2012年12月1日 (土) 掲載

◎函館のお薦め 車内に展示…「ひかりの電車」きょうから運行

 函館市企業局交通部は1日から、車体にLEDの電飾をちりばめた「ひかりの電車」(2002号)の運行を開始する。クリスマスムードを高めるリースやリボンなど装飾も施され、冬季観光を盛り上げる。車内では、市民が函館の魅力を絵や文字で紹介したカードを展示するデザインプロジェクト「あなたのとっておき教えて!」がスタートする。

 同プロジェクトは、公立はこだて未来大大学院システム情報科学研究科修士2年の三島佳さん(23)の研究の一環。8月に開かれた函館市電の活性化策を考える「デザインワークショップ」でのアイデアを基に、市電車両を使った参加型デザインの手法として、同部職員や学生、一般市民を交えて企画した。

 カードは▽函館ってどんな街?▽函館のステキなもの・ことは?|の2つのテーマを設定。初回掲示分は10〜80代の市民がかかわった55枚で、お薦めスポットを最寄りの電停名やイラストを入れて紹介するなど、とっておき情報≠自由に表現している。

 三島さんは「市民目線でガイドブックには載っていない函館の魅力を発信してもらう取り組み。電車に乗り合わせた市民と観光客が言葉を交わすきっかけになれば」と話している。改行 展示カードは随時、更新予定で、市地域交流まちづくりセンターと市青年センターに応募用デスクを設置。1月末まで車内で展示する。「ひかりの電車」は1日5〜6往復程度運行。2月末まで。(今井正一)



◎観光客 震災前の水準に…函館市上期

 函館市は30日、本年度上期(4〜9月)の観光客入り込み数(推計値)を発表した。総数は303万5000人で、東日本大震災の影響を受けた前年同期と比べ13・8%(36万8000人)の大幅な反動増となった。2010年度上期(311万7000人)と比べると2・6%の減少ではあるが、震災前の水準にまでほぼ回復した。

 昨年度は、自粛ムードや風評被害があり、10年度同期比14・4%(45万人)減の266万人、通年でも410万人と大苦戦したが、昨年7月以降は徐々に回復の兆しが見え始めていた。

 本年度の月別の入り込みをみると、4月が前年同月比40・4%増、5月が同26%増、6月が同31・4%増と大幅に増加し、7月以降もプラスで推移。市観光振興課は「震災の反動が大きい。今年はサクラの開花が遅れ、観光シーズンスタートの出足は鈍かったが、好調を維持した」とする。

 地域別では道外客が22%増加の192万9600人で、構成比は道外客63・6%、道内客36・4%。宿泊客は61・3%、日帰り客は38・7%と、ほぼ例年通りの比率となった。

 交通機関別ではバスが14・2%増の117万5800人、JRが12・7%増の81万7100人など。航空機は14・4%増の33万700人で、使用機材大型化や増便が好材料となった。

 下期(10〜3月)は過去4年間、145万人前後で推移。台湾との定期航空路が開設されるなど、明るい話題がある。一方で、韓国や中国からの観光客は震災の影響、対日関係の悪化のあおりを受けたままだ。同課は「10月以降も好調に推移している。1日から始まるクリスマスファンタジーなど冬期間イベントをPRし、集客に努めたい」としている。 (今井正一)



◎イルミナシオン映画祭開幕

 「第18回函館港イルミナシオン映画祭」(実行委主催)が30日開幕し、金森ホール(末広町)でオープニングイベントなどが行われた。会場にはこの日を待ちわびた約110人の映画ファンが詰めかけ、銀幕の祭典を満喫した。

 開会式に先立ち、函館の街を舞台にした作品「尋ね人」を上映した。死期を悟った母から「姿を消した昔の恋人の消息を調べてほしい」と願いを託された娘が、戸惑いながらも50年間の足跡をたどっていく物語。

 上映後には同作品のメガホンを取った篠原哲雄監督、美術監督の小澤秀高さん、撮影監督の上野彰吾さん、出演俳優の満島真之介さんの4人がステージに登場。函館の思い出や撮影時のエピソードを語り、会場を沸かせた。

 開会式で米田哲平実行委員長が「皆さんの支援のおかげで18回目を迎えることができた。3日間の映画祭を楽しんでほしい」とあいさつ。シナリオ大賞の表彰式も行われ、グランプリ(函館市長賞)の斉藤清貴さん(静岡)、準グランプリの蟹元依子さん(千葉)、審査員奨励賞の田森潤也さん(札幌)が表彰を受けた。

 その後のオープニングパーティーでは、観客やゲストが参加。映画祭ディレクターで、歌手のあがた森魚さんのライブを楽しんだ。

 映画祭は2日まで、金森ホール、函館山山頂・クレモナホール、市地域まちづくりセンター内・十字街シアターの3カ所で約50作品が上映される。(金子真人)


◎「景観デザイン指針」策定…きょう条例施行

 函館市が6月に改正した都市景観条例と屋外広告物条例が1日に施行される。今後、市が指定する「都市景観形成地域」(弥生町、大町など120f)内で建築行為を行う場合、市との事前協議が必要となる場合がある。条例改正による新たな手続き方法や、建物の色彩、デザインなどの注意点をまとめた「景観デザイン指針」を策定した。

 指針は、「陸繋島と歴史と文化の調和美を未来へ紡ぐ」を基本理念とし、歴史的建物が多く残る西部地区の街並みを市民共有の財産として保全を図るため、6月から検討委員会で策定作業を進めてきた。

 景観条例の改正では、伝統的建造物群保存地区に隣接する八幡坂や二十間坂などの周辺を新たに「景観形成街路沿道区域」として設定。景観を維持するための最重要区域として、建築行為などを行う場合に、申請前に市と事前協議することを義務付け、手続き方法などを指針に盛り込んだ。

 地域の景観に配慮したデザイン誘導の方向性や、外観の意匠、色彩の手法、素材などの事例集として、建築物編と屋外広告物編にまとめた。

 市では、新たな指針の内容について、地域への説明会を開催したほか、建設関係団体に対し、周知を図っている。市都市デザイン課は「新たな指針は、行政や市民、建築関連業界の共通理念として定めた。積極的に活用してもらいたい」としている。(今井正一)


◎大門で飲み歩き満喫…バルにぎわう

 屋台村・大門横丁(函館市松風町)とその周辺飲食店の飲み歩きを楽しんでもらうイベント「大門バル」(はこだてティーエムオー、大門ハイカラクラブ主催)が30日、開かれた。地元住民や観光客らが大勢足を運び、各店自慢の料理とおいしい酒を味わった。

 函館駅前地区の活性化事業として年に4回開催。今回は47店舗が参加し、「ホットする大門バル」をテーマに、心も体もあったまる各店特製メニューと1ドリンクをセットで500円で提供。同時に液晶テレビやデジタルカメラなどが当たるスタンプラリーも行われた。

 大門横丁では、午後6時ごろから各店舗の座席が埋まりだし、会社の同僚や友人同士、旅行客らが和気あいあいと酒を酌み交わしていた。同横丁の居酒屋「ヤマタイチ」を訪れていた、神奈川在住の小林良範さん(47)は、今年5回目の来函で、必ず同店に出向くという。「数年前に偶然店に入り、すっかり気に入った。今回は奇遇にも大門バルの開催日だったので、いつも以上にたくさんのお客さんと触れ合うことができて楽しい」と話していた。(小川俊之)