2012年1月19日 (木) 掲載

◎戸井でフノリ漁盛ん

 函館市戸井地区の海辺で、フノリ漁が盛んだ。防寒具に身を包んだ漁業者が「寒いけれど、おいしいものを届けたくて」と手摘み作業に精を出している。

 フノリは、潮の流れが速く波が荒い戸井や恵山地区が好漁場で、年末から年明けの厳冬期に最盛期を迎える。戸井では12月から漁が始まり、連日、午前7時から午後4時まで採取時間を設けている。

 戸井漁協によると今季の水揚げ量は例年より少なめだが「極端に少ないわけではなく、(出荷量は)干潮の時間帯にも左右される」という。

 18日に漁協本所近くでフノリ採取をした年配の男性は「ノリのつき具合がいつもよりないから、時間をかけて採っている」。毎日、浜に足を運んでいる女性は「フノリはみそ汁で食べるのが一番おいしい」と話していた。

 戸井産のフノリは、市内のスーパーや市場に並んでいる。(田中陽介)



◎「北海道フード特区」指定書授与式

 【東京】国際戦略総合特区の指定書授与式が18日、首相官邸で開かれた。道や道経済連合会、函館市などが進める「北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区(HFC)」など7件に指定書を手渡した野田佳彦首相は「プロジェクトを成功させ元気な地域がどんどん出る百花繚乱(りょうらん)の日本をつくることが、日本再生の起爆剤になる」と期待を示した。

 HFCからは高橋はるみ道知事、工藤寿樹函館市長ら6人が出席した。

 HFCは東アジアの食産業の研究開発や輸出拠点化を目指す。函館、十勝、札幌・江別の3地域を中心に、農産・水産品や加工品の高付加価値化に取り組む。

 函館市は「水産物由来の有用性素材研究拠点」として位置づけられている。水産資源の持続的供給や機能性物質の研究開発、製品化に取り組む研究の集積拠点とする。

 特区指定により、2012年から16年までの売り上げ増加目標を1300億円に設定。目標達成による経済効果は全国で4600億円、延べ6万1000人相当の雇用創出を見込んでいる。

 総合特区は規制緩和や税制優遇などで地域活性化を支援する制度。政府は成長戦略の柱に位置づけ、5年後の経済波及効果を9兆円、雇用創出効果は37万人と試算している。

 式では、26件の地域活性化総合特区、11件の環境未来都市にも指定書が授与された。

 工藤函館市長の話 2003年にマリン・フロンティア科学技術研究特区の指定を受けたが、民主党政権下でもあらためて特区指定を受けることができた。フードコンプレックスは道と道経連が進める一大事業であり、函館市としても函館国際水産・海洋都市構想の推進に向けて力を注いでいきたい。



◎11年函館空港、旅客数 前年比11・9%減

 函館空港を2011年に利用した旅行客(定期便のみ)は、前年より11・9%減少し139万4499人となった。東日本大震災の影響で3月中旬から夏にかけての減少が特に顕著で、国際線は全く飛ばない月もあった。函館市港湾空港振興課は「震災により出入りともに旅行需要が冷え込んだ」とみる。

 同空港を利用する旅行客は1998年をピークに減少傾向にある。2010年は158万2464人で、11年はこれより18万7965人減と大幅に減らした。

 月別で最も減少幅が大きいのは震災のあった3月で、前年同月比30・4%減だった。次いで4月は同27・5%減、5月は同20・6%減と、6月まで対前年20%超の減少が続き、ゴールデンウイークや初夏の旅行需要に大きな影響を与えた。同課は「震災前は前年比90%台だったが、その後の影響は顕著に表れた」とする。

 8月以降はほぼ前年並みに回復したが、11、12月の冬観光シーズンはさほど振るわなかった。原因について同課は「不明」としながらも、航空各社では数年前からニーズに沿った機材繰りを行う動きがあり、これが影響した可能性もあるとした。

 国内線では最も減少した3月は同28・9%減だったがその後回復し、8月は同1・6%増、9月は同2・0%増と増加に転じた。年間では同10%減となった。

 一方、国際線(チャーター便を含む)は4月に全く飛ばない事態となったが、5月以降は台湾からのチャーター便を中心に順調に伸び、年間では同46・5%減に。チャーター便のみでは同16・3%減少にとどまった。

 12年の見通しについて同課は「昨年秋から需要が戻りつつあるため、今後もこの調子で回復することを期待する」とした。(小泉まや)


◎昭和小の藤原教諭が本出版

 函館昭和小学校に勤務する藤原友和教諭(34)がこのほど、明治図書から「教師が変わる!授業が変わる!『ファシリテーション・グラフィック』入門」を出版した。ファシリテーショングラフィック(ファシグラ、FG)は、議論の内容を文章や図形を使ってわかりやすく記述する「議論を描く」技法のこと。藤原教諭は「ファシグラの良さを多くの人に伝えたい」と話している。

 藤原教諭は、以前から話し合いの中でさまざまなアイデアや発言があっても音声だけではすぐに消え、「もったいない」と感じていたという。ビジネス書を読んでいくうちにファシグラの存在を知り、研究会などで導入したところ、議論の効率の良さを実感。

 その後、ファシグラを研修会や授業などで取り入れ、ブログを通して具体的な実践例などを紹介してきた。現在は教育関係者を対象にしたセミナーも全国各地で予定し、ファシグラの魅力や教育現場での可能性を広めている。

 著書はこれまで書きためた授業実践例をもとにまとめられ、校内研修の様子などをつづった。ファシグラのコツをはじめ、紙面の構成や文字の書き方などを紹介。理論編と実践編に分けられ、全4章で構成されている。

 「文字にすると伝わりにくい部分もあり、新しい概念をわかりやすく伝えるのは難しいと感じた」という藤原教諭。今回の出版にあたり、「誰でもすぐに取り組める簡単な方法なので、さまざまな場面で実践してほしい」と話している。

 藤原教諭は函館市出身。道教育大学函館校卒業後、4年間の中学校勤務を経て小学校に異動した。

 128ページ、1848円。問い合わせは最寄りの書店へ。(平尾美陽子)


◎自民8区支部長に松前・前田町長が応募

 松前町長の前田一男氏(45)は18日、自民党8区支部が次期衆院選に向けて行っている支部長公募に、自薦で正式に応募した。応募は前田氏が初めてで、函館新聞の取材に対し「自民党の力を借りて道南経済を立て直したい」と述べ、同党からの衆院選出馬に強い意欲を示した。

 前田氏はこの日午後、函館市東雲町の8区支部を訪れ、申請書類を提出した。同支部が応募に際し、自民党員10人を含む30人以上の推薦者名簿の提出を条件とした中、前田氏は党員10人以上を含む66人を集めたとしている。

 取材に対し、前田氏は「政権交代から2年半たつが、民主党政権では地域が良くならないばかりか、道南の経済も追い詰められた」と批判。「自立した経済に向けて強い基盤をつくりたい。あとは第三者に判断していただきたい」と語った。

 前田氏は1966年松前町生まれ。北大工学部卒。2003年に無所属で衆院選道8区に出馬し、落選。04年の松前町長選に出馬し初当選。現在2期目。

 次期衆院選の自民党公認候補者となる支部長の公募をめぐっては、道南地区農協組合長会が長谷川岳参院議員の秘書で、厚沢部町出身の荒木真一氏(45)の推薦を目指したが、同氏が辞退している。公募は20日までで、同支部は期間終了後、外部関係者からなる候補者選考委員会で検討に入る。(千葉卓陽)