2012年12月17日 (月) 掲載

◎前田氏が初当選…衆院選道8区

 第46回衆院選は16日、投票が行われ、道8区(渡島・桧山管内)は即日開票の結果、自民党新人、前田一男氏(46)が10万7937票を獲得、民主党前職、逢坂誠二氏(53)を大差で破り、初当選を果たした。自民党は小選挙区が導入された1996年以来、悲願の初勝利。保守勢力が一本化され、全国的な追い風に乗って民主票も切り崩した。民主党は道内11選挙区で全敗。投票率は8区全体で59・22%、函館市は56・33%だった。逢坂氏は比例復活もなかった。

 前田氏は経済界と公明党からの支援を受け、労組を中心とする組織戦で挑んだ逢坂氏を破った。日本未来の党新人、北出美翔氏(26)も善戦し、共産党新人、高橋佳大氏(53)の票を大きく上回った。

 前田氏は今春まで松前町長を2期8年務めた。公募で自民党道8区支部長に就任し、無所属で挑んだ2003年以来、9年ぶりに国政へ挑んだ。

 「近年の函館・道南の衰退は自民党代議士がいない政治力が原因」と民主党批判を展開。地域経済の発展や一次産業の振興、大間原発の建設反対などを訴えた。中学、高校の同窓生らが支援し、建設、水産、商工団体などが手厚く支持。保守一本化で自民支持層をまとめたほか、公明票や民主の批判票を得て、議席を勝ち取った。

 逢坂氏は3年前の前回選挙で17万票以上を獲得して圧勝したが、今回は大逆風の中で守りの選挙を強いられた。

 自公政権で減らされた地方交付税の増額や噴火湾のホタテ漁業、コンブ漁対策、北海道新幹線の札幌延伸などの実績を説明、「古い政治に戻してはならない」と訴えた。しかし、大間原発の建設再開やTPP(環太平洋連携協定)への交渉参加問題などが響き、前回から票を大きく落とした。

 北出氏は第三極候補として大間原発の建設反対や反消費増税を訴え、無党派層や女性票、二大政党の批判票獲得を狙った。出馬が11月下旬と出遅れたが、推薦した新党大地が選挙態勢の構築に協力。唯一の女性候補や若さも強調した選挙戦で、支持を広げた。

 共産党の高橋氏は、大間原発やTPPの反対、消費税に頼らない道を訴え、党と候補者の政策がぶれない点をアピール。批判票の受け皿を目指したが、政権選択の波に埋もれた。(衆院選取材班)



◎函館の投票率56.33%…衆院選道8区

 道8区(渡島、桧山管内)の投票率は59.22%で、2009年8月の前回を4.19ポイント下回る結果となった。管内全市町で軒並み減少し、投票率は低迷した。

函館市は前回よりも10.77ポイント低い56.33%にとどまり、北斗市は同11.12ポイント減の59.01%だった。

振興局ごとの投票率では、渡島(2市を除く)は前回よりも6.26ポイント減の63.47%にとどまり、14振興局で13位だった。桧山は68.55%(前回比7.23ポイント減)だった。  各町の投票率は森が前回よりも14.1ポイント減の57.17%まで落ち込み、唯一の50%台。長万部が69.73%で、管内最高の投票率。松前が68.21%と2番目だった。

桧山は奥尻の75.42%を最高にせたな、厚沢部、乙部が70%を超えた。改行 投票日当日の道8区の有権者数は39万3030人(男性17万8479人、女性21万4551人)で、前回より1万610人減少した。(鈴木 潤)



◎パフォーマンス、演奏で観客魅了…東京ブラススタイル公演

 全国で人気のガールズ・ブラスバンド「東京ブラススタイル」の函館公演が16日、市芸術ホールで開かれた。多彩なパフォーマンスを繰り広げる出演者9人が熱演。地元中高生と共演する場面もあり、斬新なブラスのハーモニーを満喫した。

 市文化・スポーツ振興財団など主催。同バンドはアニメの名曲を独自にアレンジした楽曲を披露、国内外で人気を得ている。各地でワークショップ「放課後プロジェクト」にも力を入れており、今回は函館・近郊の生徒56人が参加、前日に指導を受けた。

 生徒たちはジャズ風にアレンジされた人気アニメの「空色デイズ」「We Are!」を合同合奏。変化に富んだリズムに合わせ、力強い音色を響かせていた。「カントリー・ロード」「魔訶不思議アドベンチャー」など同バンドの単独ステージでは、金管楽器それぞれの巧みな掛け合いを披露し、会場には来場者の手拍子が渦巻いていた。(長内 健)


◎いじめや自殺防止策探る…フォーラム

 いじめや自殺などについて考えるフォーラムが16日、道教育大の各キャンパスで開かれ、教職員ら約200人が参加した。このうち函館校には約50人が集まり、専門家や学校教職員の提言に耳を傾けた。

 同大の専門家らで構成する「いのちを大切にする教育の推進」プロジェクトチームの活動の一つ。各キャンパスを遠隔授業システムで結んで開かれた。

 札幌校の福井雅英教授は大津市(滋賀県)や札幌などで自殺した問題について触れ、保護者が探偵社にいじめの調査依頼を持ちかける事例の急増について説明。「子ども同士の結びつきを太くするためにも、さまざまな日常生活の問題を学級みんなで受けとめ、模索する。安心できる居場所作りを」と呼び掛けた。

 旭川校の川島大輔准教授は自殺予防教育を提言し、釧路市立青陵中の新井真人教諭は「言葉によるいじめをなくすため、言われてうれしい言葉を見たり、言われたり、言った出来事を紙に書いて、それを昼の放送で紹介している」とし、いじめを未然に防ぐための「いじめをしない させない 許さない(ISSY)運動」や地域交流合唱祭について説明した。 (平尾美陽子)