2012年12月24日 (月) 掲載

◎生コン業界苦境 新幹線工事ピーク越え需要減 工場の集約化急ぐ

 北海道新幹線の開業が2015年度に迫り、橋りょうなど構造物の建設工事は終盤を迎えている。それに伴い生コンクリートの需要は激減するため、道南の生コン業界は将来に向けた岐路に立たされている。札幌延伸工事や自民党政権による公共事業増加への期待も高まっているが、業界挙げて工場の集約化を急ぎ、厳しい需要環境を乗り切る考えだ。

 道南地区生コンクリート協同組合連合会によると、生コン出荷量は1995年度の140万5660立方bをピークに年々減少。2008年度には44万3800立方bにまで減った。新幹線工事で需要は持ち直し、10年度が45万9300立方b、11年度が62万6200立方bと推移。本年度は約56万立方bとなる見込み。

 函館生コンクリート協同組合(北斗市)の本年度の出荷想定量30万3000立方b。そのうち18万立方bが新幹線工事で占めるため、工事をわずかに残すだけとなる13年度の出荷量は、本年度の半分に激減すると予想。北海道ティーシー生コン(北斗市)社長で同連合会の成田眞一会長は「需要はピーク時の3分の1。新幹線工事がなくなるとさらに厳しい環境になる」と危機感を強める。

 業界が期待を寄せているのは札幌延伸工事。供給の主体は函館地区から沿線の北渡島生コンクリート共同組合の管内にある森、鹿部、八雲町の工場に移る。関係者は「1日も早く工事が本格化してもらいたい」と話す。

 また、「コンクリートから人へ」と公共工事の削減を打ち出した民主党から、10年間で総額200兆円の公共投資を行うことを掲げた自民党に政権が移ったことにも期待の声がある。

 一方、業界全体としては、ピーク時に40以上あった道南の工場を本年度は25にまで集約。効率的な経営で適正な供給量の維持に努めてきたが、新幹線工事の需要減はさらなる工場の集約化を求める状況となっている。ティーシー生コンでは今月いっぱいで知内工場の操業を停止。1月から木古内町にある他社の工場で共同操業する計画だ。

 成田会長は「工場集約はこれまで各社が個々に取り組んでいたが、今後は組合主導、業界全体を挙げて進めていかなければならない」と話している。(松宮一郎)



◎ふくしまキッズ 冬プログラム始まる

 福島第一原発事故後の影響に不安を抱える福島県内の子どもたちを対象とした自然体験活動「ふくしまキッズ冬プログラム」が23日、スタートした。七飯町大沼を拠点とするプログラムには79人が参加。30日まで、雪遊びや民泊体験を行う。

 同事業は昨年夏から、学校の長期休暇ごとに開催。福島県を出発した子どもたちは23日午後にJR函館駅に到着。列車を降りた子どもたちは寒さも気にせずに雪景色を喜び、ボランティアスタッフとの再会を喜んだ。道内では、大沼のほか空知管内三笠市でも事業が行われ、函館駅から札幌行きの特急に乗り換えて出発した子どもたちも。

 いわき市から参加した小学4年生の竹田洋陸(ひろむ)君は「大沼は3回目。ふくしまキッズでできた友達とまた会えてうれしい。雪遊びが楽しみ」と笑顔で話していた。受け入れを担当する大沼ふるさとの森自然学校の穴沢剛行さんは「大半がリピーターの子どもたちで、期待感が大きい。冬の北海道を思いっきり楽しんでもらえたら」と話していた。(今井正一)



◎光黒大豆 選別作業本格化

 【厚沢部】正月料理の煮豆に重宝される光黒大豆の選別作業が厚沢部町で本格的に始まり、熟練のパート主婦らが一粒ずつ丁寧に手作業で選んでいる。

 光黒大豆は厚沢部の特産で全国へ出荷され、地元では煮豆のほか、風味の良さからお茶(黒豆茶)やケーキに活用されている。健康体質改善にも効果があるとされ、根強い人気だ。

 JA新はこだて厚沢部基幹支店では、桧山南部4町と八雲熊石の5町で計440fと道南では最大の作付け面積。記録的な大雪と酷暑、秋の長雨と厳しい自然条件にさらされたが、収量は732dの見込みで例年より120d多いという。

 豆は8・5ミリ以上で、傷がなく、黒光りでしわの少ないものが基準。風圧で余分なものを取り除き、最後に人の手によって最高級のものを選ぶ。

 農協施設での作業は午前9時から午後5時半まで続き、熊石地区の油谷鈴子さん(59)と井口満璃子さん(65)は「集中して選んでいる。ここのおいしい豆をたくさん食べてもらいたい」。桧山南部畑作振興会大小豆部会の西村志郎部会長(55)は「今年ほど、厳しい自然状況に振り回される年はなかった。苦労した」と安堵(あんど)の表情で出荷作業を見守っている。

 選別作業は来年5月まで続く。(田中陽介)


◎大間原発反対 市民団体アピール

 大間原発(青森県大間町)の建設阻止を訴えるイベント「あるいて、うたって、みんなでとめる大間原発!」が23日、函館市地域交流まちづくりセンターなどで開かれた。今回初めて、津軽海峡越しに同原発を望む大森浜で「STOP大間原発」の文字を並べて写真を撮影。衆院選道8区で初当選した自民党の前田一男さんに手紙を添えて届け、市民の思いをアピールする。

 市民団体「バイバイ大間原発はこだてウォーク」が主催、11月25日、今月8日に続いて3回目。ウオークには約60人が参加した。

 豊川町を出発、銀座通りを通って宝来町の大森浜まで約1・5`を「原発いらない」「子どもを守れ」などと声を上げてデモ行進。到着後、8枚のプラカード(1枚1b×70a)を掲げ、全員で写真に収まった。

 大間原発訴訟の会代表の竹田とし子さん(63)は「総選挙ではどの候補も大間原発反対を訴えていた。当選者は市民の思いを重く受け止め、中央にしっかり伝えてほしい」、市内東山の無職、西堀滋樹さん(63)は「原発を止められない社会システムを変えるために、声を上げていくことが大事」と話していた。

 手紙は、具体的プランを示すよう求める内容とし、24日にも前田さんに手渡す予定。

 同センターでは、ウオーク中も反原発の音楽ステージが繰り広げられた。(山崎大和)