2012年1月18日 (水) 掲載

◎“おっぱい”にお参り、女性だけの「十七夜講」

 【知内】町元町の雷公神社で17日、女性だけの祭り「十七夜講」が開かれた。乳房をかたどったもち「しとぎ」を神前に供えることから、「おっぱい祭り」とも呼ばれており、集まった女性約30人は今年1年の健康や家内安全、安産などを祈った。

 同神社の初代神主の妻をまつった姥杉のこぶに、女性が母乳に恵まれるように願を掛けたというのが祭りの由来。江戸時代後期から続いており、昭和初期には東北からも女性が参拝に訪れたという。

 この日は女性の氏子7人が朝早くから米粉を使って、高さ約10センチの乳房の形をした「しとぎ」を二つ作り、神前に供えた。午後2時に祭りが始まり、大野格宮司が女性一人一人の名前を読み上げ、健康や安産を祈願し、女性らは玉ぐしをささげた。最後に神前に供えられたしとぎをくずし、参拝した女性たちに配っていった。

 厄よけのために訪れた町内の主婦、玉森真波さん(31)は「今年1年何事もなく、家族全員が健康で過ごせるようにお祈りした」と笑顔を見せていた。

 昭和30年代までこの日だけは家事や子供の世話を離れ、夜通しで歌や踊り、おしゃべりを楽しんだ。夜食にしとぎを食べて過ごしたというが、現在は日中に行っている。大野宮司は「時代が変わり夜通しで祭りをするのは難しくなったが、形を変えても、古い伝統を守っていくことが大切」と話していた。(松宮一郎)



◎希望膨らむ新校舎、弥生小で入校式

 函館市内など道南の多くの小中学校で17日、3学期の始業式が行われた。このうち昨年末に新校舎が完成した函館弥生小学校(村上一典校長、児童230人)では入校式・始業式が行われ、全校児童が新しい校舎での学校生活に胸を膨らませた。

 同校は、児童数の減少に伴い、2009年に函館西小と統合。1938年に建てられた旧校舎は老朽化のため解体され、2010年6月末に着工。完成した校舎は旧校舎の一部の外壁を残し、エレベーターなどが設置され、バリアフリーにも対応している。

 入校式には保護者や地域住民も参加。児童や来賓によるテープカットが行われると、大きな拍手が会場に響き、待望の新校舎の完成を祝った。

 式辞では村上校長が「みんなには新校舎で係活動や勉強などを頑張ってほしい。その頑張ったこと一つ一つが新しい歴史になる」と述べ、「校舎の新しい歴史と伝統をみんなで築いていきましょう」と子どもたちに呼び掛けた。

 来賓の市教育委員会の山本真也教育長は「新しい弥生小の歴史と伝統を一つ一つ作りあげていってほしい」と述べた。

 また、各学年の代表者10人が「体育館で思いっきり体を動かしたい」「グラウンドで野球をしたい」など、今後の決意ややりたいことをそれぞれ語った。その後は校内を開放し、保護者らが真新しい校舎に目を輝かせていた。

 一方、児童は各教室に戻り宿題を先生に提出。2年生の教室では、児童が冬休み中に作った作品を発表し合った。習字や手芸、工作などが紹介され、「冬休みは雪でたくさん遊べて楽しかった」と久しぶりに顔を合わせる友達の作品を見ながら会話を弾ませていた。(平尾美陽子)



◎寒波で野菜高騰、家計直撃

 寒波や降水不足などの影響で、本州産を中心に野菜の高騰が続いている。函館での市場取引価格は、前年同時期に比べて2〜3割高めで、レタスやニラなど葉もの野菜が高めだ。冷え込みの和らぎなどで高値のピークは過ぎたものの「もう少しの間、高値は続きそうで野菜離れが起きなければ」と関係者は複雑だ。

