2012年11月2日 (金) 掲載

◎ななみつき本格販売

 【七飯】七飯産リンゴの期待の星≠ニ称される「ななみつき」について、七飯町果樹組合(成田悌一組合長、31戸)は、専門部会(宮田宏之部会長、15戸)を立ち上げ、今年産から本格販売に乗り出す。JA新はこだて(畠山良一組合長)に出荷し、厳選した果実だけを「ななみつき」として販売、高級ブランド化を狙う。  品種に特化した部会設立は組合初で、懸ける期待が大きい。対外デビューを果たした昨年産は庭先販売が中心だったが、今年産から高値で売れるように販売をJAに任せる。同JA七飯基幹支店を通じ、函館や札幌の百貨店を主体に販売する。

 1日には、大中山のななえ農産センターで出荷協議会が開かれ、部会に加入する農家ら約15人が参加。受け入れ基準を1玉280c以上、収穫期を今月6〜13日とすることなどを決めた。化粧箱(3`入り)で出荷するほか、販売促進用のポスターやPOP(店頭広告)、リーフレット、のぼりも作製する。

 実際に持ち込んだ果実の糖度を計測すると、平均15度以上あり、自信を持って販売できることを確認。宮田部会長(50)は「暖かい日が続いたので色づきがやや遅れたが、甘く仕上がっている」と話す。

 ななみつきは黄色品種で、実に赤みが差し、蜜が入って甘みが強い。昨年11月に函館市内のスーパーで販売したところ、1個300円で即日完売した。昨年産は約1fで約2万個が収穫できたという。(山崎大和)



◎函館公園でクローン桜苗$A樹

 函館公園(青柳町)で1日、同公園のサクラ(ソメイヨシノ)から取った接ぎ穂を利用して作られた苗木が植えられた。函館市、市住宅都市施設公社が2005年度から取り組んできた「桜後継樹育成調査研究事業」が実を結び、同公園では初めての“クローン桜苗”の植樹となった。同事業に携わった日本樹木医会の樹木医斎藤晶さん(78)は「先人から受け継いだ木を残し、桜の名所を後世に伝えられる」と感無量の表情を見せた。

 市では函館公園、五稜郭公園など花見の名所のサクラが古木化していることで、同じ遺伝子を持つ後継樹の育成方法を確立することを同公社と相談。同公社が自主事業として、齋藤さんの指導を得て試験育成に取り組んできた。

 開始から3年間、冬に各公園のソメイヨシノから接ぎ穂を採取し、春に延べ約80人の市民がボランティアが接ぎ木づくりを行った。ヤマザクラの台木に挿して、合計約350本を作った。ソメイヨシノは自然交配繁殖が難しく、強風や動物の被害もあったが、4年間で約半分が育った。

 この日は市緑化推進課の松村由紀夫課長ら職員約10人が見守る中、樹高2b以上に育った苗木を、今上陛下御即位記念碑裏近くに2本植えた。松村課長は「後継樹がようやく里帰りしたことは喜ばしい」、齋藤さんは「新しい木を買って植えれば良いかもしれないが、先人から受け継いだ木の血のつながったものを残すことが大切」と話した。

 同課は、市内の公園では現在、移植の予定は無いが、試験育苗の手法は継承していくとしている。(山崎純一)



◎JR+バス+市電 乗り放題周遊パス発売

 JR北海道と函館バス、函館市企業局交通部などは1日、列車とバス、市電が2日間乗り放題になる周遊パス「はこだて旅するパスポート」の発売を開始した。期間は来年2月末までの4カ月間で、函館、北斗市、七飯、鹿部、森町の2市3町を自由に周遊することができる。2015年度の北海道新幹線新函館開業をにらんだ取り組みで、函館到着後の2次交通の整備が狙いだ。

 道南18市町が滞在型の観光地づくりを目指す「はこだて観光圏」の実験的な事業。3事業者が連携して共通周遊パスポートを発行するのは今回が初めて。

 料金は大人3000円、子供1500円。JRが函館—森間、五稜郭—渡島当別間(普通列車自由席)。函館バスは、函館市内全線と上磯線や鹿部駅線など。市電は全線が対象。そのほか、津軽海峡フェリーは運賃が20%引きになる特典もある。

 事業の中心を担うのは函館コンシェルジュセンターと津軽海峡フェリー。津軽海峡フェリーは「青森側にも周遊パスポートがあり、将来的には青函の連携も目指したい」とする。

 同センターの小林功事業部長は「利用者の反応を見ながら今後の在り方を探っていきたい」と話している。パスはJR北海道函館支社管内の主要な駅と旅行センターで発売している。(松宮一郎)


◎在来線利用 延伸後35%減…函館—小樽 道、需要予測示す

 道は1日、北海道新幹線札幌延伸に伴い、JR北海道から経営分離される函館線函館—小樽間の事業形態を検討する「並行在来線対策協議会渡島ブロック会議」を渡島合同庁舎で開いた。道総合政策部の荒川裕生部長は「(経営分離後の)江差線五稜郭—木古内間の運営も大きな判断材料になる。並行在来線支援策の拡充は粘り強く訴えていく」との認識を示した。

 会議には長万部町以南の沿線自治体7市町の首長らが出席。今後の指標とする将来需要予測を示した。10月30日には長万部町以北の沿線を対象に後志ブロック会議が既に開かれている。

 昨年11月実施の旅客流動調査の結果を基にした函館—小樽間の乗車人員数は5250人。開業予定の2035年には、11年比35・8%減の3372人。沿線の人口減少に加えて、通学に利用する就学年齢人口(15〜19歳)がほぼ半減することが大きく影響した。

 また、営業1`当たりの1日平均利用者数を示す輸送密度は、11年の395人が35年には263人まで落ち込むことを示した。この数値は、江差線の760人、先行県の「肥薩おれんじ鉄道」(熊本、鹿児島県)の831人と比較しても少ない。ただ、区間別では、函館—七飯間1766人、函館—渡島大野間1515人、余市—小樽間1599人など、都市部周辺は利用者が多い。

 出席した自治体関係者からは「地元経済を良くするためにも札幌延伸の工期短縮が必要」(白井捷一長万部町長)、「国やJRの支援策が分かり次第情報提供を」(川代義夫八雲町長)などの意見が出された。今後、開業5年前までには方向性を結論づけるが、当面は年1回のブロック会議と担当者レベルの幹事会を継続する。(今井正一)


◎「ナッチャンレラ」売却

 津軽海峡フェリー(函館市港町3、石丸周象社長)が、2008年まで函館—青森間で運航していた高速船「ナッチャンRera(レラ)」(1万712d)を台湾の港湾関係の企業に売却したことが分かった。

 レラは、東日本フェリーが07年9月に就航させた双胴型の旅客フェリーで、津軽海峡を最短2時間で結んできた。08年5月には姉妹船「ナッチャンWorld(ワールド)」も就航した。

 燃料費の高騰や利用客の伸び悩みから、東日本フェリーは08年11月1日から運航を休止。東日本フェリーの青函航路撤退後はグループ会社の道南自動車フェリー、社名を変更した津軽海峡フェリーが引き続き所有し、2隻の売却先を探していた。

 同社によると、売却先は台湾の港湾関係企業WAGON社。昨年から売却を打診し、今年に入り、交渉が具体化したという。売却は10月16日付で、引き渡しもすでに終えている。売却額は非公表。

 同社はワールドについて「今後もリースを含め、より良い条件の売却先を探していく」と話している。(松宮一郎)