2012年1月15日 (日) 掲載

◎函館の畑中さん優勝 ショパン国際ピアノコンクールアジア大会

 函館のピアニスト、畑中一映さん(41)が12日、神奈川県の昭和音大で開かれた「第13回ショパン国際ピアノコンクール in ASIAアジア大会」(同組織委主催)のアマチュアソロB部門で唯一金賞に輝き、優勝した。函館音楽協会によると、函館出身者の同大会優勝は初めてとみられ、畑中さんは「これを励みに自分の表現を磨いていきたい」と意気込んでいる。

 同コンクールは、ショパンの作品演奏を通じ、国際レベルの優れた演奏家の発掘、育成を目的に毎年開催。年齢や難易度別など14部門に分けられ、それぞれ地区大会、全国大会を経て、本選のアジア大会に進める。

 「力試しに」と畑中さんが初挑戦したアマチュアソロB部門は、音大生や音大卒業生を除くピアノ愛好者が対象で、同A部門より演奏時間が15〜20分と長く、出場者も少ない。畑中さんは昨年11月の地区大会で特別金賞、今月6日の全国大会で金賞を受け、同12日、6人が集まった本選へ進んだ。

 演奏曲はショパンの傑作とされる「バラード第4番」と「ノクターン第4番」。学生時代の恩師で道内ピアノ界の重鎮だった故遠藤道子さんから教わった思い出の曲だ。「緊張したけど納得できる演奏ができた。本選までのステージで、確実に完成度を上げることができた」と振り返った。

 この大会は、5年に1回開かれる世界最高峰の「ショパン国際ピアノコンクール」の審査員を含め、国内外の国際的ピアニストが審査する。畑中さんは本選で、高名なピアニスト、クシシュトフ・ヤブウォンスキさんが審査したことを知り「自分の演奏を評価してくれてとてもうれしかった」と瞳を輝かせる。

 そんな畑中さんの本業は、市立函館病院消化器内科主任医長。日々の医療業務と函館を拠点とした演奏活動との両立は簡単ではないが、「とにかく音楽が好きだからいつもモチベーションを保って練習した。職場も自分の活動に理解してくれたことが大きい」と語る。

 15年ぶりに挑戦したコンクールだが、「優勝以上に、これからどんな表現をしていくかが大切。勉強を重ね自分の音を追求していきたい」と力強く話していた。(長内 健)



◎函館港新年度 客船13隻が寄港予定

 函館市がまとめた2012年度の旅客船入港予定によると、函館に新年度入港するクルーズ船は13隻となる見込みだ。本年度は東日本大震災の影響で客船の寄港取りやめが相次いだが、新年度は例年並みまでに回復。近年著しい船の大型化に伴い、船の規模を示す総トン数ベースでは過去2番目となり、国内外の多くの乗客がもたらす経済効果が期待される。

 市港湾空港部によると、本年度は当初、12隻の寄港が予定されていたが、震災の影響で外国船を中心に6隻の寄港がキャンセルされ、最終的には新たに今年2月に寄港することが決まった「にっぽん丸」を含め7隻となる。1989年度の統計開始以来、99年度の6隻に次ぐ少なさだ。

 「思ったより外国船の回復が早かった。でも楽観はできない」。統計を取りまとめた市港湾空港部の担当者はこう説明する。新年度は13隻のうち5隻を外国船が占めるが、今後、集客に苦戦すれば寄港を取りやめる可能性もある。「今後、増えることも、減ることもある」と情勢は流動的だ。

 一方、近年は船の大型化が進み、隻数は例年並みながらも、総トン数では49万6000トンと国内最大の客船「飛鳥Ⅱ」が就航した2006年度の61万1000㌧に次ぐ規模となる。新年度は函館に入港した客船では過去最大の米国の「レジェンド・オブ・ザ・シーズ」(6万9130トン)が2年ぶりに入港する予定だ。

