2012年11月1日 (木) 掲載

◎大間原発質問状、電源開発が市に回答文

 大間原子力発電所(青森県大間町)の工事再開に際し、函館市が事業者の電源開発(東京)に手渡した質問状に対し、同社は31日、北村雅良社長名の文書で回答した。建設再開について「政府が原子燃料サイクルを継続するとの方向性が確認できた」などと回答、原子力規制委員会の動向を注視するとした内容に、工藤寿樹市長は「今までの主張が繰り返されているだけ。ほとんどまともに答えていない」と非難、臨時国会の動向を見守るとした。

 工藤市長が15日の同社訪問時に手渡した質問状は、▽原子力規制委の新たな安全基準が未定なのに、なぜ工事を再開するのか▽核燃料サイクルが確立されていない中で建設・稼働させる理由は▽事故が起きた場合の被害想定や対策は—など10項目。

 これに対し同社は、@大間原発のエネルギー政策上の位置付けと工事再開A大間原発の立地B技術的な特徴Cその他—の4項目に分け、市の質問との対照表を添付して回答。建設再開の理由として「電力安定供給と原子燃料サイクルの一翼を担う重要な発電所。立地自治体の大間町や関連団体から再開を求める要望があった」とした。

 市の質問のうち活断層の問題に対しては、敷地から半径30キロで地質調査を行ったとした上で「原子力安全委員会が独立性を持って安全性を確認することになる」としたほか、テロ対策に対しては「法に基づく秘密保持義務があり公表できない。国際海峡と約5カイリの距離にあることを踏まえ、十分に対応できるよう検討している」と回答するにとどまり、具体性を欠くものとなった。

 その上で規制委の新技術基準への対応として「策定動向を踏まえて適切に対応する」と、改めて建設を優先させる考えを示した。

 工藤市長は取材に対し、「もう1回再質問しても、的確な答えを返せるとは思えない」と再質問を否定し、「事実上の無視がそのまま継続されている」と不快感を示した。規制委が同日、半径30キロ圏内で原発事故対策が義務づけられるUPZ(緊急防護準備区域)の導入を決めたことに関しても、原子力防災計画を策定しない考えに変わりはないとした。

 今後については、超党派国会議員でつくる「原発ゼロの会」の議員らによる臨時国会での審議や活動を見極める考えを改めて表明。市が原告となっての訴訟は「現時点で起こす、起こさないの最終判断はしていない」と述べた。(千葉卓陽)



◎函水高生、北光丸の日章旗復元

 横浜港大さん橋国際客船ターミナルに展示されている帆船模型「北光丸」(長さ6メートル53センチ)=横浜港振興協会が所有=の日章旗が、函館水産高校(三ッ石茂之校長、生徒474人)の生徒の手によって復元された。2年前の航海旗に続き、10月下旬に修学旅行で横浜を訪れた際に日章旗を掲げた。往時をほうふつとさせる両旗がそろい、生徒たちの喜びもひとしおだ。

 北光丸は1913(大正2)年に、同校の前身函館商船学校の操帆訓練教材として造られた。35(昭和10)年に商船学校が廃校となったため、北光丸もマストが切断されるなど破損したまま倉庫に保管されていた。81(同56)年に、全日本船舶職員協会の創立50周年記念事業として、北光丸の修復・復元が決まり、横浜で約1300万円かけて修復された。

 2008年に、商船学校の校旗が発見されたことから、同校はレプリカを作製、10年の修学旅行で横浜を訪れ、掲揚式を行った。

 さらに約100年前に近づけようと、同校は航海に必要な日章旗を用意。今年の修学旅行(10月22〜26日)の最終日にセレモニーを現地で行い、同校2年生154人を含む関係者約170人が復元を祝った。日章旗は船尾の縦帆に掲揚。旗には、世界の海で活躍する船乗り育成の歴史を受け継ぐ。

 海洋技術科の本村爽君(17)は「歴史ある船に旗を掲げることができて光栄」、門野剛史君(16)は「函水高の歴史に貢献できてうれしい」と話す。

 我妻雅夫教諭(59)は「写真から判断すると、あと救命艇4隻を設置すれば復元が完成する」とし、今後も横浜との絆を大切にしながら完全復元を目指す考えだ。(山崎大和)



