2012年11月10日 (土) 掲載

◎ヤマゴボウ出荷最盛期

 【厚沢部】厚沢部町で、ヤマゴボウの出荷作業が最盛期を迎えた。一年を締めくくる農作業で、「ヤマゴボウを見ると正月が来るのを実感する」と明るい表情で進めている。

 道南でヤマゴボウの生産は厚沢部が中心。主に名古屋方面へ出荷し「山ごぼう漬け」として人気だ。収穫後に、ほどよく乾燥させ、手作業で土を払い、サイズ別に箱詰めする。作業は10月下旬から始まり、例年11月下旬ごろまで続く。

 同町富栄の庄山朝一さん(75)は9日、終日作業に励み「ジャガイモとコメが落ち着き、最後はヤマゴボウ。今年の仕上がりは上々だが、雨で収穫できない日が続き、晴れ間にみんなで集中して頑張っている」と話していた。

 JA新はこだて厚沢部基幹支店によると、ヤマゴボウの生産農家は厚沢部33軒、江差と乙部、八雲町熊石が各1軒で、作付け面積は計10・5ヘクタール。市場価格は中間サイズ5キロ3000円前後と例年並み。サラダやみそ漬けなどの生産者考案のレシピを出荷先に届けるほか、道央圏でも販路拡大に力を入れている。(田中陽介)



◎厚生院看護専門学校で戴帽式

 函館厚生院看護専門学校(老松寛校長)は9日、同校講堂で、今年4月に入学した1年生40人を対象に、戴帽(たいぼう)式を行った。教員や上級生、保護者らが見守る中、看護への決意を新たにした。

 12月から、初めての病院実習を控えており、看護の尊さと責任を自覚する機会として実施。一人ずつ壇上に上がり、教員からナースキャップを付けてもらった後、火を灯したろうそくを手に「ナイチンゲール誓詞」を斉唱した。

 上級生を代表して樺澤永莉香さん(3年)が「病院での実習は不安でいっぱいだと思うが、仲間とともに協力しながら頑張ってほしい」と祝辞を述べ、戴帽生代表の木村彩菜さんが「支えてくれた先生や家族、先輩たちに感謝を忘れず、患者様の気持ちが理解できる看護師を目指します」と誓いを述べた。(鈴木 潤)



◎中川さん間もなく献血200回

 元中学校長で、現在は保護司を務める函館市上野町の中川俊男さん(64)が、間もなく献血回数200回を達成する。身近にできる奉仕活動として20歳から始め、44年間で196回(今月2日現在)。献血離れが進む中、「献血に足を運ぶ若者が増える一助になれば」と願う。

 献血の種類は全血(200ミリリットル、400ミリリットル)、成分(血漿、血小板)の4つ。中川さんの場合は、200ミリリットル全血の回数が最も多く、最近は体への負担が少ない血漿成分献血を、月に1回のペースで函館赤十字血液センター(日乃出町)で行っている。年度内200回達成が目標だ。

 大学2年のとき、知人を通じ輸血のための血液確保に協力したのがきっかけ。函館赤川中に勤務していたころ、長崎屋函館店(美原)内にあった美原献血ルーム(現在は閉鎖)へ勤務後に通っていたことや、献血するとコレステロールや肝機能などの血液の検査結果が分かり健康管理に役立つことから、回数が増えていった。

 桧山管内に勤務した12年間は、移動献血車(全血のみ)で数回しかできなかったという。

 献血をすると、次回まで200ミリリットル全血4週間、400ミリリットル全血12週間、成分献血2週間の期間が必要で、簡単に回数を増やせるものではない。「200回が目的ではなく、回数を重ねるうちに自然と数字が積み上がった」と強調する。

 冬場には血液が不足がちだ。「毎日どこかで移動献血車が運行しており、函館には血液センターもある。若い人たちが協力するようになってほしい」と話す。献血は69歳まで可能で、健康な限りは続ける考え。同センターは「全血の回数が多いので、トータル回数としてはかなり多い。200回となれば珍しいのでは」としている。(山崎大和)


◎函館と広島、コーヒーがつなぐ縁

 函館市陣川町の小さなログハウスが、地域住民の“隠れ家”として密かな人気を集めている。そのあるじは、広島県在住の斉藤久男さん(70)。かつて青函連絡船の乗務員として函館に住んだことがきっかけでログハウスを構え、コーヒーを自家焙煎(ばいせん)して知人らに振る舞い、喜ばれている。現在も函館と広島を行き来する生活を送っており、「自分の楽しみを満喫したい」と斉藤さん。コーヒー豆がつなぐ函館との縁を大切にしながら、住民たちと気さくに語らう毎日を過ごしている。

 コポコポコポ…。慣れた手つきで斉藤さんがコーヒーを入れると、3坪ほどの狭いログハウスは、豊かでほろ苦い香りに包まれる。

 生まれは愛知県。24歳の時、連絡船の乗組員として函館に勤務した。連絡船の廃止に伴い、広島の宮島航路に転勤して自宅も構えたが、離任時に購入した土地に、12年前にログハウスを建てた。

 コーヒーが大好きで、函館にいた時は市内のほとんどの喫茶店を回ったという。最初は手で豆をいっていたが、趣味が高じて13年ほど前に焙煎機を購入する熱の入りよう。「おいしく入れるには、豆と水をきちんと量らないと」とこだわりも強い。

 商売で営業する喫茶店ではないが、ログハウスにはうわさを聞きつけた住民が日々訪れては、コーヒーとともに他愛のない話を楽しむ。「五稜郭の夢」「四稜郭の華」などと名付けたオリジナルブレンドも用意しており、手づくりの味を求めるファンも多い。2カ月前から通い始めたという市内の女性(69)は「入れる温度や心得を気軽に話してくれる。私の隠れ家よ」と、すっかり気に入った様子だ。

 毎年4月ごろ函館に訪れて畑を耕し、コーヒーを楽しみながら、雪がちらつくころに広島に戻る生活を送っており「渡り鳥みたいなもんさ」と屈託ない。今年は12月13日でハウスを閉めて広島に戻り、春になったらまたやって来る。「函館は人も街も大好き。ここを憩いの場所として愛してくれれば」と、ささやかに願っている。(千葉卓陽)


◎ルネサス函館工場、相談会に離職者84人

 函館公共職業安定所は9日、経営再建を進める半導体大手のルネサスエレクトロニクスの子会社、北日本セミコンダクタ函館工場(七飯町)の離職者を対象にした総合相談会を函館地方合同庁舎で開いた。再就職を希望する84人が参加。同職安の担当から再就職に向けた支援策や雇用保険、国民年金の手続きについての説明を受けた。

 函館工場は売却の対象で、同社は9月、子会社を含め、10月31日での早期退職者を募っていた。相談会は午前と午後の2回開き、100人を超えたとみられる離職者のうち、84人が訪れた。市町村別では函館市が40人、北斗市20人、七飯町24人だった。

 同職安などは先月24日、地域の雇用不安を拡大を防ぐために函館市や北斗市、七飯町など関係機関と対策本部を設置。この日も自治体の担当者が相談コーナーを設け、離職者の対応にあたった。

 説明会に参加した50代の男性は「資格を生かして再就職先を探しているが、厳しい状況。年内にはなんとか次の仕事を決めたい」と苦しい胸の内を明かした。同職安では「本人の希望や意向を確認して、再就職に向けて支援をしていく」としている。(松宮一郎)