2012年11月8日 (木) 掲載

◎湯川海水浴場 来年度で廃止 ネット老朽化で

 函館市教委は湯川海水浴場(函館市根崎町、市営熱帯植物園前浜)を、来年度限りで廃止する方向で検討を進めている。市が10月末に示した「行財政改革プラン」に盛り込まれており、ネットの老朽化に伴って毎年約4000万円の維持経費がかかっていることが理由。市教委は七重浜海水浴場(北斗市)へのシャトルバス運行など、代替施設への誘導策を模索している。

 湯川海水浴場は1995年に開設。国内初のネット式で、市内唯一の砂浜の海水浴場。縦75メートル、横110メートルの浮き玉ネットを張り、中央に約50メートルの浮き島を備える。本年度は7月21日〜8月19日の30日間開設し、延べ3万1367人が利用した。

 しかし、ネットは開設時から使用してきたため老朽化が進行。修繕しながら使ってきたが、耐久度調査の結果、最も傷みが激しい陸側のネットは2015年度までと診断されている。

 昨年度の事業仕分けでは「見直しが必要(廃止を含む)」と判定。外部委員は毎年度4000万円以上かかる経費を問題視し、「今後続けていける事業内容か疑問」「近隣の海水浴場への誘導や屋内プールの利用促進を図るべき」などの意見が出されている。

 来年度は夏場に開設するが、市教委は2014年度以降は七重浜海水浴場へのシャトルバス運行を検討するとともに、廃止初年度は水難事故防止のため、現場に警備員を配置する方針。また、入舟海水浴場は継続する。

 市教委スポーツ振興課は「シャトルバスを用意して、市民利用を少しでも多くカバーしたい」と話す。一方で毎年延べ3万人前後が利用しており、維持を求める声も予想されるだけに「パブリックコメントでの意見を注視し、全体のバランスを見ながら考えたい」としている。(千葉卓陽)



◎巨大ツリー到着 近づくXマス

 「2012年はこだてクリスマスファンタジー」(12月1日〜25日)のメーンツリーとなるモミの木が5日、カナダのハリファクス市から函館市浅野町の作業場に到着し、きらびやかな電飾を取り付ける作業が行われている。開幕直前に船で会場に運ばれる予定で、今年もイベントのシンボルとして来場者を楽しませてくれそうだ。

 もみの木は、函館市と姉妹都市のハリファクス市から毎年届けられる。今年は約20メートルのメーンツリー用1本と、サブツリーやインフォメーションツリーとして活躍する小型のもみの木約40本が、長い船旅の末に来函した。

 メーンツリーは到着後すぐにワイヤーで固定。6日から7日かけての強風にもびくともせず、7日は数人の関係者が枝払いなどを行った。このあと、電球や装飾などを施し、12月1日の開幕直前に函館ベイエリアの会場に運ぶ。

 実行委では「今年もさまざまなイベントを華麗に演出して盛り上げる力になってほしい」と話している。(小川俊之)



◎道南は暖かい「立冬」

 7日は二十四節気の一つ「立冬」。冬が始まる日とされるが、道南は10月中旬から同下旬並みの気温となった。函館海洋気象台によると各地の最高気温は江差16・9度、松前16・2度、函館14・9度だった。

 暖かさを感じる一日となったが、函館市西部地区の金森赤レンガ倉庫群の壁では、サンタクロースの人形が早くも整列し、冬の風物詩「はこだてクリスマスファンタジー」到来が近いことを感じさせていた。

 この人形は2001年から毎年、12体を設置しており、人形の大きさは約1メートル50センチ。中には紅葉のツタに身を隠すようにしているものも。例年は11月中旬からだが、今年はNHK・BSプレミアムで12月23日に放送予定のドラマ「神様の赤ん坊」のロケに合わせ、早く出番が来たという。(山崎純一)


◎「函館子ども歌舞伎」 18日に北斗で初公演

 【北斗】「函館子ども歌舞伎」北斗市公演が18日午後1時半から、市総合文化センター大ホール(中野通2)で開かれる。園児から高校生中心に42人が出演。涙を誘う「良弁杉の由来〜東大寺門前の場 親子再会の場」や、男の意地の張り合いが見どころの「浪花の恋の物語〜封印切の場」など3演目を演じる。

 北斗市かなでーる協会など主催。同歌舞伎は函館の歌舞伎役者、市川団四郎さん(72)が主宰、地方公演にも力を入れている。北斗では初めてで、地元の子どもたちも取っ手などに初挑戦。同歌舞伎を卒業した社会人も出演する。

 「良弁杉─」は、ワシにさらわれた太郎の行方を探す百姓の母が、放浪の末30年後に再開を果たす物語。ところが、太郎は奈良東大寺の良弁大僧正(だいそうじょう)に出世し、百姓が容易に言葉を掛けるのははばかられる存在だった。そんな母子が身分を超えて対面。母への感謝を尽くす良弁と、この瞬間を切望してきた母の抱き合う場面が涙を誘う。

 「浪花─」は、飛脚問屋の養子となった働き者の忠兵衛と友人の丹波屋八右衛門が、遊郭の梅川の身請けをめぐって意地の張り合いを見せるあらすじ。笑いを誘う八右衛門の軽妙な口上や、忠兵衛が身請け金の小判の封を切るシーンが見どころだ。

 このほか、恒例の「白浪五人男 稲瀬川勢揃いの場」も披露する。

 今春から始まった稽古も佳境を迎え、完成度が高まってきた。捕り手役や坊主役で初出演するという渡野辺結愛(ゆい)さん(7)、蓮生(れん)ちゃん(5)のきょうだいは「台詞を覚えるのは難しかったけど頑張りたい」。市川さんは「『良弁杉─』と『浪花─』を披露できる子どもは全国でも少ない。彼らの一生懸命な姿をぜひ見に来てほしい」と呼び掛けている。

 入場料一般2000円、高校生まで1000円(当日各500円増)。問い合わせは同ホール電話0138・74・2000。(長内 健)