 この時期の野菜は8割、本州産が出回り、高騰の動きは昨年末から年明けに加速していた。青果物卸の東一函館青果(函館市西桔梗町589)によると、14日現在でニラが1キロ1690円(前年同時期842円)、レタスは同442円(同209円)、ブロッコリーが同526円(同329円)と軒並み値が張る中、唯一安いのがネギで同309円(同385円)。豊作と過去2年の単価上昇による作付け増が好材料になっているという。

 同青果の坂井清常務は「高い値段が目に入り売れなくなるのが心配だが、学校給食の再開などによる需要の高まりを期待したい」と話す。

 函館青果物商業協同組合(函館市西桔梗町589)の川崎正博理事長は「ニラがこんなに高くなったのは初めて。ただ、地元産が出回り始めたので、徐々に値段は落ちついてくるのでは」とみる。

 コープさっぽろかじ店(函館市鍛治2)では17日、道内産ニラ1束(100グラム)を248円で販売。例年より100円以上高く、出回りが少なかった10日前後には298円と最高値を付けた。

 同店農産マネジャーの鍵洋和さんは「ニラの値段を見たお客さんから『高いね』とよく言われる。ニラに限らず野菜全体で1・5倍高い。値段が手ごろなカット野菜が良く売れている」と紹介する。

 ホクレンショップ七飯店(七飯町大川2)でも野菜が値上がり、キャベツ1玉380円、レタス同298円と例年より100円以上高い。

 売り場担当の香川高広さんは「葉ものを中心に全体で2割強高くなっている。関東地方の降水不足で野菜の生育が10日ほど遅れている。2月までこの状況が続くのでは」と話している。同店でも、カット野菜の売れ行きが良いという。(田中陽介)


◎海自補給艦「はまな」寄港、きょうまで一般公開

 長崎県佐世保市を母港とする海上自衛隊第1海上補給隊所属の補給艦「はまな」(8100トン)が17日、函館港港町ふ頭に寄港した。一般公開も行われ、大勢の市民が足を運び、普段はなかなか目に触れる機会が少ない洋上補給装置などを見学した。

 同艦は1990年に就役。海自が保有する補給艦5隻のうちの1隻として、テロ対策特別措置法に基づき、2001年のインド洋派遣のほか、これまでに13回にわたり海外派遣されている。また、東日本大震災発生直後にも、支援物資の輸送や護衛艦への補給支援に当たった。今回は訓練途中での寄港で、6回目の来函となった。

 1月8日に佐世保港を出港し、17日午前8時に函館港に到着。午後からは早速、一般公開が実施された。操舵装置などがある艦橋、甲板にある食料や水、軽油などの燃料を護衛艦に補給する大きな「洋上補給装置」などを市民らが見て回り、乗組員から説明を受けていた。

 大仲和弘艦長(51)は「海自というと護衛艦を多くの方が思い浮かべると思うが、さまざまな船があるので、この機会に補給艦についても知ってもらいたい」と話していた。18日も港町ふ頭で午後1時から同3時半まで一般公開する。(小杉貴洋)


◎函館どつく、ことし初の進水式

 函館どつく函館造船所(函館市弁天町、大村靖夫社長)が建造中の新造船「アトランティック・ローレル」(2万400トン)の進水式が17日、同造船所で行われた。同社が開発した木材兼ばら積貨物船「スーパーハンディ32」を、船主の要望に沿って積載量を増やした大型タイプの2隻目で、ことし初の進水となった。

 スーパーハンディ32は喫水を浅く、船体の幅を広くするなどして積載容量、推進力を高めている。大型タイプの全長は約178メートル、積載重量は3万2756トンでより多くの貨物を積み込める。

 船主は日本郵船関連会社のNYKグローバルバルク(東京)で、パナマ船籍。進水式では船をつないでいた綱が切られるとともに軍艦マーチが流れ、船は水しぶきを上げながら海上へと滑り出した。

 同造船所の造船ペースは前年度までは年間8隻だったが、2011年度からは同7隻となっている。国際的なバラストタンクの新塗装基準が12年7月以降引き渡しの船体に適用されるため。次回の進水式は3月14日の予定。(小泉まや)