2012年12月4日 (火) 掲載

◎衆院選きょう公示、道8区は4人立候補へ

 第46回衆院選は4日、公示される。道8区(渡島・桧山管内)には民主党前職の逢坂誠二氏(53)、日本未来の党新人の北出美翔氏(26)、共産党新人の高橋佳大氏(53)、自民党新人の前田一男氏(46)の4人=五十音順=が立候補を予定している。政権の座を懸けた二大政党対決に第三極がどう絡むかが焦点で、8区は大間原発建設やTPP(環太平洋連携協定)参加などをめぐって舌戦を展開。16日の投開票に向けて12日間の選挙戦に突入する。

 逢坂氏は比例単独からくら替えした2009年8月の前回選挙で、17万票余りの圧倒的な得票数で当選。小選挙区は2度目の挑戦となる。政権運営をめぐって民主党に強い逆風が吹く中、公立高校授業料無償化や診療報酬のプラス改定など、3年間の実績を前面に押し出す構え。逢坂氏は「逆風をばねにして戦う」と気を引き締める。

 北出氏は8区唯一の女性で、同党では道内初の候補者。当初「国民の生活が第一」公認で出馬を予定したが、生活は嘉田由紀子滋賀県知事が立ち上げた未来の党に合流した。出馬表明が解散後の11月下旬と遅れた中、卒原発、脱増税、反TPPなどを打ち出して無党派層の取り込みを図る。推薦する新党大地の選挙協力を得て初当選を目指す。

 高橋氏は96年以来2回目の挑戦。共産党としても05年以来の小選挙区擁立で、比例候補と連動した戦いを進める。昨年春まで12年間函館市議会議員を務めた経験をアピールするとともに、「即時原発ゼロ」の政策を強調。「党と候補者の主張に違いがなく、ぶれない政党という点を訴えたい」と意気込み、政党乱立の中で党勢拡大を図る。

 前田氏は03年以来2回目の出馬。今春まで松前町長を2期8年務め、地方自治の経験を積んで臨む。小選挙区で初めての自民議席奪取に向け、前回得られなかった公明党の推薦を得た。大間原発の建設中止やTPP参加への反対、一次産業活性化などを掲げ、「保守勢力が一つにまとまり、道南経済のさらなる成長を目指す」と訴える。

 また公明党は10区(空知・留萌管内)で初めて小選挙区候補を擁立し、10区以外では自民党候補を推薦し、選挙協力する。比例候補のうち1人が9日に函館入りして演説会を開催する。(衆院選取材班)



◎同志社、医学部検討チームを発足

 函館市が新設医学部の誘致を打診している学校法人同志社(京都市、八田英二理事長)が、「医科大学(医学部)設置基本計画検討チーム」を発足させた。国の新設容認に向け対応を加速させる狙いで、初会合を年内に開く。従来の情報収集から一歩前進させ、独立した医大設置も視野に検討作業に入る。

 同大によると、11月24日の法人理事会で同チーム編成を承認。八田理事長が同30日に同大で記者会見し発表した。八田理事長は医学部は創始者・新島襄の強い希望だとかねて強調しており、実現すれば総合大学として完結する。

 同志社は情報収集を目的としたプロジェクトチーム(PT)を今年1月に設置。検討チーム(責任者・八田理事長)は、従来のPTメンバー6人に数人の有識者を加える。

 @連携地方自治体の特定A病院の管理・運営形態と施設設備の整備計画B財政負担C政府への働き掛け—など8つの課題を掲げて検討を進める。関西を離れて設置することの整合性から、医大という設置形態も検討する。

 候補地選定をめぐり、既に函館市を含む約10の自治体から打診や問い合わせが来ており、自治体側の誘致策を見極め、連携の可能性を探る。同志社は東日本での医師不足・偏在を指摘、医学部をつくる場合は東日本の自治体と連携することで国が認可する可能性が高いとの見方をしている。

 同大は「設置の最終判断はあくまでも法人理事会。意思決定に必要な材料を検討していく」(広報課)としている。

 検討チーム発足について、函館市は「学内で組織化されたことは、同志社にとっても市にとっても一歩前進」(企画部)と受け止める。

 今年に入り工藤寿樹市長は2度、京都を訪問し連携を要請。既に途上国の学生の受け入れや、市内の大規模病院を「連携病院」とすることを提案しており、今月中に市医師会や市立函館病院の医師らで構成する勉強会を立ち上げる予定。(山崎大和、千葉卓陽)



