2012年1月17日 (火) 掲載

◎「タマフクラ」首都圏出荷にめど 特殊包装フィルムで鮮度保持

 道南で普及が進む超大粒大豆「タマフクラ」を生エダマメで市場出荷する際に、鮮度保持フィルム「MA包装用ポリプロピレンフィルム=MA包装」を使うと、汎用(はんよう)タイプ「一般ポリプロピレンフィルム=OPP包装」に比べ、さや色や食味の低下を抑えられることが、渡島農業改良普及センター(北斗市東前)などの調査で分かった。流通時のエダマメの温度が20度前後に上昇することも判明、低温管理が今後の課題だ。産地のJA新はこだて森基幹支店は「生エダマメの首都圏への出荷にめどが立った」と手応えを感じている。

 エダマメは常温だと鮮度の低下が非常に早い。同JA森町タマフクラ生産部会(河野芳之部会長、8戸)は2009年から、だるま食品本舗(函館市西桔梗町)と冷凍用エダマメの契約栽培をしている。昨年、首都圏などの市場から「タマフクラの生エダマメを扱いたい」との問い合わせがJAを通じあったため、同部会は販売の多角化を目指し同9月から試験出荷を始めた。

 しかし、首都圏への出荷は、消費者の口に入るまで2〜5日間を要する。そこで「おいしいまま食べてほしい」と考え、同普及センターと同支店が主体となり、道立工業技術センターの協力を得て、流通時のエダマメの温度変化と、包装資材による鮮度変化、食味について調査した。

 MA包装は、包装内の酸素を少なくして二酸化炭素の密度を高く保つフィルムで、青果物の鮮度を保つことができる。

 温度変化は、予冷庫出庫から市場での競り開始まで1時間ごとの温度を測定。調査結果によると、エダマメの温度はMA包装、OPP包装とも15〜21度の範囲で推移し、低温管理がされていなかった。

 鮮度変化と食味評価は、実際に流通しているものは調べられないため、サンプルを用いて包装2日後、同5日後のそれぞれ5度、10度、20度の保管条件でさや色と食味を調査した。調査結果では、MA包装をしたエダマメのさや色はいずれの温度も包装5日後も鮮度を保持。OPP包装は包装5日後に20度で黄色化が進み、鮮度が悪くなった。

 食味評価では同普及センター職員がゆでたエダマメを試食したところ、MA包装はOPP包装に比べ、食味の低下を抑えられたが、20度ではMA包装でも包装5日後には食味低下が見られた。

 MA包装による出荷は、市場から「さや色などの鮮度が長持ちし、お客からのクレームも少ない」と一定の評価を得ており、今季も取引を希望する声がある。ただ、MA包装用フィルムはOPP包装用フィルムの3倍のコストが掛かる。

 同普及センターの日根修専門普及指導員は「MA包装が鮮度保持に有効だと分かった。コストは掛かるが、エダマメは品質が命。今後も消費者が求める高品質なエダマメ出荷につなげていきたい」と話している。(山崎大和)



◎2011年の労災452件 林業では死亡最多3人

 函館労働基準監督署はこのほど、2011年の管内休業4日以上の労働災害(労災)発生状況をまとめた。全産業では前年より27件増の452件で、うち死亡労災は3人増の7人だった。同監督署では「冬は凍結路面や雪おろしによる転落などの事故も懸念されるので、気を付けてほしい」と呼び掛けている。

 同監督署によると、件数はこれまで右肩下がりだったが、昨年は微増に転じたという。業種別では製造業が126件(前年比4件増)で最も多く、そのうち水産食料品が5件増の57件と増えたことについて、「震災で東北など本州の工場が被災し、その生産分を道内の工場が請け負った影響では」(同監督署)と分析する。

 建設業も前年より4件多い60件で、土木工事が北海道新幹線関連建設工事の2件を含む23件(同5件増)、木造建築業も16件(同6件増)。また、一昨年には死者が発生していなかった林業では、木の下敷きになったり機械に巻き込まれるなどし、3人が犠牲となった。これは1976年と同数で統計上最多となった。

 同監督署では、全業種計452件のうち90件に対して、安全管理の徹底を図るよう文書や職員が出向くなどして指導。道新幹線関連建設工事でも休業3日以下を含む労災が前年の8倍に当たる17件と大幅な増加になったことから、同監督署で事業者向けの労災防止の説明会を実施するなどし、安全管理の徹底を促している。(小杉貴洋)



