2012年10月30日 (火) 掲載

◎列車火災想定、青函トンネルで防災訓練

 【福島】JR北海道函館支社は29日、列車火災を想定した「青函トンネル総合防災訓練」を同トンネル(全長53・85キロ)内の吉岡海底駅で行った。

 今回が51回目の訓練で、同駅では2010年以来。JR貨物や道警函館方面本部など、8つの関係機関から約150人が参加した。

 訓練では、函館発青森行き臨時列車(6両編成)が知内駅を通過後に1号車のデッキから出火し、消火設備のある吉岡海底駅で停車。2人のけが人を想定した。

 車内で煙が上がるのを目撃した乗客は非常ボタンを押し、車掌らが乗客を安全な車両まで避難させた。初期消火不能と判断し、吉岡海底駅まで走行。乗客を同駅ですぐに避難させ、救急隊員が負傷者を担架で搬送し、消防士が放水した。その後は現場検証や現地対策本部での情報収集も行っていた。

 同支社の鈴木理夫次長は「各関係機関が協力してスムーズにできていた。今後も安全安心の確保のための対策に努力してほしい」などと講評した。(柏渕祐二)



◎市電カレンダー人気

 函館市企業局交通部は、函館市電の写真をあしらった2013年版「函館の路面電車カレンダー」を販売している。四季折々の函館の街並みを走る市電の写真が毎月楽しめ、1日の発売以来、約670部が売れる人気ぶりだ。

 公式カレンダーの発売は今年で3年目。A2判2つ折りの壁掛け用(1260円)と、約10センチ四方の卓上用(525円)の2種類ある。市交通部の全面監修で、市内の印刷業、阿部綜合(そうごう)印刷(港町1)が出版した。

 市内の写真家、野呂希一さんが撮影した2012年の写真が中心。冬の除雪車「ササラ電車」に始まり、春のサクラ、夏の港まつり、秋の夜景など四季を彩る運行中の市電の写真が並び、「撮影は一切やらせなし」(同部事業課)というこだわりだ。

 13年に迎える市電開業100周年記念グッズとしては第1弾で、表紙や6月29日の100歳の誕生日には記念ロゴも付く。同部によると、発売前から全国から問い合わせが相次ぐ人気商品で、「毎年楽しみにしているファンも多い。観光PRに役立て、100周年を盛り上げたい」と話す。

 同部駒場乗車券販売所(駒場町)のほか、JR函館駅や五稜郭タワー、函館空港など市内9カ所で販売中。送料290円で全国配送もできる。問い合わせは同課TEl0138-32-1730。(森健太郎)



◎日韓観光振興協議会、「課題」超え交流促進

 日韓両国政府が観光分野の協力について話し合う「日韓観光振興協議会」が29日、函館市内のホテルで開かれた。竹島問題や原発事故の風評被害などを念頭に、両国間にある課題を超えて交流を推進していく考えで一致した。また、2013年の日韓間の交流人口の目標を700万人にすることでも合意し、確認文書を取り交わした。

 同協議会は1986年から毎年交互に地方都市で開催しており、今回で27回目。函館市での開催は初めてで、市が誘致活動をしていたことで実現した。道内では98年に札幌市で行われて以来。

 観光当局の局長クラスの会議で、観光庁の加藤隆司審議官、韓国文化体育観光部観光産業局の慎庸彦(シン・ヨンオン)局長をはじめ、両国の政府や自治体、観光・旅行業界から約60人が出席した。

 議事では国や道、市がそれぞれ観光振興の取り組みを紹介。議題の「地方観光の活性化を中心とした日韓観光交流の促進」について意見交換した。

 竹島問題や東日本大震災、原発事故の影響で観光客が減少したことを受け、「両国間の課題の状況にかかわらず、交流が推進されることが望ましい」としたほか、2013年の交流人口の目標を、10年の546万人を大きく上回る700万人に設定。風評被害の払しょくに向けた対策や、13年を「日韓地方観光交流元年」とすることでも合意した。

 終了後、加藤審議官は「観光交流を円滑に進めることがいい関係を築く一つの方法」と述べ、慎局長は「観光客を地方に分散させることに力を入れたい」とした。韓国側は28日に来日し、市内の観光地などを視察。30日に帰国する。(松宮一郎)


◎次期衆院選、「国民の生活が第一」が道8区に独自候補擁立へ

 新党「国民の生活が第一」が、次期衆院選で道8区(渡島・桧山管内)に独自候補を擁立する意向を持っていることが29日、分かった。

 複数の関係者の話を総合すると、生活の小沢一郎代表が29日午前、新党大地・真民主の鈴木宗男代表と国会内で会談し、8区に候補を擁立する方針を伝え、支援を要請した。候補には渡島管内出身の、小沢氏の女性秘書が取りざたされている。

 新党大地・真民主は7日に鈴木代表が函館入りし、8区での独自候補擁立を視野に関係者と協議。鈴木代表は「大間原発(青森県大間町)の問題も十分な争点になる」と指摘していた。小沢氏の事務所は取材に対し「事実関係を把握していない」とするが、大地関係者は「連携も含めて今後、生活と話し合っていくのでは」と話している。

 道8区には民主党現職の逢坂誠二氏のほか、自民党新人の前田一男氏、共産党新人の高橋佳大氏が出馬を表明している。(千葉卓陽)


◎電源開発が質問状に回答へ、工藤市長会見で

 大間原発(青森県大間町)の建設工事再開問題で、函館市の工藤寿樹市長は29日の定例記者会見で、事業者の電源開発(東京)に手渡した質問状に関し、今月末に同社から回答が寄せられるとの見通しを明らかにした。

 工藤市長は今月15日、周辺自治体の首長らとともに電源開発本社(東京)を訪問した際、▽原子力規制委の新たな安全基準が未定なのに、なぜ工事を再開するのか▽核燃料サイクルが確立されていない中で建設・稼働させる理由は▽事故が起きた場合の被害想定や対策は—など、10項目の質問状を公文書として手渡し、今月末までの回答を求めている。

 会見で同市長は「(電源開発が)回答を持参したいという話だが、現段階では責任ある立場の方ではないようだ」と説明。市は会談を公開することや、責任を持つ役員レベルの来訪を求めているが、同社側は非公開とする姿勢を崩しておらず、現段階で双方の折り合いはついていない。

 同市長はまた、29日から始まった臨時国会に触れ、「原発に関して思いを持つ国会議員がどう活動するか、推移を見守りたい」と言及。超党派の国会議員などでつくる「原発ゼロの会」などから国会への出席を求められた場合に応じる考えを示し、「大間原発問題は最優先」と述べた。

 市が原告となっての差し止め訴訟に関しては「どうしようもない時に検討する。準備は進めているが、そこに至らず解決するのが一番いい」と話した。(千葉卓陽)