 このほか、新年度の特徴として、国内のクルーズ客船4隻がすべて函館に寄港するほか、9月に入港する「飛鳥Ⅱ」は初めて函館が始発港となる。近年は中国や香港などの新興富裕層をターゲットにした外国船も多く、「レジェンド—」は1泊当たり約1万円からの料金設定で、「欧米客に比べて中国客が多い」(同部)という。

 関係者が期待するのは、客船の乗船客が寄港地にもたらす経済効果だ。市によると、1隻当たり国内船で2000万円、外国船で3000万円とされる。市は昨年11月に首都圏でトップセールスを行ったほか、室蘭、苫小牧、釧路などと太平洋側の道内4港が連携し、船会社に寄港地の食や癒やしの観光メニューを売り込んだ。

 同部は「客船の乗客にはリピーターも多く、定番以外の新たな魅力を常に発信していかなければ他の寄港地に埋没してしまう」と危機感を強める。市などは今月25日に地元の観光関係者やボランティア団体、物販関係者を招いた「クルーズセミナー」も初開催し、さらなる受け入れ体制の充実を目指す。(森健太郎)



◎見回り徹底 サル守れ

 年明け早々、京都府福知山市の動物園のサル山のニホンザルに何者かが打ち上げ花火を打ちこみ、数匹がけがをした事件を受け、同じサルを飼う函館市熱帯植物園(湯川町3)は、14日の役員会で防犯対策を練った。通常の見回りの徹底を確認し「具体的な策を講じるまでの緊急的な状況ではないが、万一に備えて対応策の検討を続けたい」としている。

 京都のサル山花火襲撃事件が起きたのは3日早朝。園内に無断侵入した複数の人間が、寝ていたサルに向かって花火を投げ込む様子が防犯カメラに記録されていた。

 同日、函館市熱帯植物園でもスタッフが話し合いの場を持ったという。サル山担当の吉村義弘さん(72)は「子ザルが顔にやけどを負ったニュースを見て悲しい気持ちになった。面白がって全国で便乗行為が出ないかと毎日不安だった」と語る。

 植物園のサル山での目立ったいたずら行為は、これまで確認されていない。「だいぶ昔に石を投げつけられたことがあったが、近年は何もない」という。

 植物園管理責任者の坂井正治さん(74)は「サルたちはとても大事な存在で、いつも愛情を注いでいる。来園者や市民にも同じ気持ちで接してもらうことが犯罪の芽を摘むことに結び付く」と強調する。

 植物園では、来園者が温泉でくつろぐサルにリンゴなどのえさを投げ入れる“触れ合い”が人気だ。吉村さんと坂井さんは「命ある動植物を傷つける行為は絶対に許せない。来園者や市民の優しい心を信じている」と協力を呼びかけている。 (田中陽介)


◎観光客もキャンドル作り 

 冬の函館を手作りのろうそくで彩る「はこだて光の小径(こみち)」(2月1〜7日)で使うキャンドルの製作体験会が14日、函館市の五稜郭タワー(五稜郭町)アトリウムで始まり、大勢の市民や観光客が挑戦した。

 はこだて冬フェスティバル実行委やシーニックdeナイト実行委の主催で、今年で6年目。キャンドルは元町公園や五稜郭公園、函館山登山道に並べ、光あふれる函館の冬を演出する。市民や観光客の手を借り、開催日までに4000個の完成を目指す。

 キャンドルは使用済みの1㍑入りの牛乳パックを使い、溶かしたろうそくを注ぎ、5〜15分間ほど手で回転させながら冷まして四角い筒状の形に仕上げる。会場にろうの香りが漂う中、環境に配慮して前回の使用済みのキャンドルも再利用し、雪の上で転がして冷ます人もいた。

 函館観光中に家族4人で参加した青森市内の会社員進藤徳弥さん(39)は「函館は100万㌦の夜景が有名なので、つくったキャンドルで1㌦ぐらい貢献できれば」と笑顔で話していた。キャンドルづくりは参加無料で、今月15、21、22日も午前10時〜午後3時まで、同会場で行われる。 (森健太郎)