2012年12月11日 (火) 掲載

◎榎本武揚の銅像 梁川公園に建立

 旧幕府海軍副総裁で、幕末から明治にかけて活躍した榎本武揚の銅像が函館市梁川町の梁川公園に建立され、9日、銅像の除幕式が行われた。市民有志でつくる榎本武揚を顕彰する会(近江政斗代表)が功績を知ってもらおうと建立を市に提案し、許可を受けた。同会などによると、市内の屋外での設置は初めてという。

 銅像の制作者は、富山県高岡市の彫刻家、田畑功さん(57)。蝦夷共和国の総裁だった30代前半の時をモデルに上半身部分を制作した。高さ約70センチ。榎本の俳号「梁川(りょうせん)」にちなんで同公園に設置を決めた。

 除幕式には、顕彰する会のメンバーら約100人が出席。榎本のひ孫の榎本隆充さん(77)や田畑さん、工藤寿樹市長、能登谷公市議会議長らも参列し、完成を祝った。

 冒頭、近江代表が「若者が銅像を見て活力を感じ、夢を抱いて海外に渡り見聞を広めてほしい。函館の観光や地域の一助になれば」とあいさつ。

 次いで像の除幕が行われ、榎本のりりしい顔が現れると、拍手に包まれた。その後、除幕法要に移り、参列者が順番に焼香した。工藤市長は「2年後には五稜郭築城150年を迎え、榎本武揚公に歴史の光が当てられる。このような時期に立派な像が建立されたことはうれしい」と祝辞を述べた。

 隆充さんは「市民や観光客に注目される像になってほしいですね」と話していた。(鈴木 潤)



◎よい新年願い 上ノ国八幡宮で 大しめ縄づくり

 【上ノ国】上ノ国八幡宮(松崎辰彦宮司)で9日、社殿前の2つの鳥居に飾る大しめ縄づくりが行われ、氏子ら10人が作業に汗を流した。

 しめ縄は、長さ1本約10メートルで、毎年2本作っている。今年も町内でとれたコメのわらと青々としたスゲを材料に、「緩みがないように、がっちり力を入れて」と手作業で縄をない、約3時間で完成させた。

 同八幡宮によると、しめ縄は神聖な区域を示すもので、24日に鳥居に飾る予定。

 作業に参加した鈴木勇雄さん(75)は「幸せが多い新年になるようにと願って、しめ縄をつくった。これからも地域を見守ってくれる神社を皆で大事にしていきたい」。松崎宮司は「来年は創建540周年。節目を迎えるにあたり、こうしてしめ縄づくりに協力してくれる関係者に感謝している」と話していた。(田中陽介)



◎前田、逢坂氏が激戦

 16日投開票の衆院選は折り返しを過ぎ、道8区(渡島・桧山管内)は自民党新人の前田一男氏(46)と民主党前職の逢坂誠二氏(53)が激しく争い、日本未来の党新人の北出美翔氏(26)、共産党新人の高橋佳大氏(53)が追う展開となっている。各陣営とも選対の引き締めを強めるとともに、街頭演説や集会を積極的に開き、候補を決めかねている無党派層の取り込みを図る構えだ。

 前田氏は「自民支持層の7〜8割を固めた」(陣営幹部)と保守勢力の一本化に一定のめどをつけ、建設、水産関係団体や商工団体を中心に約170の団体、企業が推薦。8区で自民候補を初めて推薦した公明党も「票はほぼ固めた」(函館総支部幹部)と話す。 陣営は前回選挙で自民候補が得た5万8000票からの大幅な上積みを目指すが、前田氏は自民が圧勝した05年の郵政選挙でも道内で4勝8敗と分が悪かった点を挙げ「民主は長年議席を得る中で培われた組織がある。打ち破るのは容易でない」と気を引き締める。

 逢坂氏は民主党政権への逆風下での戦い。9日に開いた函館市内での個人演説会では「非常に反応はいいが、冷静に考えて2、3歩私の方が後ろ」と話し、危機感を強める。

 支持団体の連合や各労組がフル回転して組織票を固める一方、従来保守層が基盤とする農・漁業者からの支持にも手応えを示す。陣営幹部は「戸別所得補償制度やTAC(スケトウダラ漁獲可能量)枠の見直し、噴火湾の震災復興など取り組みへの評価は高い。支持基盤を再度固め、攻めの姿勢で都市部での浸透と巻き返しを図る」と話す。

