2012年1月11日 (水) 掲載

◎市臨海研究所のウニ、キャベツ食べすくすく成長

 函館市臨海研究所(大町13)で飼うウニが、キャベツやジャガイモ、ホウレンソウ、キュウリを食べて生きている。旺盛な食欲に来館者らが興味を寄せ、「健康的でかわいい」と人気を集めている。

 野菜を食べているのは、昨夏のイベントで地元漁協の協力で運ばれたバフンウニとキタムラサキウニの計7匹。一般的なウニはコンブなどの海藻を好むため、研究所でも当初マコンブを置いたが水の濁りが激しく、断念したという。

 その中で「どこかで野菜を食べるウニの話を聞いた覚えがある」(職員)とキャベツを与えたところ、7匹が一気に食らいついた。年末年始は職員が不在になるため、通常より多い野菜を入れ、「仕事始めでウニの元気な姿を見られてほっとした」と職員の小園敏弘さん(38)。井口佳子さん(25)も「キャベツをあげるとすぐ集まってくるのがかわいくて」と愛情を注ぐ。

 道総研中央水産試験場(余市町)の資源増殖部の干川裕・研究主幹によると、ウニの味の決め手はコンブのうま味成分で「野菜を食べたウニは大きくなるが人間が好む味にはならない」という。

 研究所は「道南近海によくいる海産物の生態を修学旅行生らに身近に感じてもらえる機会になれば」としている。

 開館は午前9時〜午後5時。土曜・日曜、祝日休み。(田中陽介)



◎函館音楽協会賞に高市氏、奨励賞は「クレアシオン」

 函館音楽協会(吉田淳子会長)は10日、2011年度の協会賞と奨励賞を発表した。協会賞に函館三曲協会会長の高市雅楽司峰(うたしほう、本名・一男)さん(81)、奨励賞に函館の演奏団体「クレアシオン」(畑中一映代表、会員22人)を選んだ。表彰式は28日午後6時から、五島軒本店(末広町)で開かれる。

 両賞は、同音楽協会に所属する個人や団体の1〜12月の活動から選考。協会賞は過去の実績や地元の音楽文化向上への功績に、奨励賞は作曲または演奏活動に意欲的で高水準の実績を残し、郷土の音楽活動を推進させた功績に対して贈られる。吉田会長ら同協会会員11人が選んだ。

 高市さんは1951年から、学校で筝(こと)を通じた日本の伝統音楽の普及に尽力。市文化団体協議会第15代会長を務めたほか、現在も函館三曲協会会長、函館市民オペラの会副会長を務めるなど、長きにわたり函館の芸術文化発展に貢献している。

 地元の音楽家でつくるクレアシオンは、94年9月の発足以降、年4回演奏会を開催。作曲家や季節などさまざまなテーマを設け、完成度の高いステージを展開。クラシック音楽を市民に身近なものとして提供し続けている。

 高市さんは「協会賞を頂けるとは思ってもみなかった。自分は果報者です」と喜び、「今年は三曲協会創立60周年。節目を祝う春の記念演奏会に向けた準備を頑張りたい」と話した。

 畑中代表(41)は「毎年4回の演奏会を開く継続性が評価されてうれしい」と話し、「聴きに来てくださる市民の存在があったればこその受賞。今後も、今まで以上に喜んでもらえるよう質の高い演奏会を開いていきたい」と抱負を述べた。(長内 健)



◎渡島保健所に放射能簡易検査機設置へ

 道は、食の安全・安心を確保するため、渡島(函館市美原4)を含む道内6保健所に簡易放射性物質検査機器を年度末までに設置する。コメや野菜、肉、魚など食品全般を対象に、放射性物質の有無を調べるスクリーニング検査を行う。札幌に検体を送らなくても、地元で一次検査できる態勢が整う。新年度から運用する方針。

 福島第一原発事故の影響で、道南でも昨年、放射性セシウムを含む稲わらを給与した牛肉が相次いで見つかった。汚染の疑いがある牛肉は、より精密な検査ができる「ゲルマニウム半導体検出器」がある道立衛生研究所(道衛研、札幌)へ検体を送り、調べていた。牛肉だと1日で検査結果が分かるものの、検査の事務量が膨大など課題もある。国は昨年7月29日付で、牛肉中のセシウムを検出するためのスクリーニング方法として、簡易検査機の使用を認める通知を都道府県に出し、検査の迅速化と効率化を促した。

 これを受け道は、「ガンマ線スペクトロメーター」(1台約300万円)を、3次医療圏ごとに1台配備することに。渡島のほか、帯広、釧路、岩見沢、上川(旭川)、北見の各保健所に順次設置する。

 同検査機は、1検体あたり約20分でセシウムの有無を測定。検査で一定程度のセシウムが確認された場合は、道衛研で詳細な数値を確定する。渡島保健所は「規制値を超えた食品の流通を未然に食い止め、道民の健康被害発生や拡大を防ぐ」(生活衛生課)と強調する。

 渡島では、検査機を「試験検査室」に配備し、職員3人が検査を担う予定。今後、職員が研修を受けるほか、検査ルールなどを決める。

 道内で、食品中の放射性物質を検査できる機関は道衛研のほか、民間の道薬剤師会公衆衛生検査センター(一般からの受け付け可)がある。

 また、道は渡島を含む全総合振興局に計9台、24時間続けて空中の放射線量を自動測定するモニタリングポストも配備する。各総合振興局の敷地内に年度中に整備し、測定を始める。現在は振興局職員が週2回(火曜、金曜)の午前9時に、線量計で空中の放射線量を測定している。ポスト設置後、職員による測定をやめるかは未定。(山崎大和)


◎市電の年末深夜便利用、採算上回る好評ぶり

 忘年会シーズンに合わせ、函館市交通部が昨年12月の週末に初めて運行した深夜帯の市電「ミッドナイトトラム」の利用が当初の目標を約3割上回る好評ぶりだった。ピーク時には採算ラインの1・8倍に当たる乗降客数を記録し、同部事業課は「潜在的な需要の掘り起こしにつながった」としている。

 深夜便は同12月2〜23日までの計8日間、毎週金、土曜を中心に最終便後に湯の川—谷地頭、函館どつく前間をそれぞれ1往復ずつ増発。通常よりも1時間ほど終電が延長され、例年、忘年会などで混み合う利用客のニーズに対応した。

 同部によると、必要な人件費を賄うためには1便当たり往復で平均20人の乗車が必要だった。計8日間で延べ425人が乗車。1便当たり平均27人が利用し、目標を上回った。告知期間が短く、序盤は低迷したが、ピークとなった同17日には平均38人が乗車した。

 一方、通常の最終便も例年より混雑し、湯の川—函館どつく前間では期間中、往復で平均100人が乗車。ピーク時の同17日には湯の川発函館どつく前行きの五稜郭公園前で乗り降りした人が63人に上るなど「朝の通勤時間帯並み」(同課)のラッシュとなった。

 また、JR函館駅前で1次会を行い、五稜郭地区での2、3次会への移動利用や、タクシーに比べて割安な消費者の節約志向もあったとみられ、同課は「今後は運行する時期や時間帯を見極めながら、今後の運転も検討したい」としている。(森健太郎)