2012年12月21日 (金) 掲載

◎寒締めベビーリーフ開発へ 道南農試

 【北斗】道総研道南農試(北斗市本町)が今冬から、ベビーリーフの「寒締め」栽培技術の開発に乗り出す。寒さを逆手に取って商品の差別化や農家の冬場の収入確保につなげる。寒締め処理はホウレンソウや小松菜で既に導入されているが、ベビーリーフは道内農試では初めての取り組みという。

 寒締め栽培は、野菜を収穫前に寒気にさらすことで糖度やビタミンCが増す。ベビーリーフの通常の収穫時期は4〜10月だが、飲食店から冬季の安定供給を望む声が多いことに加え、雪の少ない道南では、ビニールをかぶせたまま何も作らず越冬させるハウスを有効活用できる。寒締めが実現すれば、生産期間が延びて所得増も期待できる。

 同農試によると、ホウレンソウだと糖度8以上で「寒締め」として出荷。ベビーリーフは、昨冬の試作結果では糖度が6〜11、ビタミンC含量も春、夏栽培に比べ上昇した。野菜ソムリエからは「味が濃くてドレッシングなしで食べられる」と高い評価を得た。

 本格試験では、ハウス1棟(100平方b)で小松菜やミズナ、カラシナなど22品目を栽培。品種ごとの耐寒性や、糖度、ビタミンCの経時的な変動パターンについて調査する。収穫は来年1月上旬〜3月上旬の見込み。

 同農試の高濱雅幹(まさよし)研究主任(35)は「寒締めは、冬に甘くてビタミンの多い野菜を安定供給できる。将来的には本州出荷も可能だろう」と期待を込める。栽培マニュアルを同農試ホームページで公開しており、試験結果を踏まえ「寒締め編」を追加する。

 2009〜11年度の研究で、同農試がベビーリーフ栽培技術を確立。本年度から本格的に普及し、今金町内4戸が栽培した。(山崎大和) 



◎力いっぱい そば作り 亀尾小中学校で体験会

 函館亀尾小中学校(木村元校長、児童生徒50人)は20日、そば打ち体験・試食会を行った。子どもたちと地域住民ら合わせて約90人が参加。地元産のそばを手打ちし、出来たてを味わった。

 授業の一環で毎年この時期に開催し、13回目。「そば打ち職人」こと亀尾町会役員の富樫光行さん(77)らが協力した。

 そば粉に水を回す作業から開始。固まるまで10〜20分以上かかり、子どもたちは中腰の姿勢で力いっぱいこねていた。のし棒で広げた後は短冊切り。富樫さんら指導員から「顔の真上から切るのがこつ」とアドバイスを受けながら、真剣な表情で包丁を握っていた。

 4年生の中條明理沙さん(10)は「上級生と一緒に作業したりこねたりするのは好きだけど、切ったらうどんみたいな大きさになっちゃった。けっこう大変です」と楽しそうに話していた。(長内 健)



◎産業協力で日台関係発展 沈代表が講演

 道南2市1町の5つの経済団体でつくる「道南台湾観光友好協会」(会長・石尾清広函館商工会議所副会頭)の設立記念セミナーが20日、函館市内のホテルで開かれた。台湾の駐日大使館に相当する台北駐日経済文化代表処の沈斯淳(しん・しじゅん)代表が「日台関係のこれから」と題し講演。約180人が参加し、台湾との経済交流の在り方を探った。

 9月に台湾の復興航空、10月にエバー航空が函館—台北間の定期便を相次いで就航させたことから、函館商工会議所が函館市亀田商工会や函館東商工会、北斗市商工会、七飯町商工会に呼び掛けて10月に同協会を設立。道南全体で観光客の誘致や経済交流の活性化を目指している。

 沈代表は観光について「11月までの日台の往来人数は270万人となっており、両政府が立てた今年の目標300万人に迫っている」とした。また、「北海道への関心が高く、往来人数も大幅に増加している。日本からの訪問も増えており、交流がますます盛んになるよう努力していきたい」と力を込めた。

 今後の日台関係発展のポイントとして@産業協力A文化交流B青少年の交流—を挙げ、「日本企業にとって台湾は信頼できるパートナーであり、中小企業同士が連携してアジア諸国の新興国に投資をしていくことが重要」と述べた。青少年同士の交流については「次世代の関係強化につながる」と強調した。(松宮一郎)


◎中心市街地活性化基本計画 修正原案を了承

 函館市が国の認定を目指している「中心市街地活性化基本計画」を検討する「市中心市街地活性化協議会」(会長・永井英夫函館商工会議所副会頭)の第2回総会が20日、ロワジールホテル函館で開かれた。新たに数値目標として路面電車の乗降人数を加えるなどした、同計画原案の修正案を了承。来年1月上旬に工藤寿樹市長に対し、意見書を提出する。

 同協議会は、商業団体や金融機関、学識経験者らで構成する法定協議会。市は来年1月に計画を策定した後、内閣府に申請し、3月の認定を目指している。計画期間は2013年4月から18年3月の5カ年で、各種事業に対し、優遇的な措置が受けられる。

 路面電車の人員数は、駅前・大門地区から本町・五稜郭地区の回遊性を示す有効な指標として採用。公共公益施設の利用者、街なか居住の推進などで、乗降人数の増加を見込み、11年の乗降人数9929人を17年には1万450人まで増加させる。

 主な事業の変更点は「WAKOビル」(若松町)内で市が整備する「子育て世代活動支援プラザ」とは別に、市民や観光客、修学旅行生などさまざまな世代を対象としたバーチャル体験ができる施設「はこだておもしろ館」を開設。中心市街地に新規で開業しようとする中小企業を対象とした融資制度「チャレンジ資金」の利率を1%優遇する制度などを盛り込んだ。

 また、市長に提出する意見書では「産・学・官・民が一体となって推進されることが重要」とし、適宜、計画に事業を追加するなど柔軟な対応を求めた。(今井正一)