催のフェアが24日、市内の飲食店19店舗で始まった。ブリを使った多彩な料理が楽しめる。11月2日まで。

 一本釣りの戸井産ブリは、船上で素早く締めて血を抜き、氷水に浸けて鮮度を保つ。これにより生臭さが消え、刺し身は絶品。9月に銀座三越(東京)で開かれた催事での販売好調を受け、地元でもPRしようと初めて企画した。

 五稜郭タワー2階の「四季海鮮 旬花」(小林真実社長)では、あぶりと水菜のおろしポン酢あえ(520円)、豆乳しゃぶしゃぶ(820円)など5品を販売。ブリのうま味が出て、お客から絶賛される。

 ほかの店舗は次の通り。

 レストランポルックス(高松町)、季節居酒屋ひろべ(桔梗町)、旬酒肴兎月(本町)、ホテル函館ロイヤル(大森町)内の中国料理ぎょくらん、カフェ&レストラン キューカンバーツリー、和食処・寿司処きたまえ船、チャイニーズキッチンうじはん(宝来町)、レストランToui(若松町)、Sleek hakodate cuisine(本町)、大門一番地大漁酒場マル波商店(松風町)、グルメ回転ずし函太郎の宇賀浦、五稜郭公園、上磯、美原の各店、回転寿司函館まるかつ水産の柏木店、本店(豊川町)、函館まるかつ水産いかいか亭(同)、はこだてビール(大手町)(山崎大和)


◎「エゾシカ焼き肉」商品化

 エゾシカ肉の卸・販売業「北海道産ファーム」(函館市米原町、澁田孝代表)は、函館産エゾシカのモモ肉を塩だれに漬け込んだ「函館塩焼き肉」を開発した。自社加工の製品化第1号で、肉の柔らかさが売り。北海道のアンテナショップ「どさんこプラザ」で今月から販売している。

 くくりわなで捕獲したシカを、自社の食肉処理場で素早く枝肉にし、冷温で熟成。鮮度が抜群に良いため、上質な肉を使えるのが特徴。さらに特製の塩だれに漬け込むことで、柔らかさが増す。通常のシカ肉加工品は生臭さを和らげるため、しょうゆ、みそを使って濃い味付けをするのがほとんどで、塩だれ製品は珍しいという。

 改良を重ね1年以上かけて完成させた自信作。澁田さんは「捕獲から製品製造まで全て自社で手掛けており、安全も保証できる。シカ肉本来のうま味を知ってほしい」と話す。

 価格は215グラム入り714円、300グラム入り840円。販売は同プラザ(札幌、名古屋、東京)のみ。今後、地元スーパーなどでの販売も視野に入れ、販売促進に力を入れる。

 問い合わせは同社TEL0138・85・8711へ。(山崎大和)


◎社民・福島党首と市長が懇談、大間凍結に賛同

 脱原発を掲げる社民党の福島瑞穂党首が24日、函館市役所を訪れ、工藤寿樹市長らと大間原発問題について懇談した。福島党首は無期限建設凍結を求める函館市など道南の主張に賛同する意向を示し、「建設中止に向けてともに力を合わせていきたい」と語った。

 23日に大間原発と六ヶ所村の再処理工場を視察し、24日に函館入り。懇談では同党の阿部知子政策審議会長らも出席した。

 原発工事の進捗(しんちょく)率が37%であることから、福島党首は建設中止に引き返せると指摘。実際に大間を視察した印象については「風がとても強く、万が一事故が起きると函館への被害がとても大きいのでは」と懸念を示した。

 工藤市長は「国と電源開発に提出した要請書には道南11市町すべてが名を連ねている」と、道南の団結姿勢を強調。「青森市よりも距離が近いため、恐怖感は道南側が圧倒的に強い」と訴えるとともに、「道南の力だけで大間の問題は止められない。支援をいただきたい」と協力を求めた。

 阿部氏も危険性に言及し、「周りに遮断するものがなく、事故が起きた場合のリスクの大きさを感じた。立地が悪すぎるため、立地指針の見直しも必要」と語った。

 福島党首は今後、専門家が原発周辺に活断層があると指摘していることに対し、原子力規制委員会に現地調査を確実に実施するよう国政の場で働き掛けることなどを約束した。

 懇談後、福島党首は工藤市長と対岸越しの大間原発を本庁舎8階から眺め、記者団の質問に対し「目と鼻の先にあると痛感した。函館市民が恐怖や不安を感じるのは当然」と答えた。市が検討を進めている建設差し止め訴訟については、「そこまで決断しなくていいように国会で頑張りたい」と述べた。(後藤 真)