◎函水高、商船学校の校歌再現へ情報募集

 館水産高校(三ッ石茂之校長、生徒474人)が、同校の前身函館商船学校(1879〜1935年)の校歌を再現する試みを進めている。同校が探し当てたのは楽譜の前半のみ。残る後半部分を所有またはメロディーを知っている人から情報を募っており、同校は「歴史を知ることで、当時の船員気質を呼び起こすきっかけにもなれば」と期待を込める。

 函館在住の田村和子さんが、父・紺野孝造さん(故人)の手掛けたアルバム「北海道庁函館商船学校第31回卒業記念写真帖(ちょう)」を市中央図書館に寄贈。その中から、校歌全3番の歌詞と楽譜を見つけ出した。作曲は武蔵野音楽学校(現武蔵野音大)を設立した福井直秋で、作詞者は不明。校歌を再現しようと、函館在住の作曲家、作道幸枝さんにピアノ演奏を依頼したところ、楽譜が半分しかないことが判明した。

 函館商船学校を含む全国に11あった公立商船学校は、世界不況の余波で廃校となった。その後、11校出身者で設立した「全日本船舶職員協会」が船員の生活や技量の向上、海事思想の普及に尽力してきた。

 函水高には、明治時代の教科書(英語の原書)が残されており、函館商船学校の操帆訓練教材として造られ、横浜に展示されている帆船模型「北光丸」に往時をほうふつとさせる航海旗や日章旗を掲げるなど、歴史の一端を再現してきた。我妻雅夫教諭は「商船学校の歴史を掘り起こしていくのが、函水高の使命」と強調する。

 船乗りには、船と心身を共にし安全・確実に運航する義務があるという。三ッ石校長は「船員のアイデンティティーを保つために当時の校歌を旗印にしたい」と話す。

 また、音楽の授業や吹奏楽部での演奏など、多様な教育を展開できるメリットがある。校歌を完全に再現できれば、「CDに録音し、商船学校卒業生の身内の方や全日本船舶職員協会に届けたい」と同校。情報提供は我妻教諭電話0138・49・2412へ。(山崎大和)


◎函館の4人がショパン国際ピアノ全国大会へ

 10、11月に札幌や青森などで行われた「ショパン国際ピアノコンクールinASIA」地区大会で、函館在住の4人が金、銀、銅の各賞を受け、年明けに東京で開かれる全国大会に出場する。4人は「地区大会以上の力を発揮したい」と意気込んでいる。

 同コンクールは、ポーランドの作曲家ショパンの作品演奏を通じ、国際レベルの優れた演奏家の発掘、育成を目的に毎年開催。ソロ、コンチェルト、アマチュアソロの3部門あり、さらに年齢別に分けられる。

 函館からは、アマチュアソロで辻口みち子さん(40)=桔梗=が銅賞、ソロ小学3・4年生では、谷藤全(あきら)君(10)=道教大附属函館小4=が金賞、畑中ゆきさん(10)=亀田小4=が銀賞、同小学5・6年生では荻原るうかさん(11)=同小5=が銅賞を受賞した。

 小学生時代に数年間習ったピアノを10年前から再び始めた辻口さんは、コンクール初挑戦。子育てや家事など忙しい生活の合間を縫って伊藤亜希子さんの教室に通い、自宅での練習も余念がなかった。演奏曲は難曲の「バラード第3番」。本番では緊張したと振り返るが「今の力を出し切ることができた。挑戦する機会を持ったのは財産になったし、全国では100%の力で臨みたい」と意気込む。

 今年の市青少年芸術教育奨励事業・音楽部門で金賞に輝いた谷藤君も初挑戦で、同部門出場者中ただ一人の金賞を受けた。後町久子さんに師事しており今年9月からは「バッハの演奏曲などをどう表現するか、どう歌うかを細かく考え鍵盤に向き合ってきた」といい、「全国のレベルは一層高くなるけど、納得のいく演奏を目指す」と話す。

 伊藤さんに習う荻原さんは2回目の挑戦で、ミスしないよう毎日鍵盤に向き合い、本番で実力を発揮した。全国では「幻想即興曲」を奏でるといい、「素早く弾く部分、ゆったり弾く部分それぞれをしっかり表現できるように準備する」

 同じく伊藤さんに習う畑中さんは初出場。譜読みに熱心なほか、苦手な部分の反復練習も欠かさなかった。全国では「ワルツ第7番」を弾く予定で「ミスを減らし、もっと納得できる演奏がしたい」と話している。(長内 健)