2012年10月8日 (月) 掲載

◎ビブリオバトル 未来大で人気

 お気に入りの本を紹介し合い、読みたくなった本を決める書評合戦「ビブリオバトル」が公立はこだて未来大学(亀田中野町199)で人気だ。本を通じて知識や交流を深めようと愛好者は徐々に増加。7日には初の大会も開かれ、読書好きの学生が聴衆を前に読後感を熱弁した。

 「言葉を発さずともできるコミュニケーションがある」。同日開かれたのは南北海道・青森ブロック地区決戦大会。今年6月に「未来大ビブリオバトル部」を立ち上げた同大3年の杉谷弥月さん(21)は、「非言語コミュニケーション」(新潮選書)を紹介。高校時代の人間関係を織り交ぜながら本の魅力を語った。約30人の観戦者は、うなずきながら聞き入っていた。

 「書籍」を意味する「ビブリオ」の名を付けたバトルは2007年に京都大学で始まった新形式の学生向け読書会。一人の持ち時間は5分で、発表後は観戦者が3分間質疑する。全ての発表終了後、多数決で優勝者を決める。

 当時京大に勤務していた角康之教授が昨年未来大に赴任し、杉谷さんら研究室に所属した学生にルールを紹介。大学祭で催しを行ったところ、学生や一般市民に好評だった。同大によると、全国組織のビブリオバトル普及委員会に所属する学生は、函館地区では杉谷さんのみ。

 今月7日の同大会には、道教育大函館校の学生も含む4人が出場した。観戦者からは「本を読んだきっかけは」「専門書でも読みやすいのか」といった質問が飛び交った。

 最後に全員の挙手で順位を決めた結果、新書「触感をつくる」(岩波書店)を取り上げた未来大4年の本多達也さん(22)が優勝し、21日の全国大会(東京)出場権を獲得した。本多さんは「本番直前に伝えたいことを読み直した成果が出た。全国大会の実感は湧かないけど、しっかり発表したい」と意気込んだ。

 観戦した同大4年の成田桃子さん(21)は「語り手の言葉に共感できる場面があって、私も読んでみたくなった」と笑顔。杉谷さんは「今後は他大学へ広まるよう情報発信に努めたい」と話していた。(長内 健)



◎クイズも秋の登山も満喫

 函館山をクイズに答えながら登る「函館山ふれあいクイズラリー」(函館市住宅都市施設公社主催)が7日開かれ、澄み切った秋空の下、家族連れら約560人が参加し、楽しみながらゴールの千畳敷広場を目指して歩いた。

 秋の行楽シーズンや「体育の日」に合わせ、クイズを通じて函館山に親しんでもらおうと企画。昨年は雷雨で中止となったため、今回が初開催。

 午前9時半の開始時間を30分繰り上げてスタートする人気ぶり。参加者は装備が充実した中高年から親子連れまで幅広く、山麓の函館山ふれあいセンターを出発し、「函館山の高さは」「スギの樹齢は何年」など登山道にある5カ所のチェックポイントの3択クイズに答えながら、1時間程度の山登りを楽しんだ。

 親類と6人で参加し、初登山という市内山の手の大條(おおえだ)千鶴さん(36)は「なかなか子どもと登山する機会がないのでこういうイベントがあるとうれしい。ゴールで食べるお弁当が楽しみ」と話していた。(森健太郎)



◎函館で初の「高校生議会」

 函館市の市制施行90周年を記念した「高校生議会」(市議会主催)が7日、市議会議場で初めて行われた。市内の高校2、3年生17人が「議員」となり、大間原発や人口減少などさまざまな問題を取り上げ、熱心に質問をぶつけた。

 若い世代に市政への参加意識を高めてもらおうと開催。市内各高校から一人ずつ参加し、一人10分の持ち時間が与えられた。

 市民の関心が高まっている大間原発への対応をただす質問が相次ぎ、工藤寿樹市長は「福島の事故からたった1年半で原発を作ることには反対。断じて許されず、無期限凍結を求めたい」と答弁した。

 また「人が大量に流出するほど景気が悪いのか」など人口減少への懸念や、税金の使い道や冬場の除雪問題を問う質問も寄せられた。「グリーンベルトは全天候型のアーケードにしたら利用が図られるのでは」「戸井の汐首岬で風力発電をしては」など、具体的な提案もみられた。

 中には緑の島の整備について「時々の市長によって一貫性に欠けている」と鋭い指摘もあり、これには工藤市長も苦笑い。「水族館は多額の財政負担が生じ、大方の市民から理解が得られずに凍結した」と述べ、イベント広場とする方針を伝えた。

 工藤市長は終了後、「まちづくりについて大いに発言し、強く関心を持ってほしい。若いうちから真実を見極める力を養うことが大切」とエールを送った。遺愛女子高3年の赤平かえでさん(18)は原発と新幹線について質問。「本格的な会議で緊張したが、市長から直接答弁がもらえてうれしかった」、南茅部高2年の尾上雅樹君(17)は「聞いたこととマッチしない答えもあったけど、だいたいは返ってきた」と話していた。(千葉卓陽)


◎移植医療の啓蒙活動推進へ

 脳死状態からの臓器移植を含めた移植医療全般の啓蒙(けいもう)活動を進めるNPO法人北海道移植医療推進協議会(本部・札幌)の道南支部が14日、函館市内で発足する。支部は旭川、根釧、に続いて3カ所目。同日、市民公開講座を開催し、活動をアピールする。

 同法人は1999年10月設立され、2001年には任意団体からNPO法人へ移行した。主な活動は、臓器提供意思カードの配布や臓器提供施設の院内コーディネーター育成などで、ドナー・ドナー家族に対応した相談窓口も設けている。

 道南支部の設立は、本部事務局の依頼を受け市立函館病院(函病)が体制づくりを進めていた。構成メンバーは有識者、オブザーバー、事務局員など24人、行政、医療、福祉、報道機関の代表で構成する顧問20人。

 同日、顧問会議で、定款や本年度の活動内容を決め、支部長には函病の木村純院長が就任する。同院長は「移植医療の情報提供はまだ不十分と感じる。しっかり啓蒙していきたい」と話す。

 支部発足に合わせて同日午後1時半から、北洋ホール(若松町15)で市民公開講座「話そう大切な人と〜移植医療を通して考える命と絆」を開催する。

 旭川医大消化器病態外科の古川博之教授と作家の谷村志穂さんが「つながる命、つながる思い」とのテーマで対談。パネル討論では南カリフォルニア大医学部の岩城裕一教授とフリーアナウンサーの松永俊之さん、HBCラジオパーソナリティーの田村美香さん、北大病院臓器移植医療部の嶋村剛准教授の4人が意見交換する。

 入場無料。問い合わせは同協議会電話011・846・5644(鈴木 潤)