◎もみ殻取った 小学生30人が体験 |
【北斗】NPO法人「NATURAS(なちゅらす)」(赤石哲明代表)の食育体験学習プログラムが4日、渡島農業改良普及センター(東前)などで行われ、市内近郊の児童約30人が昔ながらの手作業による脱穀を体験した。 米作り体験を通して日本の食文化を学ぶプログラムで、5月の田植え、10月の稲刈りに続く体験学習。ホクレンショップのレジ袋削減運動にかかわる助成金を受けて実施した。 脱穀作業は同センターの職員が指導に当たり、児童は庁舎内で米作りの過程を学習した後、体験へ。最初に稲わらを割り箸で挟んでもみ殻を取り除く作業をした後、今度は千歯と呼ばれる器具を使った作業を挑戦した。もみすり作業も、すり鉢にもみ殻を入れ、硬いボールですりながら玄米を取り出した。 作業後は別会場で精米した米で調理をし、試食をした。田植え体験に続く2度目の体験という函館弥生小5年の小林正信君(11)は「(作業は)楽しい。お米への関心が深まった」と話していた。 (鈴木 潤) |
◎職人技に感動 技能フェア |
プロの職人がものづくりの楽しさを伝える「技能フェア」が4日、日吉町の函館職業能力開発促進センターで開かれた。約250人の親子連れらが来場。体験コーナーではプロの職人から手ほどきを受け、いすやラジコン、道具箱づくりなどに挑戦。会場に金づちの音と子どもたちの歓声が響いた。 函館技能士会などの主催。ものづくりに興味を持ってもらおうと、毎年開いている。ものづくりコーナーには同会の各部会、函館地区建築技能士会、函館高等技術専門学院などが参加した。 子どもたちはすのこや折りたたみいす、タイルを使った鍋敷づくりを体験。職人から金づちやのこぎりの使い方を教えてもらい、夢中で作品づくりに取り組んだ。 工作を楽しんだ北日吉小5年の古村直哉君と二本柳智唯君の2人は「ものを作るのは大好き。上手にできてよかった」とにっこり。函館技能士会の遠藤正司会長は「手作業の良さや技能を子供たちに伝えることは大切なこと。我々も楽しい」と話していた (松宮一郎) |
◎補助金支出見直し 迫られる厳しい運営 |
函館市の補助金支出の在り方に関し、外部委員による検討委員会(奥平理委員長)が10月、支出割合を事業費の原則2分の1以下とすることなどを盛り込んだ提言書を市に提出した。市は提言をベースに要綱をまとめるとしているが、各団体にとっては祭りやイベントなどで補助金の存在が命運を握る面もあり、厳しい運営を迫られている。 ●ルール統一求める 提言は、統一した支出ルールづくりに向けて@公益性A必要性B公平性C補助事業者の自主性D透明性E有効性—が必要との観点で、費用対効果を検証する第三者委員会の設置やガイドライン策定を求めた。 具体的には▽補助割合は原則、事業費の2分の1以下▽繰越金が出た場合は理由を明確にし、翌年度の補助金は減額または廃止▽既得権化を防ぐため原則、終期を設け、期限に達したらゼロベースで見直しする—ことなどを盛り込んだ。祭り・イベント・大会に関しても「補助した団体から他団体に迂回(うかい)しているものは見直す」「自主自立ができなければ補助を打ち切る選択も考えるべき」とした。 市財務部によると、昨年度に補助割合が50%を超えた団体は20件。繰越金を出した団体も4件ある。「2分の1」は原則とすることで弾力性を持たせているが、団体側にとってインパクトは大きく、現状維持を求める団体も出始めた。 ●団体側は「ジリ貧」 「努力しているが、この不景気で脱退も多い。収入を例年通りにカバーしたいが、ジリ貧だ」。10月末に開かれた市と各種団体との懇談会。函館国際観光コンベンション協会の渡邉兼一会長は、観光振興よりも先に補助金の維持を求めた。 渡邉会長の訴えにも、工藤寿樹市長は冷静に応対した。「市も人件費や経費を削っているし、交通料金助成の上限も市民にお願いしている。自主的会費の増強など努力してほしい」 同協会の本年度予算は、一般会計で4185万円の収入に対し、補助金は約8割を占める3450万円。参加団体からの会費は712万円にとどまる。渡邉会長は「景気の良くない時はどこかを切り詰めなくては」と言葉少な。別の幹部は原則2分の1以下に関して「本当にやめてほしい」と困惑を隠そうとしない。 ●加速する「削減路線」 先週原案がまとまった新たな行財政改革プランでも「削減路線」は鮮明。水産・海洋産学連携促進補助金を13年度、道国際交流センターの運営費補助金を14年度、市文化・スポーツ振興財団への補助金を15年度で廃止する方針を打ち出している。 人口減少や少子高齢化で社会全体が“縮小”へと向かう中、団体側が運営費を市に依存する構図は曲がり角に差し掛かり、市も貴重な税金を有効に使えるかが課題となっている。 奥平委員長は「長く補助金を使う中で、当然もらえるという意識も強くなる。少ない金額の中で運営できないわけではないし、膨らんだ部分をどう削るか考えてほしい」と団体側に求めながら、市にも「潤沢な市税からどんどん出していた名残が残っている。どこかで蛇口を閉めなければ」と話す。 (千葉卓陽) |
◎資源発掘 プロの視点で 旅行誌編集者招請ツアー |
渡島総合振興局と青森県が主催する旅行誌編集者2人を招請したモニターツアーが4日から始まった。北海道新幹線の開業を見据えて、青函広域観光ルートのPRにつなげたい考えで、旅情報発信のプロの視点を交えて資源の掘り起こしを図る。 ツアーは2泊3日の日程で、初日は、函館市縄文文化交流センターから鹿部町に入り、鹿部漁港ではチカ釣りを体験。夜には、北斗市のきじひき高原からの夜景を眺めた。5日以降は、江差町での町歩き、JR江差線の乗車などの後、青森に移動し、紅葉見学や伝統工芸体験などを予定する。 「旅の手帖」の山口紀和さんは、新幹線開業効果は、交通アクセスの向上により周辺地域にも波及すると指摘。「個人の嗜好(しこう)を押さえたきめ細かさが観光地に求められている」と話す。また、「旅行読売」の福崎圭介さんは「地元の人には当たり前のことが、旅行者には魅力的に見える。眠っている資源の価値付けと地道なPRが必要」と話していた。 青森県観光国際戦略局の佐藤満主幹は「新函館(仮称)開業は青森側にとって脅威でもあるが、飛行機やフェリーを組み合わせた交通手段の提供もできる。互いの良いところをつなげ、相乗効果が高まれば」と話していた。 (今井正一) |