2012年12月12日 (水) 掲載

◎創作たこ感謝込め 「へび」高く舞え…函館の梅谷さん

 函館市山の手在往の元高校教諭で、1976年から干支(えと)のたこを制作している梅谷利治さん(83)は、2013年の「巳(蛇)」を題材にした「合掌天蛇(がっしょうてんじゃ)」を完成させた。来年1月5日午前11時から緑の島(大町)で開く新春たこ揚げ会などで披露する予定。

 梅谷さんは60年から函館東高校で美術を教え、教材として創作たこ作りを取り入れた。88年に退職後もライフワークとして続け、作品は国内外で展示されている。

 「合掌天蛇」はポリエステルシート製で、一つの長さは約4b。ヘビは優しい表情で、「合掌」「愛」などの文字が貼られている。  最近に右肩を痛め、作業は難航した。「長い間たこづくりを続けられたのは、許してくれた家族、広めてくれた仲間、そして忘れてならないのは、たこ揚げができる平和を作ってくれた先人の努力のおかげ。だから中途半端なたこは作れない」と話す。

 たこは今月27日から来年1月12日まで、市地域交流まちづくりセンター(末広町)で展示される。

 「蛇」を手掛けるのは4度目。79年は長さ約30bの「北海大蛇(ほっかいだいじゃ)」、91年は中国のたこ揚げ大会で特別賞を受賞した「合格蛇」、2003年はミニカイトにした「開運蛇」で、新年の空に舞い上げてきた。(山崎純一)



◎世界遺産候補の「縄文遺跡」構成資産 「垣の島」正式追加

 【青森】2015年度の世界遺産登録を目指す「北海道・北東北の縄文遺跡群」(仮称)の第2回登録推進本部(本部長・三村申吾青森県知事)は11日、県内のラ・プラス青い森で開かれ、遺跡群の候補に挙がっていた函館市南茅部地区の垣ノ島遺跡を正式に追加し、18遺跡を構成資産にすると決めた。

 32人が出席。国内最大級の盛土遺構がある垣ノ島遺跡について、縄文時代中期から後期の記念物の多様性や早期の集落、墓制を示すことができる点を追加の理由として示した。キウス周堤墓群(千歳市)、大森勝山遺跡(弘前市)も正式に追加された。

 また文化庁に提出する推薦書原案で、「狩猟、採集、漁労による定住生活の達成」「自然との共生」をコンセプトの柱とし、来年3月末までに作成することを確認。提出時期は来年4〜6月を予定する。

 函館市教委の山本真也教育長は「函館から2つの遺跡が入り大変ありがたい。世界遺産のハードルは年々高くなっているが、地域の機運を高めながら今まで以上に登録に向けて力を注ぎたい」と語った。

 垣ノ島遺跡の追加案は、8月に青森県で開かれた推進会議で報告された。構成資産には道南から大船遺跡(函館市)と鷲ノ木遺跡(森町)も含まれている。(後藤 真)



◎スケトウ漁獲枠6万700d…道南太平洋 道が計画決める

 道南太平洋海域スケトウダラ刺し網漁の本年度のTAC(漁獲可能量)について、道は当初TAC(4万6000トン)を上回る6万700トンとする計画を決めた。海がしけて漁に出られない日が多く、渡島管内の漁獲量(10〜11月計)は前年同期比31%減の6098dと低迷。漁獲枠には余裕がある半面、水揚げが伸びず漁業者は困り顔だ。

 道によると、良好な来遊状況から4700d増え、さらに次年度TACを先取りする先行利用枠(借金)1万dを追加して6万700dに。このうち日高管内に2200dを配分、残りを渡島・胆振管内が利用する。

 渡島管内の漁獲量は、10月が同2%増の2546d、11月が同44%減の3552d。今月1〜10日も同58%減の1552d。一方、単価は10月が同14%高の82・3円、11月が同81%高の102・1円。2カ月計では同54%高の93・8円。

 渡島・胆振管内の本年度の漁獲量上限は10、11月合わせて2万2000dと設定しており、折半すると各1万1000d。しかし、渡島管内は6098dと不振。今後の漁模様によっては、先行利用枠を使用するかどうかは不透明な情勢だ。

 函館市木直町の伊豫部喜晴さん(54)は「10〜11月は計29回しか漁に出られなかった。TAC数量が増えたのに沖に出られないのは痛い。魚はいるから、なぎてくれれば」と話す。

 本年度は、漁場形成が早い3漁協(鹿部、南かやべ、えさん)が10月1日から先行操業。同15日以降、砂原、森、落部、長万部の各漁協、胆振と足並みをそろえて再操業している。(山崎大和)


◎JA新はこだて 函館支店女性部に優秀賞…道のチャレンジ活動表彰決定

 JA新はこだて女性部函館支店女性部(鮫川初江子部長、部員32人)が、道の本年度女性・高齢者チャレンジ活動表彰で優秀賞(地域社会参画)に決まり、道は11日、同支店(湯川町)で賞状を贈った。道南からは唯一の受賞。5〜10月の毎週土曜に開催する「湯川朝市」の定着などで、地域の活性化や農業振興に大きく貢献していると評価された。

 朝市では常時15種類以上の野菜や漬物、切り花などを直売するほか、部員が生産したタマフクラを町内の佐藤豆腐店に持ち込み、豆腐を製造してもらい、朝市で販売。また、在来種の赤カブ「函館赤かぶ」の千枚漬けの製造・販売、今年6月からは湯の川温泉ホテル2軒への野菜の納入販売も始めるなど、積極的に活動している。

 伝達式には、部員5人が参加し、渡島総合振興局の奥野恵樹農務課長が鮫川部長に賞状を手渡した。鮫川部長は「部員と関係機関の協力のおかげ。タマフクラや函館赤かぶという道南の伝統野菜に、付加価値を付けようと取り組んだのが良かったのでは。今後も加工品の販路拡大、朝市のお客を増やす努力を続けたい」と話していた。

 全道では最優秀賞1点、優秀賞2点、奨励賞2点が選ばれた。(山崎大和)