2012年11月26日 (月) 掲載

◎国産第1号の復元ストーブに火入れ

 国産第1号の西洋式ストーブが函館で製造され、1856(安政3)年11月25日に火入れが行われたのを記念し制定された「第25回ストーブの日」のイベントが25日、市内末広町の箱館高田屋嘉兵衛資料館で開かれた。参加者は、復元ストーブに火入れをし、偉大なる先人の遺徳をしのんだ。

 国産第1号ストーブは、五稜郭設計で有名な武田斐三郎が箱館奉行の命を受け、大町の鋳物師・目黒源吉に製作させたもの。この歴史を後世に伝えようと、市内の有志らがストーブの日実行委員会(石塚與喜雄委員長)を立ち上げ、1988年にストーブの復元に成功した。

 この日は約30人の市民が見守る中、ストーブ復元に尽力した郷土史家の故會田金吾さんの家族らが、火打ち石を使った火入れに挑戦。飛び散る火花がストーブ内の木材に移り燃え広がると、参加者からは拍手が起こった。初めて火入れを体験した會田さんのひ孫の佐々木結衣ちゃん(6つ)=函館市宝来町=は「火打ち石は難しかったけど、ストーブに火がついて良かった」と話していた。(小川俊之)



◎恵山で白いナマコ

 函館市恵山地区で25日、全身が白いナマコが水揚げされた。表が白で裏側は赤茶と“紅白”の個体も見つかり、発見した漁師は「正月を前に縁起がいい。安全操業と大漁を招く幸せのナマコであってほしい」と話している。

 同地区のナマコ漁はこの日が初日で、白いナマコは御崎町の漁師、加茂博紀さん(32)と弟の透さん(28)が、恵山漁港内で見つけた。2人は、昨年のナマコ漁初日にも純白のナマコを水揚げしている。

 昨年の白ナマコは函館市内の水産業者の大型水槽で飼われ、「正月の餅みたいにふっくらでかわいい」と観光客らに人気だった。専門機関によると、白いナマコは各地で水揚げされているが「珍しいことに変わりはない」という。

博紀さんは「今年は自宅の水槽で飼う。白いナマコを見つけて、どんどん増やして幸運を期待したい」ときっぱり。(田中陽介)



◎音楽で大間原発反対訴える

 音楽とウオークで大間原発(青森県大間町)の建設阻止を訴える初のイベント「あるいて、うたって、みんなでとめる大間原発!」が25日、函館市地域交流まちづくりセンター(まちセン)で開かれた。音楽を通じて同原発を止める市民の思いをアピールした。

 市民団体「バイバイ大間原発はこだてウォーク」が主催、約60人が集まった。10月まで市役所周辺で繰り広げたデモ行進と趣を変え、音楽を取り入れた抗議行動を企画した。

 函館のバンド「サニーサイドアップ」(4人)、「タッカ」(1人)、「ジャック・モウズ」(1人)が出演。今回のために結成された合同の「スクランブルエッグ」での演奏もあり、オリジナル曲「原発なくそう」や「明日があるさ」の替え歌「明日がないさ」を披露し、盛り上がった。

 コンサートと同時に西部地区を歩いて、まちセンに戻って音楽を聴く試みも。

 呼び掛け人の一人、サニーサイドアップのリーダー山下進さん(59)は「建設再開を受け、黙ってはいられないと思った。音楽でアピールし、大間を止めたい」と話していた。ピーター・ハウレットさん(57)は「デモには足を運べなかった人でも、楽しみながら反対の意思表示ができる」とし、今後も月に2回のペースで活動する考えを表明した。

 12月8、23日にもまちセンに集合しイベントを予定。参加無料。問い合わせは高橋さん電話080・5590・4117へ。(山崎大和)


◎第1回函館音楽祭で音色共演

 地元の音楽愛好家や国内外で活躍する演奏家らが出演する「第1回函館音楽祭」(同実行委主催)が25日、函館市芸術ホール(五稜郭町)で開かれた。ピアノソロからオーケストラ演奏まで多彩なプログラムで来場者を楽しませた。

 函館在住のピアニスト・類家唯さん(27)が企画し、音楽仲間に呼び掛けて実現したもの。本年度の日本音楽コンクールで1位に輝いたバイオリニストの会田莉凡(りぼん)さんら、一線で活躍する若手演奏家と、地元で活動する愛好家で結成した「函館音楽祭記念オーケストラ」など意欲的な試みが特徴。

 プログラム前半は類家さんがショパンの「ノクターン1〜3番」をソロで演奏。類家さんと会田さん、チェロの水野由紀さんによるメンデルスゾーンの「ピアノ三重奏第1番」では、華麗で情熱的な共演が繰り広げられた。

 後半は類家さんがチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番に挑戦。関西を中心に活躍する山田俊介さんが指揮するオーケストラの響きをバックに、繊細かつ力強いピアノのタッチで、ロシアロマン派の世界を形作っていった。

 オーケストラによるシベリウスの「フィンランディア」を挟み、ラストは函館在住の声楽家・佐藤朋子さんを迎えた「Stand Alone」で、音楽祭は感動に包まれながら幕を閉じた。(小川俊之)