◎フルマラソンコース、年度内にも決定

 函館ハーフマラソン実行委員会フルマラソン検討部会(部会長・斎藤利仁函館商工会議所青年部副会長)の4回目が31日、函館市役所で開かれた。コース設定について協議し、ハーフとの同時開催を見据え、ハーフの走路を延長させたコースを軸として今後調整していくことを確認した。年度内にも決める方針。

 コースは千代台公園陸上競技場を発着点とし、谷地頭電停交差点の折り返しや、国道278号(漁火通り)の往復などは同じ。フルでは西部地区やともえ大橋、北埠頭(ふとう)周辺も走路に加える。

 これ以外の案で、市内を範囲とし西部地区を2周するコースは、景色の単調さと追い越しの多発が予想され、国道5号や国道227号(大野新道)を主として函館、北斗、七飯の2市1町にまたがる広域コースは、幹線道路を長時間使用するなどのマイナス面が指摘された。

 一方、ハーフの延長コースは国道5号を通らない上、運営経費の節減にもつながるという。

 出席者からは「延長コースのほうが実現性は高い」といった意見が上がった。課題としてはコースの複雑さや折り返しの多さ、誘導するスタッフの人数を充実させることが指摘された。

 斎藤部会長は「大会経費を圧縮するためには延長コースが最も適当。今後、警察側と協議を重ねて具体的に決めていきたい」と話した。

 フルマラソンは14年度の開催を検討。日本陸連の公認大会としたい考え。(後藤 真)


◎函館食材が東京のホテルディナーに

 東京・永田町のザ・キャピタルホテル東急は11月1日から12月21日まで、道南・函館の食材をメーンに使った「冬の北海道・函館フェア」を開く。シェフ自ら函館で厳選した海産物や乳製品、果物などを中国料理にアレンジし、コース料理のディナーを提供する。

 同ホテルの中国料理「星ヶ岡」で今年から特定の地域食材を主に使ったフェアを企画。これまでは都道府県単位だったが、東急ホテルズ元相談役で函館観光大使を務める梅原一剛さんの提案で、地方都市では異例の函館に白羽の矢が立った。

 食材は9月にシェフが函館の漁港などを訪れて選定。メーンには恵山地区の根ボッケを使い、市場にあまり流通していない間引きコンブとともに蒸した。大沼の黒毛牛のいため物や、温泉熱を生かした函館産の「恋いちご」入りの杏仁豆腐などもある。

 同ホテルは「函館の旬の食材を伝統の技術でアレンジした中国料理を味わってほしい」とPR。市農林水産部は「函館食材の知名度やブランド力が向上し、東京での評価が高まれば」と期待する。料金は1万1550円(8皿)から。問い合わせは同ホテルTEL03・3503・0871。(森健太郎)


◎青函連携し企業交流を推進、商工会議所

 2015年度の北海道新幹線開業を見据え、函館商工会議所と青森市の青森商工会議所は本年度から、青函両地域の企業同士が連携を図る「会員事業所パートナーシップ支援事業」を開始する。互いに技術を補完し合ったり、商品開発を進めたりして、ビジネス面での交流を活性化させるのが狙いだ。

 函館市と青森市は1989年に「ツインシティ」の提携を結んで以来、行政や民間レベルでの交流を進めてきたが、経済やビジネス面で交流の成果を挙げるには至っていなかった。

 そこで、新函館開業をビジネスチャンスととらえた青森側が、同事業による新しい経済交流を模索。函館市内で23日に開かれた両会議所の青函圏合同委員会で函館側に提案し、両者が事業を実施することで合意した。

 想定するのは、互いに技術を持ち寄り、新商品の共同開発や販路開拓など。来年2〜3月には1回目の商談会を函館市で開催する予定で、青森側の企業10社程度が参加し、函館の企業に事業を提案したり、自社製品をPRする。今後、年1回のペースで両市交互に商談会を開くという。

 函館商工会議所では「これまでの協力関係よりも一歩踏み込んだ交流であり、企業同士が目的を持って進んでいくことに期待したい」としている。(松宮一郎)