2012年10月6日 (土) 掲載

◎夜の施設に興味津々 カルチャーナイト 工場見学やホタテ解剖体験も

 文化・教育施設などを夜間開放する「はこだてカルチャーナイト」(実行委主催)が5日、函館市内各所で開かれた。食品工場や公共施設など普段は夜に入ることができない場所を訪れた多くの親子連れが、見学や体験プログラムを楽しんだ。

 初参加4企業・団体を含む38団体が参加。市内27会場で行われた。このうち道南食品(千代台町)では、参加者がキャラメルの製造工場を見学。

 キャラメルが次々と流れる光景に参加者は興味津々。通路にあるボタンを押すと、出来たてのキャラメルが出てくる仕掛けもあり、子どもたちは歓声を上げていた。函館駒場小4年の京谷朱莉さんは「キャラメルが流れてくるところが面白くて勉強になった」と笑顔を見せていた。

 市臨海研究所(大町)では、道総研函館水試(湯川町)の職員が講師となり、ホタテ解剖教室が開かれた。小学生ら約30人が虫メガネやピンセットを使って心臓、外套膜(がいとうまく)、エラを取り除く作業に挑戦。子どもたちはホタテの血液が透明なことや、目が光って60〜80個もあることを知り驚きの声を上げた。函館昭和小5年の戸ノ崎あゆみさんは「ピンセットでホタテの体に触れるところが楽しかった」と目を輝かせていた。

 市役所では、茶席や市電の運転疑似体験、日銀函館支店のブースが設けられたほか、市長室や議場など庁舎内の見学ツアーも。参加者は市長の椅子に座って記念撮影するなどして非日常の体験を楽しんだ。(松宮一郎、山崎大和、森健太郎)



◎「月下美人」咲く 七飯の土田さん宅

 【七飯】町鳴川の土田恭治さん(85)宅で4日夜、月下美人が花を咲かせた。今シーズン2度目となる開花に土田さんは喜んでいる。

 月下美人は、メキシコ原産のサボテン科の植物。1シーズンに数回、夜に花を咲かせるが、花言葉「はかない美」の名の通り、翌朝までにしぼんでしまうことで知られる。

 この日、土田さん宅の玄関先では、午後9時半頃からつぼみが開き始め、午後10時過ぎに、10輪の美しい白い花が満開に。大輪の花からは、甘い香りが漂った。

 月下美人を育てて約30年になる土田さんだが、今回は、今までで最も花の数が多いという。土田さんは「2日前から、つぼみが持ち上がって来たので、『そろそろだ』と待機していた。とてもうれしい」と話していた。(森裕次郎)



◎大間原発建設再開「反対」 市役所周辺でデモ

 大間原発(青森県大間町)の建設再開問題で、函館市民らが5日夜、あんどんを持って市役所周辺をデモ行進、電源開発(東京)への怒りをあらわにした。

 市役所周辺で毎週金曜夜に繰り広げられる脱原発を目指すデモ(通称・デモ金)で、建設再開後は初めて。約70人を前に、呼び掛け人の一人、ピーター・ハウレットさん(57)は「大間から日本、世界の原子力の矛盾が見えてくる。止められるかどうかは私たちの行動に掛かっている」と語気を強めた。

 市内谷地頭町の編集業、加納諄治さん(65)は「原子力規制委員会の新基準ができるまで、建設を待つというのが常識だ。造っても(審査に適合せず)止まるのならば、建設費が無駄になる」と批判した。

 参加者は「大間原発はいらない」「市長の凍結宣言応援します」などと掛け声を上げ、対岸から反対し続けることを誓った。(山崎大和)


◎ホタテ採苗不良原因判明「2月の餌が少量」「エルニーニョ年」 函館水試の馬場主査ら

 噴火湾のホタテ養殖での採苗不良が、2月の餌の量が少ない年に起きていて、ペルー沖の海水温が平年よりも高くなるエルニーニョ年に起こりやすいことを、道総研函館水試(湯川町)の馬場勝寿主査(48)らが研究で解明した。採苗良否の予測が可能となり、経営計画を策定する漁業者に役立つことが期待される。

 噴火湾のホタテ養殖は、種苗(養殖用稚貝)を採る「天然採苗」から始まる。卵はふ化後、0.3ミリほどに成長すると、足糸(そくし)という粘着性の糸を出して物に付着。この生態を利用し、漁業者は採苗器(棒網)を使い、6〜7月に稚貝を採取する。

 ところが、天然環境下のため、採苗数(採れる稚貝の数)の年変動が非常に大きく、1992〜2012年の20年間に採苗不良になった年が7回あった。採苗器100c当たり最低2000個の稚貝付着が必要とされる中、100個(98年)という極端に少ない年もあれば、過去最高となる約25万個(11年)も採れた年もある。採苗不良年は他海域から種苗を購入せざるを得ず、経費負担が経営に重くのしかかる。そこで、同水試が原因解明と対策の研究に着手した。

 成果によると、採苗不良は生殖巣が発達する2月の餌量が少ない年、春にエルニーニョ発生中の年に起こりやすい。エルニーニョの反対ラニーニャ年には、母貝の成長不良が起こりやすいことも分かった。

 同水試は2月の餌量から、今年は100グラム当たり2.7万個と良好な稚貝付着を予測したところ、結果はほぼ的中の2・1万個。採苗予測を、同水試ホームページで見られる「噴火湾ホタテガイ情報」によって全養殖漁業者に知らせる。

 馬場さんは「情報の発信だけではなく、漁業者からのフィードバックを受けて新規研究の立案に役立っている」と話している。(山崎大和)


◎高龍寺 「龍図」など貴重な20点 7日まで宝物展

 函館市船見町の曹洞宗高龍寺(永井正人住職)で5日、所蔵する貴重な書画約350点の一部を公開する「第7回高龍寺宝物展」(実行委主催)が始まった。今回のテーマは「描かれた龍と生物たち」。留萌市出身で、多くの寺で襖絵(ふすまえ)を制作する佐藤雅氏が描いた「龍図」など20点を見ることができる。7日まで。

 寺が所蔵する作品を「地域との縁」とし、江戸時代から続く縁を市民に見てもらうことで、寺に親しみを持ってもらおうと開催。佐藤氏の「龍図」は2001年に寺に収められた墨書で、縦約124a、横約160aに書かれた龍は、静かな面持ちながら躍動感にあふれている。

 このほか、蠣崎波響の「鶴亀図」、狩野周信のびょうぶ絵「花鳥人物図」や、作者不詳で天保5(1843)年に書かれた「釈尊一代絵図伝」の第1〜4巻などがあり、来場者は「見ごたえのある作品ばかり」と見入っている。

 入場無料。午前10時〜午後5時。このほか高龍寺では6、7の両日、「金毘羅尊天例大祭」が開かれる。問い合わせは同寺TEL0138-23-0631。(山崎純一)