2012年10月27日 (土) 掲載

◎市営競輪キャラ「りんりん」活動継続へ

 本年度の入場者数が目標に達しなければ、引退に追い込まれる市営函館競輪のPRキャラクター「りんりん」が活動を継続することが26日、決まった。終盤にインターネットの交流サイトでの応援が急増し、崖っぷちからの逆転劇。ただ、実際の来場者数だけでは目標に届かず、りんりんは「充電期間」として来年5月まで表舞台から退くことになった。

 「りんりん」はクマの競輪選手という設定のゆるキャラ。誕生から30年近くが経過し、知名度や存在感が薄れかけていたが、減少傾向にある函館競輪の入場者数や売り上げの回復に向けて、今年4月、特別な任務が与えられた。

 与えられた試練は、今季の来場目標10万2477人を達成できなければ活動休止—というキャラの存亡を懸けたもの。街頭でのチラシ配り、ダンスの特訓、場内食堂でりんりん定食のメニュー化…。今季は例年になく市内の催しに積極参加し、PRに奔走した。

 その一つが、フェイスブックやツイッター、ニコニコ動画といったネット上のソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)を活用した広報活動。苦境に立たされるりんりんへの応援の輪は急速に全国に広がり、メディアからの取材も相次いだ。

 今季の開催は21日で終了し、実質の来場者は9万1435人にとどまった。ただ、10月上旬にネット上の激励コメントなどを遠方からの入場者とみなす“特別ルール”を適用。最終的にはそれらの2万4469人を加え、計11万5904人と目標を上回った。

 26日には同競輪場でりんりんと同競輪場の広報担当者が記者会見し、11月から来年5月までの充電期間について「目標より1万人以上不足する事実を真摯に受け止めて反省し、いったんこもって新たな力をつけて挑むことが必要」と説明、7カ月後の復活を誓った。

 市競輪事業部は「りんりんを通して多くの人が函館競輪に興味を示してもらい、一定のPR効果があった」と話す。りんりんは今季の活動でぼろぼろになった靴底を見せ、最後に手書きのメッセージで訴えた。「人生はゆるくない。けど、がんばればなんとかなる」(森健太郎)



◎仮想空間でイカが函館観光案内 未来大学生が制作

 公立はこだて未来大(中島秀之学長)の学生15人が、函館を象徴するイカのキャラクターが仮想空間内で観光案内をするコンテンツを制作した。観光地に行かなくても、函館山からの夜景などが手軽に楽しめる。

 室蘭工業大との学術交流の一環として、同大で開発されたバーチャルリアリティ(VR=仮想現実感)システムを未来大が導入、3年生のプロジェクト学習で取り組んだ。

 プロジェクトリーダーの川又康平さん(21)=情報デザインコース3年=によると、函館のキャラクターを巨大イカの怪物「クラーケン」の子ども「クラちゃん」、室蘭のキャラクターをホエール(クジラ)から「ホーくん」と設定した。

 函館版では未来大キャンパスを皮切りに五稜郭タワー、五稜郭公園のサクラ、夜景を、室蘭版では室工大キャンパス、地球岬、白鳥大橋(夜景)を楽しむことが可能。いずれも2体のキャラクターが案内、両方合わせて約10分間。専用メガネとペン型の入力装置などを使う。

 担当教員の迎山和司准教授は「成果物として、紙の観光パンフレットにスマートフォンをかざすとキャラクターが出てきて説明してくれる飛び出す絵本の電子版≠竅AVRシステムそのものを発展させてキャラクターと一緒に遊べる電子水族館≠、年内に完成させたい」と話している。(山崎大和)



◎道南菓子一堂に 会場に甘〜い香り フェスタ開幕、あすまで

 道南の菓子を一堂に集めて販売する「はこだてスイーツフェスタ2012」(実行委主催)が26日、函館市若松町の棒二森屋本館7階催事場で始まった。道南や青森の25店・団体が参加し、甘い香りに包まれた会場は大勢の女性客らでにぎわっている。28日まで。

 地元スイーツの消費拡大を目的に今年で3回目。出店数は昨年より5店・団体減ったが、札幌の老舗菓子店「菓子の樹」のほか、弘前商工会議所の主催で、実演販売を含む弘前市内の菓子店7店舗のアップルパイが初登場した。

 会場には彩り豊かなケーキや和菓子がずらり。今年はカボチャやクリなど季節感あふれる限定商品や、9月に開催した地元食材を使った「はこだてスイーツコンテスト」の出品作もお目見えし、熱心に品定めする女性の姿が目立った。

 若山直実行委員長は「函館スイーツのおしいさを多くの人に知ってもらい、新幹線開業に向けてアピールしたい」とPR。市内桔梗の家事手伝い斉藤晃子さん(21)は「一度にいろいろな味を楽しめるのがいい。目移りしてしまう」と笑顔だった。

 3日間の期間中は1万5000人の来場を見込む。午前10時〜午後7時(最終日の28日は午後4時まで)。(森健太郎)


◎9月の道南雇用情勢 有効求人倍率0・6倍 19年ぶり高水準

 函館公共職業安定所は26日、渡島・桧山管内の9月の雇用失業情勢を発表した。有効求人倍率は0・60倍で、前年同月より0・09ポイント上昇し、28カ月連続で前年を上回った。有効求人倍率が0・6倍台となったのは、0・62倍だった1993年4月以来、19年6カ月ぶり。求職者数の減少や有効求人数が増えたことで高い水準となった。

 ただ、基調判断は「先行きは不透明な状況ではあるが、持ち直しの動きを続けている」と6カ月連続で据え置かれた。

 新規求人数は、同9・3%減の2096人と3カ月ぶりに前年同月を下回った。減少は前年同月にあった飲食サービス業の大量求人がなくなったため。

 ただ、新規求人数自体は高い水準で推移。新幹線関連工事で人手不足となっている建設業が同57・0%増の214人。製造業が同16・6%増の239人。サービスが同13・5%増の236人だった。

 雇用の先行指標となる新規求人倍率は、前年同月と同じ1・03倍。新規求職者数は同9・6%減の2027人で11カ月連続で前年を下回った。求人数が多いことから、在職者の求職活動が増加した。

 合わせて発表した来年3月の高校卒業予定者の求人倍率は、前年同月より0・06ポイント高い0・42倍だった。求職者数1130人に対し、474人の求人があり、うち224人の就職が決まった。9月末時点での就職決定者、就職率はいずれも前年を上回った。(松宮一郎)