2012年12月25日 (火) 掲載

◎キリスト生誕、荘厳に祝う

 クリスマスイブの24日、函館市内の教会ではクリスマスの礼拝が行われた。元町3の函館ハリストス正教会(ニコライ・ドミートリエフ司祭)では、一般市民を対象とした「市民クリスマス」が開かれ、参加者は聖歌や祈祷(きとう)文などを聞き、キリスト(ハリストス)の生誕を祝った。

 同正教会では毎年、聖夜の祈祷を多くの人と分かち合おうと、信徒でない一般市民にも聖堂を開放し、市民クリスマスを開いている。この日は約50人が参加。白と緑のロシア風ビザンチン様式の聖堂では、ろうそくの炎が荘厳な雰囲気を醸し出し、同正教会の聖歌隊が雰囲気あふれる聖歌を響かせた。

 ニコライ司祭は参加者に「歴史ある函館の正教会で、市民クリスマスを開けたことに喜んでいる。ぜひ今日のお祈りを思い起こし、自分の正しく歩むべき道を進んでください。そして自分の心を開いてほしい。そうすれば、勇気や力が授かり、不可能が可能になる」などと話した。

 約1時間で終了。最後にロシアから送られた、ウラジミールの生神女(しょうしんじょ)が描かれたイコンが、ニコライ司祭から参加者にプレゼントされた。札幌から訪れた主婦、相川めぐみさん(51)は「聖歌の響きがすてきで、耳から離れない。この感激を胸に、頑張っていきたい」と話していた。(山崎純一)



◎洞爺丸沈没からの生還体験を一冊に

 台風15号による暴風で青函連絡船「洞爺丸」が沈没した1954(昭和29)年9月26日、同船にコックとして乗船していた函館市湯浜町の秋保栄さん(79)が、九死に一生を得た体験を本「洞爺丸 生還した料理人」にまとめた。秋保さんは「生存者として被災体験を語ることは私の使命。絶対に風化させない」と力強く語る。

 洞爺丸は、台風15号により貨物船4隻とともに七重浜沖に沈没、1100人超が犠牲となった。秋保さんは、昨春まで調理師講師として訪れていた函館大妻高校の故外山茂樹前校長、池田延己校長から執筆依頼を受けていた。

 中学卒業後、船乗りを夢見て故郷の山形県戸沢村を飛び出した秋保さん。前半は、食べることで精いっぱいだった少年期に加え、洞爺丸の姉妹船「大雪丸」や景福ホテルで調理師見習いに励んでいた駆け出しの時代を紹介している。

 沈没当夜についての中盤は、交代要員として洞爺丸に乗り込んだ場面から始まる。出航から間もなく、船は台風に揺られ右舷に大きく傾斜。海中に滑り落ちていく乗客を眼前に、左舷の固定テーブルにしがみついて難を逃れる秋保さんの必死さが伝わってくる。

 脱出後、岸に流され、付近住民の介抱を受けた秋保さん。一命を取り留めたことを「幸運な偶然が重なった」と何度も強調。その後の料理人一筋の人生を「人々との出会いが支えてくれた」と振り返っている。

 本を手に、秋保さんは「100人以上の乗客が目の前で死んでいくのをこの目で見た。自然の力をばかにしてはならない。事故を知らない若い世代に読んでほしい」と話している。

 B6判、全85ページ、一冊952円(税別)。問い合わせはものかき工房。(長内 健)



◎乙部のハチミツ本格販売

 【乙部】住民有志や地元漁協、森林組合、町教委などでつくる「乙部町魚つきの森づくり協議会」(中川眞一郎会長)は、地元の植樹活動の一環で、乙部産100%のハチミツづくりに取り組んでいる。本格的な商品化は今季からで「ようやく満足できる仕上がりになった。土産やお歳暮に」とPRしている。

 事業は、桧山振興局の地域づくり総合交付金200万円と町の支援200万円を活用。ハチミツは、アカシアとトチの2種類で、町有林と民有地の330fで採取した。約60年前から乙部で活動する広島県の養蜂専門業者の協力で事業を展開し、昨年初めて採取したが、天候不順の影響で糖度が低く、商品化を先送りしていたという。

 今年は好天に恵まれ、6月下旬から7月中旬にかけて採取し、不純物を取り除く作業も順調で11月中旬から瓶詰めに移った。同協議会によると、今年は約300`cの生産で、糖度は通常のハチミツで75度程度が多い中、78度以上と最高級だ。

 瓶詰め作業は、旧栄浜保育所を活用し、衛生管理に徹底して取り組んでいる。収益は必要経費を除き、今後の植樹活動に充てるという。

 年内に町内の契約店舗や道の駅などで販売する。ポスターも完成し、1日のさっぽろ乙部会でも地元土産として重宝された。

 中川会長は「古里の新たな特産品としてだけではなく、豊かな森林と海を育むことで基幹産業の発展につながり、積極的な商品化で雇用確保も狙いたい」と意気込む。

 このハチミツは170c800円、500c2100円。数量に限りがある。

 問い合わせは中川会長(TEl0139-62-3783)、根元健治事務局長(TEL090-8630-6175)。(田中陽介)


◎修道院への道、キャンドルで幻想的に

 【北斗】トラピスト修道院(三ツ石)へ通じる並木道を手作りのアイスキャンドルでともす「ローマへの道冬物語」(実行委主催)が24日、同並木道で開かれた。同並木道を「ローマへの道」と名付けたのを契機に石別地域の住民などが中心となって企画したイベントで、8月に続く開催。大勢の来場者が幻想的な雰囲気を楽しんだ。

 並木道に並べたキャンドルは約300個。うち200個は実行委のメンバーや地域住民らが牛乳パックなどを利用し、手作りの氷の器を完成させた。運営には市やシーニックdeナイト2013実行委員会が協力。

 イベントが始まった午後5時すぎは氷点下の気温で、来場者は白い息を吐きながらスタート地点の北斗石別中学校前から修道院へ続く約1`の一本道を歩き、時折、立ち止まってほんのりとともる明かりを見ていた。

 同中学校前では、大野農業高校のブドウで醸造したワインが30ボトル限定で販売され、完売。トマトビーフシチューや特製おでん、ココアなどの売り場もあり、来場者は好みのメニューを買い求め冷えた体を温めた。

 家族そろって来場した函館東山小5年の斉藤慎太郎君(11)は「すごくきれい。冬の思い出になります」と笑顔。実行委の山田淳一委員長は「子どもたちや若い人の心に残るイベントにしていきたい」と話していた。(鈴木 潤)


◎サッカー高円宮杯U15、Sイーグル8強

 【大阪】中学世代国内最高峰のサッカー大会、高円宮杯全日本ユース(U−15)選手権大会(日本サッカー協会主催)第2日は24日、大阪府堺市のJ−GREEN堺で2回戦が行われた。

 初戦を突破したスプレッドイーグルFC函館はJリーグクラブチームのロアッソ熊本ジュニアユースと対戦。初日に続いて試合終了間際に途中出場の横山蓮太(浜分2年)が勝ち越し点を決めて3−2で競り勝ち、ベスト8進出を決めた。

 第3日の26日は同会場で準々決勝を行い、アルビレックス新潟ジュニアユースと対戦する。