2012年10月28日 (日) 掲載

◎函館観光、バーチャルでも楽しむ 未来大が初のツアー開始

 公立はこだて未来大(中島秀之学長)の学生5人が、観光情報を「Augmented Reality(AR、拡張現実)」という技術を駆使して提供するコンテンツを制作し、初のツアーが27日、函館市元町地区で行われた。参加者は、現実環境に付加されたバーチャルな情報を楽しみながら名所を回った。

 3年生のプロジェクト学習で、鈴木昭二准教授が担当。ツアーではリーダーの岸野亜理沙さん(22)、佐藤正徳さん(44)、淡路拓也さん(20)、濱登強さん(20)=いずれも情報アーキテクチャ学科3年=が市内の高校生、大学生14人を案内した。

 市地域交流まちづくりセンターを出発し、東本願寺函館別院、函館ハリストス正教会、旧函館区公会堂、ペリー提督の銅像、元町公園に至るコースで、参加者に「iPad(多機能携帯端末)」8台を貸与した。

 ARアプリを通し、例えば昼間に360度の函館山からの夜景が堪能できるなど、現実にはない世界を楽しめる。岸野さんは「情報をじっくり読んでくれた人もいて、楽しんでもらえたと思う。観光にどう生かせるか調査を重ね、実用化できれば」と話す。

 ツアー第2弾を11月11日、同地区で10〜20代を対象に実施。参加無料。申し込みはhttp://i−styles.net/ar2/で。(山崎大和)



◎渡り鳥 決死の旅立ち 松前・白神岬

 【松前】北海道最南端の松前町白神岬周辺で、本州方面を目指す野鳥の渡りがピークを迎えている。無数のヒヨドリが飛び立つ圧巻の光景が、自然のドラマを演出している。

 日が昇り始めた27日午前6時50分ごろ、数百羽近い群れが「ピーピー」と鳴きながら海岸沿いの国道上空を旋回。やがて一斉に海へと飛び立った。これを皮切りに別の群れも続いた。

 次の瞬間、群れは一斉に引き返した。力尽きれば死が待ち受ける大海原を目の前に、ためらっているようにも見える。しかし、やがて覚悟を決めたかのように再び飛び立ち始めた。多くの野鳥愛好家は「頑張れよ」とつぶやきながら、盛んにカメラのシャッターを切っていた。

 北斗の大島弘子さん(74)は「渡りは感動のシーン。今日も素晴らしい光景を撮影することができた」と満足げだった。 (長内 健)



◎三角帽子にマント…仮装の子ども、まち彩る 本町・五稜郭地区の商店街でハロウィーンイベント

 31日のハロウィーンにちなみ、市民が仮装しながら函館市本町・五稜郭地区の商店街を歩く「ハッピー・ハロウィン・ワンダーランド」が27日、本町地区一帯で開かれた。思い思いに仮装した親子連れら約500人が参加し、繁華街をカラフルに彩った。

 五稜郭商店街振興組合(中里好之理事長)が、商店街の活性化を目的に企画。地域内の5店舗に設けられたチェックポイントをめぐり、ゴールすると菓子などがもらえる。

 受付場所のシダックス函館五稜郭クラブ前では、三角帽子をかぶり、カボチャをイメージしたオレンジ色のマントを身にまとった子どもたちで行列ができた。受け付けを済ませると街へと飛び出し、各チェックポイントでは「ハッピーハロウイーン」と元気に合い言葉を言い、スタンプをもらっていた。

 市内富岡町から参加した佐藤愛優さん(10)と斉藤万里菜さん(10)は、三角帽子にドレスを着こなして参加。「街なかを仮装して歩くのは初めて。本当の魔女になったみたいで、とても楽しかった」と満面の笑み。同組合の大坂昭夫常務理事は「予想以上に来てくれた。来年以降も続けていきたい」と手ごたえを感じ取っていた。(千葉卓陽)


◎函館盲聾教育後援会 創立100年祝う 伝統を基に一層の充実を

 視覚や聴覚に障害のある子どもへの教育支援を行っている「函館盲聾(もうろう)教育後援会」(若山直会長、会員390人)の創立100周年記念式典が27日、五島軒本店(末広町)で開かれた。先人が築いてきた伝統を基礎とし、次の100年に向けて盲ろう教育を一層充実させることを誓った。

 若山会長は「新しい時代をつくるため、皆さんから意見を聞いて活動を進めていきたい」とあいさつ。函館市の山本真也教育長、函館文化会の安島進会長が祝辞を述べた。

 活動に尽力した11個人・団体に感謝状を贈呈したほか、記念事業として「ヘレン・ケラー生誕130周年記念展」の開催、函館盲唖(もうあ)院跡地(元町)への案内版設置、100周年記念誌「愛之友」の発行について報告があった。

 感謝の意を込めて、道函館盲学校中学部3年の和田友実さん(15)がショパン作曲「黒鍵」をピアノ演奏した。

 1912年に前身の函館盲唖院後援会が発足。54年に現在の名称に改め、道函館盲学校(木村浩紀校長、11人)、道函館聾学校(大井川学校長、12人)の子どもたちへ支援を続ける。  小笠原愈副会長の記念講演や祝賀会もあり、約100人が出席した。(山崎大和)