2012年11月28日 (水) 掲載

◎暴風雪で交通に乱れ 停電など各地で被害 

 真冬並みの寒気が入り、強い冬型の気圧配置となった影響で、27日の渡島、桧山地方は強い風雪で大荒れの天気となった。室蘭周辺が猛吹雪となった影響でJRは函館と札幌を結ぶ特急列車は上下線とも始発から終日運転を見合わせるなど、大幅にダイヤが乱れた。

 函館海洋気象台によると、最大瞬間風速は、せたな町33.4メートル、奥尻町稲穂33.1メートル、江差31.2メートル。積雪は長万部の19aが最も多かった。函館は10aが最高だった(午後8時現在)。

 市内では、この風の影響で午前8時半ごろ、同市川汲町799の木製の電柱が倒れた。北斗市でも中野通1などの街灯2本が倒れ、バス停待合所が一部壊れた。松前町でも松前城3階のトタン屋根がはがれる被害が発生した。江差町では、江差港湾内の防風看板が強風で倒れたほか、旧朝日小の外壁(3b×2・5b)がはがれるなどの16件の被害があった。

 北電函館支店によると、江差町では、午後1時ごろから約30分間、40世帯で停電した。せたな町、今金町、長万部町も約460世帯が停電し、同5時40分ごろまでに復旧作業を終えた。

 JR函館駅では、朝から札幌行き特急の運休を知らせる案内が貼り出され、利用客が運転再開の見通しを駅員に尋ねていた。

 JR北海道によると、運休したのは、函館—札幌間の特急など26本のほか、JR江差線でも普通8本の運転を取りやめ、江差—木古内間は代行バスで対応した。室蘭線や日高線を含め、約1万6800人に影響した。

 青森県八戸市から26日に函館入りし、この日は苫小牧市に向かう予定だったという会社員岡沢和秋さん(42)は「仕事の日程は再調整し、今日は帰ります」と話していた。

 空の便では、全日空(ANA)が函館—新千歳間1往復、エア・ドウも函館—羽田間1往復を欠航し、北海道エアシステム(HAC)も函館—丘珠間3往復を欠航した。各社合わせて約670人に影響した。津軽海峡フェリーは函館—大間の全便、ハートランドフェリーも江差—奥尻を全便欠航した。



◎水産加工品に新風 「ガーデン」の佐賀さん デザインで常識破る

 いかめしなど水産加工品を取り扱う函館市日吉町の「ガーデン」の商品が、洗練されたパッケージデザインで市内の水産加工品業界に新風を吹き込んでいる。同社の社長を務めるのはデザイナーの佐賀吉憲さん(35)。「デザインの力で水産加工品のイメージを変えたい。函館全体を外に向かって発信していく」と意気込んでいる。

 佐賀さんは神奈川県出身。東京のデザイン事務所勤務を経て、09年に独立したが、妻の母親、石田教子さんが営んでいた水産加工品会社を引き継ぐため、10年に函館に引っ越してきた。

 11年1月に社名を「ガーデン」に変更。同年9月に水産加工品を取り扱う「角松」というブランドを立ち上げ、販売を再開した。

 主力商品は生いかめしやイカ塩辛、松前漬け、コンブ巻きなど。材料は地場産にこだわった自信作で、教子さんらが製造を担当。佐賀さんがパッケージやロゴ、ウェブサイトのデザインなどを受け持っている。

 「いかめし」「松前漬け」など商品名を独特のデザインで表現。厚手の紙で包み、高級感を演出している。「時代に合わせて販売方法を変えていくことが必要。味が良いことが大前提だが、デザインで豊かな気持ちになってもらいたい」と佐賀さん。

 同社の製品のほか、道南各地の農産物のパッケージデザインにも意欲を見せる、「頑張る人たちの手伝いができれば」と話している。現在は歳暮用に化粧箱に入ったギフトセットも取り扱っており、同社のウェブサイト(http://www.kado−matsu.com)で注文することができる。(松宮一郎)



◎全国学力テスト 渡島・桧山全教科で全道下回る

 道教委が26日公表した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果で、渡島・桧山管内の平均正答率が小6、中3とも全教科で全道平均を下回ったことがわかった。

 全道との平均正答率の差が1ポイント未満を「同様」、1ポイント以上3ポイント未満は「ほぼ同様(上位・下位)」、3ポイント以上5ポイント未満を「やや高い(低い)」、5ポイント以上7ポイント未満を「高い(低い)」、7ポイント以上を「相当高い(低い)」と示す。渡島管内では昨年度小学校国語A、Bと算数A、B、中学校の国語Aの正答率が「同様」だったのに対し、今回は「ほぼ同様(下位)」に1段階下がった。

 渡島教育局は「小中学校とともに全国平均との差を詰めているが、小中ともに国語の読み取りが弱く、小学校では算数の比例、割合が弱い」と分析。「授業改善とともに、家庭学習の習慣化に力を入れたい」とする。

 渡島管内の校長は「全道平均が全国より低く、道全体がレベルアップした指導方を考えていくべきではないか」と話す。

 桧山管内では、小学校の各科目で「同様」「ほぼ同様(下位)」「やや低い」と分かれ、中学校では数学A「ほぼ同様(下位)」以外の各科目は全て「同様」。昨年と比べて同じ段階か1段階上下した。

 同調査は小学校6年と中学3年を対象に実施。国語と(Aが基礎、Bが応用)、算数・数学(同)と生活習慣や家庭学習の状況などを訪ねる調査に加え、初めて理科も加わった。(平尾美陽子)


◎大物次々 応援ヒートアップ 野田首相、小泉氏来函へ

 12月4日公示の衆院選を前に、各党が応援弁士を呼ぶ動きがヒートアップしている。民主党は野田佳彦首相(党代表)が函館入りする一方、自民党は女性人気の高い小泉進次郎党青年局長と“大物”を投入。各党とも無党派層の掘り起こしや、選挙ムードの盛り上げに必死だ。

 野田首相は12月1日に函館入りし、午前9時すぎに函館朝市を約30分視察し、同所で逢坂氏とともに街頭演説を予定。本町交差点でも街宣を行い、札幌へ移動する。

 陣営は「野田首相の来函はインパクトが強く、選挙への関心、注目が集まる。8区が厳しい選挙区であり、逢坂氏を必要な人材として中央に送り込んでほしいと考えてくれているのだろう」とする。一方で、逢坂氏や道内他選挙区の候補がTPP(環太平洋連携協定)断固反対を掲げ、推進姿勢を見せる首相との齟齬(そご)も懸念される。

 前田氏陣営は、公示前日の12月3日に小泉氏が函館入り。午後0時半から五稜郭タワーアトリウム、同1時からホテル函館ロイヤルで総決起大会を開く。

 陣営は2会場合わせて2100人程度の来場を見込んでおり、選対幹部は「小泉氏は若い人に人気がある。支持者に加えて、次代を担う若い有権者に支持を訴える」としている。

 北出氏の陣営は、29日午後3時から若松町で行う事務所開きで、国民の生活が第一の女性議員が応援弁士として来函を予定。

 また、高橋氏陣営は25日に開いた決起集会に共産党の紙智子参院議員が駆け付けて、結束を強めている。(衆院選取材班)