2012年12月26日 (水) 掲載

◎啄木の長女・京子らの未公開写真、函館に寄贈

 函館ゆかりの歌人、石川啄木の長女、京子(1906〜30年)と家族らが写った昭和初期の写真5枚が25日、所有する関係者から、函館市中央図書館の函館啄木文庫に寄贈された。啄木の関連資料を保管する同文庫管理者の函館啄木会(岡田弘子代表理事)などによると、京子の成人期の写真が公開されるのは極めて珍しいといい、来春市文学館で公開する予定だ。

 寄贈写真は、@かっぽう着姿の京子A夫の正雄B親友、松田テルと京子C長女晴子と長男玲児—などで、C以外は未発表。所有者は、新聞記者として正雄の同僚だった故常野知一郎の四男、正紀さん(71)=千葉県柏市。正紀さんが、いとこに当たる箱館歴史散歩の会主宰者、中尾仁彦さん(70)に今夏、写真を見せたのがきっかけで、公表につながった。

 啄木ら両親の亡き後、京子は函館で祖父母に育てられた。26(昭和元)年に須見正雄と結婚。翌年に晴子を、その2年後に玲児を出産したが、30年12月、急性肺炎のため24歳の若さで亡くなった。

 テルのアルバムに貼られていたという写真5枚は、34年の函館大火当時、谷地頭町に住んでいた知一郎が肌身離さず外に持ち運び、焼失を免れた。京子の写真は幼児期のものは数枚現存するが、成人期の写真はほとんど存在しないとされていて、岡田さん(87)や啄木の遺族である石川好子さん=東京在住=が事実確認した。

 さらに、石川さんから岡田さんへは、京子一家の写真など4枚が新たに提供された。

 今月25日の記者発表には中尾さん、岡田さん、正紀さんの妹の大泉昭子さん(69)=函館市深堀町=らが出席。中尾さんは「啄木没後100年の節目の最後にこうした運びになって感無量の思い」と喜び、岡田さんも「大変な貴重な写真だ。啄木文庫も資料が豊富になった」と笑顔。

 写真は画像処理された複写データとして啄木文庫に寄贈された。現物は同文学館で来年4月、石川啄木直筆資料展に出展される予定。(長内 健)



◎函館八幡宮で「大すす払い」

 今年もあと1週間—。函館市谷地頭町の函館八幡宮(中島敏幸宮司)で25日、社殿や境内にたまった1年分の汚れを落とす神事「大すす払い」が行われた。神職が長さ4bの竹に、ササの葉を縛り付けた忌竹(いみだけ)を使い、はりや天井にたまっていた1年分のほこりを払い落とすなどした。

 忌竹に使う竹は、鏡内にある山林から切り取って用意。この日は午前9時に神職や巫女(みこ)が掃除を始める参拝をした後、マスクを付け、約200畳の広さの拝殿の作業に入った。  忌竹が天井や入り口などを払うと「サー、サー」という音が響き、ほこりが落とされた。窓は巫女がはたきを使って行った。続いて床や畳を掃き、きれいにした。

 今後は、しめ飾りの取り付けなど、新年を迎える準備に入るという。(山崎純一)



◎アンテナショップ1周年、秋以降 売り上げ回復

 函館市が東京のローソン京橋駅前店内にアンテナショップ「函館もってきました。」を開設し、1周年を迎えた。市によると夏場に売り上げが落ち込んだが、今秋以降は回復基調にあるといい、「今後は季節ごとにイベントを展開し、固定客確保につなげたい」としている。

 ショップは地場産品の販路拡大やブランド化を目指し、市が委託料など運営費200万円で昨年12月に開設。店の一角に約10平方bの物産コーナーを設け、食品、飲料を中心に函館や近郊の物産品約100品目を販売している。

 市商業振興課によると、ショップでの売れ筋商品は、薫製卵「函館物語」や、塩辛をフリーズドライにした「塩辛、干しちゃった」など。道内限定の「コアップガラナZERO(ゼロ)」や、ご当地キャラメルもリピーターが多い。

 開設当初は堅調な売り上げを示していたが、購買単価下落の影響などで目標額の日額3万円を下回る状況が続いている。特に夏場は「夏向け商品が少なかった」(市商業振興課)と売り上げが落ち込んだが、10、11月は一転して回復傾向にある。

 開設から丸1年を迎えた12月21、22日には同ショップで「1周年大感謝祭」を展開。アンケートの回答者にスイーツをプレゼントしたほか、季節感を打ち出そうと、21日からはカニまんじゅうの販売も始めた。

 市は9月にホームページを立ち上げたほか、職員手づくりの新聞を作成して店内に貼るなど、物産と観光両面でPRを強めており、今後は商品をこまめに入れ替える方針。ショップ周辺には24階建ての複合ビルが近くオープンする予定で、さらなる固定客確保が課題となる。

 市商業振興課は「1年間で売れ筋商品を把握し、ノウハウを蓄積できた。季節感のある商品を投入し、イベントも行って周知に努めたい」と話している。(千葉卓陽)


◎クリスマスファンタジー盛大に閉幕

 函館市西部地区の赤レンガ倉庫群を会場に、1日から繰り広げられた「2012はこだてクリスマスファンタジー」(実行委主催)が25日、閉幕した。会場には強い風が吹く中、大勢の市民や観光客が詰め掛け、歌やダンスなど多彩なステージで最後のイベントを楽しんだ。

 この日、午後6時から行われた点灯式は、同イベントのオリジナルキャラクター、サンタクロースの「ニッキー」、トナカイの「ファンファン」らが務めた。続いて、特設ステージで市内のアーティストによる音楽ライブや函館短大エアロビックダンス部、同教育大函館モダンダンスクラブなどが出演し、会場を盛り上げた。

 午後8時からはファイナルセレモニーが始まり、ライブに出演したアーティストたちがステージに集結。約5万個の電飾を施したメーンツリーの輝きをバックにオリジナルソング「もみの木のおくりもの」を歌い、フィナーレへといざなった。

 ラストに花火が盛大に打ち上がると、対象的にツリーは徐々に光が弱まり、25日間のイベントに幕を閉じた。

 中村由紀夫実行委員長は「今年は強風でツリーが折れ、点灯式ができない日もあったが、たくさんの方たちに支えられて無事に終えることができた」と感謝の言葉を述べていた。(金子真人)