2012年11月15日 (木) 掲載

◎駅前開発は「スナッフルス」

 函館市は14日、公募していたJR函館駅前再開発事業について、市内の洋菓子製造販売のペシェ・ミニョン(中沢美樹社長)の事業案を最優秀とする審査結果を公表した。人気スイーツの製造工程が見学できる施設を核に、2015年度の北海道新幹線開業に向けて観光客を呼び込む考えだ。

 対象地は、市有地とJR北海道の土地合わせて9887平方メートル。新函館駅(仮称)開業を見据え、函館の顔となる中心市街地のにぎわいを生み出すための提案を求めていた。10月に公募を締め切り、応募はペシェ・ミニョン1社のみだった。

 11月8日に外部委員6人でつくる審査委員会を開き、事業の継続性や遂行能力などを審査。100点満点中60点を「合格ライン」とした中、同社の案は63・3点を獲得し、工藤寿樹市長に推薦した。

 事業案は「食」がテーマ。総事業費11億5400万円で整備し、スイーツの製造工程を楽しめる3階建ての本社工場を軸に、敷地内に樹木やガラス造りの屋根を配置。1〜2階のテナント棟5棟や、駐車場82台を整備する。

 物販・飲食店をテナントに入れ、年間70万人の利用者を想定。15年5月の開業を予定している。審査委員会は「地元企業の熱意を評価する。駅前のイメージ向上につながり、中心市街地活性化にも寄与する」と評した。

 土地の貸出期間は25年間で、賃料は月額172万5000円。今後同社と市、JR北海道の3者で事業協定を結ぶ見通し。一方で、審査委は▽来客に対応した駐車場の確保▽冬場の防寒・防雪対策の検討▽テナント運営の確実性—など5点を協定締結の条件に挙げており、12月に予定していた締結はずれ込む可能性もある。

 同社は1992年設立。市内と札幌、新千歳空港で洋菓子店「ペイストリースナッフルス」などを展開している。(千葉卓陽)



◎大間原発「悪魔と組んでも止める」

 【東京】電源開発(東京)が大間原発(青森県大間町)の建設工事を再開したことを受け、函館市の工藤寿樹市長らは14日、都内の衆院議員会館で超党派の国会議員でつくる「原発ゼロの会」が主催する意見交換会に出席し、大間原発の問題点について話し合った。工藤市長は「悪魔を止めるためなら、別の悪魔と手を組んででも止めたい」と述べ、建設の無期限凍結を強く訴えた。

 ゼロの会との懇談は10月に続き2度目。工藤市長と高谷寿峰北斗市長、中宮安一七飯町長が招かれたほか、電源開発の担当者や原子力規制庁、資源エネルギー庁職員らが出席した。会議はインターネットで生中継された。

 工藤市長は、大間原発でプルトニウムとウランを混合したMOX燃料を全炉心で使用することに関し「商業炉として実験していないのに進められている。付近住民はモルモットではない」と批判。国際海峡に面する点や活断層の存在など数々の問題点を指摘し「到底受け入れることはできない。住民の安心、地域を守るために今後も無期限凍結を求めていく」と述べた。

 また高谷市長は「未曾有の福島原発事故を一切斟酌(しんしゃく)せず、再開を容認するのは無神経。既成事実を作り上げるとしか見ることができない」と指摘。中宮町長はテロ対策の問題を挙げ「潜水艦も航行しているかもしれない。安全策を練ってもらわなければ到底納得できない」と反発した。

 一方、電源開発は工事再開について「原子力規制委員会が来年夏にも示す新しい技術基準を反映して、安全な発電所として稼働可能と判断した」と説明。半径30キロ圏内で原発事故対策が義務づけられるUPZ(緊急防護準備区域)の範囲に函館市が入ることから「道との協議が必要」とした。

 工藤市長はその後の質疑応答で、「プルトニウムはウランより危険で、立地自治体だけの同意で足りなくなるはず。拡散シミュレーションもせずに、建設を先行するのはおかしい」と批判。電源開発は「フルMOXは日本のプルトニウム問題とリンクしている。国の政策と一致させながら進めたい」と話すにとどめた。(千葉卓陽、今井正一)



◎GLAY公演会場「緑の島」整備方針固まる

 函館市は、港湾緑地「緑の島」(8ヘクタール)の北側未整備敷地(3・2ヘクタール)の整備方針をまとめた。切り土工事などで中央部に芝生の広場0・9ヘクタールを整備。既存多目的広場(1・5ヘクタール)との一体利用により、大規模イベント開催を可能とする。来年6月末までに部分完成を目指す方針で、来夏に予定する函館出身のロックバンド「GLAY」のコンサート会場としても活用される見通しだ。

 整備は本年度から14年度までの3カ年。総予算額は5億円で、合併特例債を活用する。12月開催の第3回定例市議会に実施設計委託費1000万円と、基盤整備工事費として来年度までの継続費5600万円の計6600万円を予算計上する。

 計画によると、中央広場は、土砂を積み上げた盛り土部分(0・6ヘクタール)を切り崩し、既存広場と同じ高さとして整備。北側にはアスファルト舗装した広場(0・7ヘクタール)を整備し、中央広場との接合部は緩やかなスロープとする。盛り土の土砂は路盤強化を図りながら駐車場などに活用する。このほか、潮風や芝生への塩害を防ぐための築山の造成、給排水設備、大型バスも乗り入れ可能な駐車場の舗装を行う。

 市港湾空港部は「新たな多目的広場は2万5000人の収容が可能。コンサートイベントなどでも利用でき、市民憩いの場としての利便性も高まる」としている。

 緑の島は浚渫(しゅんせつ)土砂の処分場として1980年に建設が始まり、85年に港湾緑地として計画決定された。91年から緑地工事が進められたほか、2002〜03年度には北側に駐車場を整備した。

 普段は釣り人や家族連れらが訪れるほか、2000〜3500人規模のイベントが本年度も数回実施されている。2009年度には、函館開港150周年記念事業のメーン会場として、9日間で延べ13万3500人が来場した。(今井正一)


◎撮影しながら散歩しよう 18日に元町の魅力再発見イベント

 函館市写真歴史館(元町12)は18日、観光スポット・元町の風景をカメラで撮影しながら散策するイベント「元町フォト&ウォーク」を開く。同館スタッフがナビゲーション役を務め、カメラを構えながら函館の魅力を再発見してもらうという趣向だ。改行 同館が初めて企画。コースの案内をするのは同館スタッフの川合志穂さん。撮影時のアドバイスをはじめ、行く先々で街並みや建物の魅力なども紹介する。

 午後1時に同館に集合し、撮影を開始。隣にある旧開拓使函館支庁書籍庫、旧イギリス領事館、元町公園を巡る。さらに、旧函館区公会堂から港ヶ丘通、教会群、チャチャ登り、金森倉庫群まで歩き、午後3時半ごろに解散する予定。

 川合さんは「元町界隈は撮影にうってつけの場所ばかり。街並みの素晴らしさを再確認してもらい、これからの観光を盛り上げていくきっかけになれば」と話し、参加を呼び掛けている。

 参加費は1人1200円。撮影した写真をもとにフォトブックを2部作製し、1部を参加者にプレゼント。もう1部を同館で展示し、来館者に見てもらう。

 定員は15人。17日までに申し込む。当日はデジタルカメラを持参する。問い合わせは同館電話0138・27・3333。(松宮一郎)