2012年1月13日 (金) 掲載

◎「みかど」函館撤退、営業は継続

 JR函館駅構内の駅弁店などを運営する「みかど」(大阪市、後藤二郎社長)は15日で、函館営業所(函館市若松町)の営業から撤退する。業績不振が主な要因で、東日本大震災が追い打ちをかけた。弁当製造や同駅で展開する駅弁店やそば店などの業務は、同駅の店舗運営を手掛けるジェイ・アールはこだて開発(函館市若松町)が引き継ぎ変わらず営業する。

 同社は1889(明治22)年創業。大阪や東京、名古屋を拠点にレストラン・喫茶や駅弁販売などを手掛け、弁当は旅行会社や一般顧客を中心に幅広く販売してきた。

 30年代から営業する函館営業所は、函館駅構内の弁当店のほか、ホーム内のそば店・立ち売り弁当販売、同駅敷地内の社員食堂、JR五稜郭駅内そば店の5カ所を運営。しかし近年の営業不振に加え、昨年3月の震災では工場を併設した本社が津波で被災。炊飯釜や配送車などの備品に500万円程度の直接被害があった。さらに震災後の需要落ち込みから売り上げが減少する間接的影響が特に大きく、今回の決断に至った。

 営業主体は16日から移行するが、5カ所すべてが従来通りの営業を続け、営業時間も変更しない。ただジェイ・アールはこだて開発は現在メニューの検討中で、すべてが残るかは未定だ。(小泉まや)



◎敬老祝い金を全廃、函館市が方針

 函館市は12日、昨年9、10月に行われた「事業仕分け」の判定結果に対する方針をまとめた。1969年度から実施してきた敬老祝い金を全廃するほか、交通機関乗車料金助成制度は東部4地域を含めて、利用実績に基づく助成に改めることなどを打ち出している。

 事業仕分けは公募を含む外部委員14人が2班に分かれて審査し、9、10月で延べ45事業を審査した。市は判定結果に対し、昨年末に2度、行財政改革推進統括会議を開いて対応策を決めた。

 77、88、99、100、101歳以上の高齢者に現金を贈る敬老祝い金事業(本年度予算5129万円)は、廃止の理由として、100歳時に内閣総理大臣からの祝い状と銀杯が交付されていることや、青森市や小樽市で廃止された前例などを考慮。市行政改革課は「継続を求める問い合わせが多かったが、苦しい財政状況などを踏まえて総合的に判断した」としている。

 交通料金助成制度(同4億1785万円)も、「東部4地域を含めた全市的な新制度を早急に検討する」と決定。すでに来年度実施に向けて見直しを進めており、助成券で専用プリペイドカードを買う方式への移行とともに、70歳以上の高齢者は年度上限を6000円とすることが検討されている。

 このほか廃止を求められた事業のうち、産業支援センター管理委託料(同2454万円)は「施設そのものの廃止でなく、利用促進と支援内容などを再構築すべきとの指摘ととらえる」としており、利用者支援に関わるソフト事業の充実、PRといった改善策を検討。一方で、研究開発事業委託料(同6363万円)や地域放課後児童健全育成事業費(同2億458万円)などは充実させる方向。

 同課は判定結果について「新年度から反映できるものは判定させていく」と話しており、昨年12月の第3回仕分けに対する考え方を今月中に発表する方針。4回目は2月下旬に予定している。(千葉卓陽)



◎自民8区公募で農協組合長会、荒木氏を推薦

 新はこだて、函館市亀田、今金町、きたひやまの4JA組合長でつくる「道南地区農協組合長会」が11日、函館市内のホテルで開かれ、自民党参院議員の長谷川岳氏(道選挙区)の秘書を務める荒木真一氏(45)を、次期衆院選の自民党公認候補となる8区支部長の公募(20日締め切り)に推薦することを決定した。同公募では、松前町の前田一男町長(45)が自薦で応募する意思を表明している。

 函館新聞の取材に対し、荒木氏は「推薦決定は身に余る光栄で、真摯(しんし)に受け止めたい。8区は保守の奪回が第一命題。周りの方々と相談し、熟慮を重ねたい」と意欲を示している。

 8区の政治情勢に関し「保守が一本になれなかったことが、これまで選挙に勝てなかった要因。一本になって戦わなければという思いはある」と語り、支部長選考に漏れた場合の無所属での出馬は否定した。

 荒木氏は1966年、厚沢部町生まれ。江差高卒、中央協同組合学園卒業後、88年JA北海道中央会入会。93年から参院議員の北修二氏秘書、95年から同高木正明氏秘書、98年から同中川義雄氏秘書、2010年から現職。

 同会が公募段階に候補を推薦するのは初めて。ある組合長は「荒木氏は一次産業に精通しており、環太平洋連携協定(TPP)参加にも反対の立場を取っている」と説明。JA系統挙げて応援する考えだ。

 自民党8区支部によると、12日現在で応募は寄せられていない。同支部は公募終了後、各種団体や経済界関係者ら17人からなる候補者選考委員会を設けて検討、その後支部の役員会を経て、2月中旬に支部長を選出する見通し。(山崎大和)


◎道南厳寒、北斗で氷点下19.6度

 上空に強い寒気が入り込んだ影響で、12日の道南は今季一番の寒さとなった。函館海洋気象台によると、冷え込みは16日ごろまで続くという。

 同気象台によると、北斗市本町で午前4時49分に氷点下19・6度を記録。1977年の観測以来、最低となった。改行 函館市美原は同14.3度、厚沢部町鶉で同21.7度、江差が同8.9度といずれも今季最低だった。

 函館市内では、通学・通勤帯も氷点下で、厚着した市民が白い息を吐きながら凍てつく雪道を急いだ。同7時ごろに五稜郭公園を散歩した市内の斉藤邦子さん(65)、島崎貴子さん(62)姉妹は「防寒着とウオーキングで体は温まるが、顔だけが外気に触れるので寒いというより痛い」と話していた。(田中陽介)


◎2011年の桧山漁業生産状況、漁獲量前年比9%減

 桧山振興局は12日、2011年の管内漁業生産状況(八雲町熊石地区を含む)を発表した。同年1月〜12月の漁獲量は対前年比9%減の1186トンで、漁獲額は同3%増の46億3761万円だった。

 主力のスルメイカは、漁獲が同26%増の5937トン。07年以来5年ぶりに前年を上回ったが、価格低迷の影響で漁獲額は、同13%増の15億1913万円にとどまった。

 09年に出荷額が過去最高を記録したナマコは、漁獲量が同13%減の149トン。06年以降では、07年の189トン、10年の171トンに次いで多かった。漁獲額は、同6%減の8億8720万円だったが2年連続で第2位をキープ。06年以降では09年の9億4717万円に次ぐ金額となった。

 他地域と比較して好調だったサケは、漁獲量が同65%増の823トン、漁獲額も同132%増の3億9003万円となり、金額は不振が続くスケトウダラを抜いて3位に。

 不漁が長引くスケトウダラは、漁獲量が同60%減の1303トン、漁獲額も同51%減の2億4542万円で、いずれも過去10年間で最低だった。

 ウニは、漁獲量が同5%増の301トン、漁獲額も同13%増の2億8511万円と堅調だった。アワビは、漁獲量が同2%増の19トン、漁獲額が同4%減の1億182万円。一方、特産のアオヤギ(エゾバカガイ)は、漁獲量が同19%減の154トン、漁獲額も同18%減の9357万円と振るわなかった。(松浦 純)