 二大政党への批判票や女性票取り込みを図る北出氏は、街頭演説を軸に活動を展開し「演説でどこまで有権者に浸透できるかが鍵」(陣営幹部)。支持者が北出氏を招いて集会を催すなどの動きも出ているが、推薦した新党大地は選挙協力を維持しながら、自らの比例票獲得への動きを強めている。

 高橋氏は共産党支持層を着実に固めるが、団体からの推薦は得られていない。TPP(環太平洋連携協定)への反対姿勢に農協が理解を示すなどの好材料があり、陣営幹部は「党支持者はほぼ固めた。ぶれない政党をアピールし続け、無党派層も取り込んでいく」と話す。(衆院選取材班)


◎スルメイカ漁 11月も不振

 道南スルメイカ漁が11月も不振となり、今季の漁期(6月〜来年1月)トータルの漁獲量が例年並みを確保するのは厳しい情勢だ。函館市水産物地方卸売市場(豊川町)での取扱量は、前年同期比64%減の373トンと低迷。10月に続き2カ月続けて過去10年で最低となった。トータル漁獲量が伸びずに漁期が終了する可能性が強まっている。

 市農林水産部によると、11月の取扱量は過去10年で最も少なかった2006年度の380トンを下回った。品薄感から1キロ当たり平均価格は326円と、06年度(同340円)以来の300円台に達した。

 函館市漁協(橘忠克組合長)は「こんなにしけが多い年はめったにない」と嘆く。今月も、道南に暴風雪をもたらした6日の低気圧の影響が残るなど、悪天候が続いている。「イカは組合の漁獲金額の4割近くを占めるので、漁獲が伸びないと打撃が大きい。しけが収まり、多く出漁して大量に水揚げされることを願うばかり」という。

 はこだて自由市場(函館市新川町)のイカ専門店「富田鮮魚店」(富田貞雄社長)は「10月も11月も商売が成り立たない」とため息をつく。

 水産市場での6〜11月の取扱量も同10%減の3684トンとなり、07年度以降では最少。漁期は来年1月前半にほぼ終了するため、このペースだと漁期トータルの漁獲量も不振だった11年度の4723トンを下回る可能性も。

 道総研函館水試(湯川町)によると、11月の不振は高水温の影響などで道東からの南下群の来遊が遅れたためだ。澤村正幸研究主任は「南下群が津軽海峡に戻ってくるものの、来遊が例年になく遅れている上、水温の急激な低下により群れの通過が早まる。漁期後半のピークは来るが、短くなる可能性がある」と指摘。「漁期トータルでは例年並みの漁獲量確保は苦しいだろう」と話している。(山崎大和)


◎ルネサス離職者に求人を

 【七飯】町と函館公共職業安定所、渡島総合振興局は10日、七飯町商工会(川又修治会長)に対し、ルネサス北日本セミコンダクタ函館工場(七飯町)の求職者が速やかに再就職できるよう、雇用確保への協力要請を行った。

 同職安の岡田克也所長は中宮安一町長と中西猛雄渡島総合振興局長らと同商工会を訪れ、各関係機関が連携を取りながら支援の取り組みを進めていることを説明し、協力を要請した。

 半導体大手・ルネサスエレクトロニクス(東京)の人員合理化策に伴い、同社函館工場を10月末で早期退職した離職者は100人を超えるとみられ、同職安などによると11月末現在で七飯町の24人を含む計88人が求職中という。中宮町長は「七飯町内ばかりではなく、函館市や北斗市も含め、通勤できる範囲の中で再就職できるよう配慮していただけると大変ありがたい」と述べた。

 これに対し川又会長は「地元企業への周知を行って広報活動を本格化させ、少しでも雇用につながるよう図りたい」と述べ、協力体制をとることを確認した。

 同職安などはこの日、北斗市商工会に同様の要請を行ったほか、13日に函館市の商工関係団体に対しても求人要請を行う方針。(森裕次郎)