2012年12月31日 (月) 掲載

◎年越し準備万端 大勢の市民にぎわう

 今年も残り一日となった30日、函館市内の市場などは正月料理の食材を求める大勢の市民でにぎわった。飲食店やホテルでは年越しそば、おせち料理作りが本格化し、関係者は新年前の追い込みを迎えている。

 ■おせち仕込みピーク

 函館市内のホテルや料理屋などは、おせち料理作りが本格化した。函館国際ホテル(大手町)では約30人が朝から料理の仕込み、盛り付け、重箱に詰め込む作業に追われた。

 同ホテルではこれまで和食、洋食、中華料理を別々に販売してきたが、今年は限定100点のセット販売(3万3000円)に。全て手作りに切り替え、伊勢エビ、アワビ、フカヒレといったメーン料理のほか、地元産のホタテやシイタケの炒め物、シカ肉のジャーキーなども添える。

 調理場ではスタッフが全体の色合いに気を配りながら、一品ずつ丁寧に重箱に盛り付けた。10人分のおせちが完成し、調理部の木村史能総料理長(49)は「今までにない出来。満足してもらえる自信があります」と話していた。

 ピークは31日で、90人分を作る。

 ■正月食材買い求め

 函館市民の台所「中島廉売」(中島町)は、刺し身など正月用の食材を買い求める市民らで込み合った。改行 あいにくの雨にもかかわらず、午前中から多くの人が足を運んだ。「大サービスだよ」などと威勢のいい声が飛び交い、店の前に人だかりができた。

 「鮮魚ささき」(前直幸社長)では、刺し身用のエビやホタテ、アワビなどが売れ筋。同店は「道南近海で水揚げされた生シマエビや戸井産の活ナマコがお薦めです」とPRしていた。

 「いづみ惣菜(そうざい)店」(和泉久美店長)では、おせち料理に欠かせない黒豆、なます、昆布巻き、だし巻きがずらり。和泉店長は「29〜31日が一番忙しい。どれも手作りでお客には好評。おいしい料理を食べて良い正月を迎えてほしい」と笑顔を見せた。

 家族5人で買い物に来ていた深堀町の会社役員、佐々木慎治さん(42)は「刺し身などは新鮮なものがそろっている。正月は家族とゆっくり過ごしたい」と話していた。

 「はこだて自由市場」(新川町)や、スーパーも終日混雑した。中島廉売は31日も営業する。

 ■年越しソバづくりピーク

 函館市内のそば店では、大みそかに向けた年越しそばの製造がピーク。甘くてこしの強い手打ちそばが自慢の「そば処起進堂」(深堀町、小川進越店主)では、注文分の450人前を生産しようと、そば切りや袋詰めに追われている。

 釧路管内弟子屈町特産の最高級そばを使う同店では、小川店主(58)が石臼でひいたそば粉に水と小麦粉を混ぜてこねる。塊にした後、打ち粉をまぶし、長さの異なる数本ののし棒で15分ほどかけて平らに伸ばす。厚さを約2_にそろえ、最後に切っていく。

 まとめて15人分を作るのに約40分かかるといい、小川店主は「おいしいそばを食べてほしいから気が抜けない。31日も徹夜しないと」と慌ただしく作業に追われていた。

 同店の年越しそばは手打ち700円、機械製550円。予約は既に終了している。



◎31日から元日にかけ、荒天

 函館海洋気象台によると、北海道付近は31日から1月1日にかけて冬型の気圧配置が強まる見込み。道南の天気は雪で、桧山は31日から、渡島は1日から吹雪となり、大荒れとなる所があるとしている。初詣などに出掛ける時など、吹きだまりによる交通障害に注意を呼び掛けている。

 道南の初日の出の時間は、海上保安庁第一管区海上保安本部によると、函館山の午前7時0分。五稜郭タワーと恵山岬同7時2分、松前町白神岬同7時4分、長万部町同7時8分、奥尻町青苗岬同7時10分となっている。



◎チーズにワイン入れました 函館酪農公社がテスト販売

 函館酪農公社(函館市中野町、柴田満雄社長)は、はこだてわいん(七飯町)と共同でワイン入りのチーズを開発した。試行錯誤を繰り返してできた自信作。現在は正式販売に向けたテスト販売をしている最中で、函館酪農公社では「はこだてわいんの看板商品とのコラボレーションでおいしいチーズができた」とアピールしている。

 開発したのは同社の金子岳夫LABO室長。「発酵食品同士、相性は良いのでなんとしかて商品化したかった」と話す。今年夏にチーズにワインを入れ、仕込みを開始。じっくりと発酵させ、年末年始時期に合わせて完成させた。

 使用しているのは「ナイアガラしばれづくり」。はこだてわいんの人気商品で赤と白の2種類を作った。ワインは、芳醇でフルーティーな味が特徴。チーズに入れることで、そのまま豊かな香りを楽しむことができる。

 正式販売に向けて品質をアップさせるため、購入者にハガキを手渡し、アンケートを実施しているが、これまでのところ反応は上々だという。金子室長は「ワインはもちろん、紅茶にも合う。ぜひ一度食べてほしい」と話している。

 90グラム600円。函館空港で7日まで開かれている「道南物産展」でのみ販売している。(松宮一郎)


◎夜間に市電乗り放題 1月3日から限定切符発売

 函館市企業局交通部は、夜間に市電が乗り放題となる期間限定切符「トワイライトパス」を1月3日から発売する。観光閑散期の冬場の乗車促進が目的で、大人1人300円で利用可能で、3月末まで販売する。

 2009年度の発売開始以来、毎年、利用客数を伸ばし、昨年度は延べ3097人が利用。今年は3500枚の販売を目標とする。事業課は「クリスマスファンタジーの終了後は観光客も減少し、乗客も落ち込む。往復で利用するだけでもお得になる割安感が魅力で、好評をいただいている」とする。

 乗車券は名刺サイズ。100周年のロゴマークと、十字街電停で停車する「530号」と「ササラ電車」の2ショットをあしらった。午後6時以降の車内でのみ販売し、当日に限り、終電までの時間帯に何回でも乗り降りができる。

 同課は「市電をあまり利用されない人が『たまには電車もいいな』と思うきっかけとなってもらえれば。利用者層の調査を行い、今後のニーズ把握にもつなげたい」としている。問い合わせは同課電話0138-32-1730。(今井正一)