◎韓国・高陽市議会議長ら来函、市議会を表敬訪問

 昨年8月に函館市と姉妹都市提携を結んだ韓国・高陽(コヤン)市の金畢礼(キム・ピルレ)市議会議長らが16日、函館市議会と市を表敬訪問した。金議長は「友好を深めるためにこれから協議していきたい」と述べ、両市議会の交流促進に向け、検討を進めていく意向を示した。

 一行は金議長のほか、韓相煥(ハン・サンファン)議会運営委員長、地元ボランティア団体会長や商店街団体会長ら8人。金議長は姉妹都市提携以来の来函で、表敬訪問には韓委員長を除く7人が出席し、函館側は能登谷公議長、板倉一幸副議長ら4人が出席した。  金議長は、能登谷議長が昨年10月、函館—ソウル(仁川)定期航空路の早期再開要望時に同市を公式訪問したことについて「仁川線を復活させるために尽力する姿に感激した」と述べるとともに、同路線の再開を「隣同士に住んでいる人のように、函館が近く感じた」と喜んだ。

 今後に向け、金議長は議員同士の交流を図るための協議会設置を提案。能登谷議長も「議員交流が実現できるように頑張りたい」と応じていた。金議長はまた、今月と2月に高陽市の職員56人が函館を訪問することを明らかにするとともに、4月に現地で開かれる花の博覧会への訪問を呼び掛けた。

 金議長らは中林重雄副市長とも会談し、両国の議員報酬や税制の違いなどについて意見交換。同副市長は東日本大震災に触れ「風評被害で外国人観光客が来なくなった。函館の安全性をPRしてほしい」と求めていた。

 一行はこの日夜に市議会主催の夕食会に出席した。17日には公立はこだて未来大学や在日本大韓民国民団函館支部を訪問、18日に離函する。(千葉卓陽)


◎荒木氏、推薦を辞退 自民8区支部長公募

 道南地区農協組合長会が、次期衆院選の自民党公認候補となる8区支部長の公募(20日締め切り)に推薦することを決めた長谷川岳自民党参院議員秘書で厚沢部町出身の荒木真一氏(45)が推薦を辞退したことが16日、分かった。函館新聞の取材に対し、荒木氏は「保守一本化が必要なときに、公募段階から出ると支持が割れる可能性があり、辞退を決めた」と語った。無所属での出馬はあらためて否定した。

 荒木氏は、過去の衆院選道8区では保守地盤が割れて敗戦した失敗を繰り返してならないと強調。「早い段階から候補を一本化して選挙態勢を構築する必要がある」と語った。  荒木氏の辞退について、ある組合長は「公募だから本来なら支部長が決定するまで行きたかったが、残念だ」と述べた。

 荒木氏は15、16両日、道南入りし、推薦人や支持者を回り、辞退に至った経緯を説明。関係者に配った文書では「8区については、保守一本化が最命題であり、その目的達成のため、今回は大変身に余る話ではありますが、このたびのご推薦については、ご辞退申し上げます」とした上で、「故郷である道南の地で、これまでの党人としての実績を生かすことが地元への恩返しと思っております」と心境をつづった。

 同公募では、松前町の前田一男町長(45)が自薦で応募する意思を表明、近く手続きに入る。前田氏以外に他薦も含め応募への動きは見られない。

 自民党8区支部は公募終了後、各種団体や経済界関係者ら17人からなる候補者選考委員会を設けて検討。その後、支部の役員会を経て、2月中旬に支部長を決定する。(山崎大和)


◎函館豆記者が沖縄取材報告

 昨年12月24〜28日の日程で、沖縄取材をした函館豆記者交歓会(若山直会長)は16日、市役所で山本真也教育長らに報告会を行った。平和祈念公園や県知事訪問など充実した取材活動を伝えた。

 同活動は子どもたちを全国各地に派遣し、見学取材を通して学んだ文化や歴史を新聞にまとめたり、現地豆記者と交流するもの。今回は7小学校の5年生14人が参加した。

 報告会では参加者を代表し、柏野小の佐藤真奈さんが「戦争の悲惨さを肌で感じ、基地問題では戦闘機の音がとてもうるさくて住民の気持ちが分かった。沖縄の豆記者さんとの交流では貝殻のネックレスをもらってうれしかった」と報告。

 ほかの参加者も「戦争の恐ろしさを感じ、二度と戦争が起きないでほしいと思った」「食べ物など函館とは違う文化がたくさんあって驚いた」などと発表していた。山本教育長は「出発前に比べて、一回り成長していて感心した。この経験をいろんな人に伝えて、友達同士でも話し合ってほしい」とねぎらっていた。

 豆記者は今春に愛知県豊川市、夏は東京へ向かう予定。(後藤 真)