2012年1月23日 (月) 掲載

◎ガゴメコンブ料理に挑戦

 函館地域産業振興財団(函館市桔梗町)は22日、函館市の東海岸を主な生育地とするガゴメコンブ料理を普及させるため、同市柏木町の函館短大付設調理師専門学校で「がごめ料理教室」を開いた。函館、北斗両市内から参加した女性31人が、ガゴメの細切りを使ったチャーハンなど3品の作り方を学んだ。

 函館国際ホテル総料理長の木村史能(ふみよし)さんが講師を務めた。木村シェフは中華料理が専門で、昨年8月に発行された「がごめレシピ」の監修や、同月に開催された「がごめ食事会」で腕をふるい、多くのガゴメメニューを考案し、提供している。

 木村シェフの実演後、参加者は7班に分かれ、チャーハンのほか、タマフクラ豆腐のガゴメコンブソース、ガゴメコンブ入りふわふわ杏仁(あんにん)プリンを作った。チャーハンの作り方では、木村シェフが「油がぬるいと駄目。よく炒めないとおいしくならない」などとアドバイス、上手な鍋の返し方も伝授した。

 函館市赤川の前坪千恵子さん(64)は「今回ガゴメを初めて見て、食べるのも初めて。レシピを覚え、一度家でもガゴメ料理に挑戦したい」と笑顔を見せていた。 木村シェフは「ガゴメはフコイダンやアルギン酸など体にいいとされる成分が豊富。また、ガゴメのとろみがうまく料理に絡み、最高の食材だと思う。家庭でも簡単に料理できるので、どんどん食べてほしい」と話していた。

 強い粘りを特徴とするガゴメは、健康と美容の維持に役立つ機能があることで知られる。しかし、一般家庭への普及は進んでおらず、「食べ方が分からない」という声も多い。そこで、財団として初めてガゴメに特化した料理教室を企画した。(山崎大和)



◎コンベンション過去最多 函館市

 函館市内で本年度の大規模な会議や大会、イベントなどコンベンションの開催件数(予定を含む)が149件、参加人数は8万3293人となり、2003年度の調査開始以来、ともに過去最多となる見通しだ。東日本大震災の影響は最小限にとどまり、豊富な観光資源を売りに誘致活動が実を結びつつある。3年後に迫る北海道新幹線開業に向け、市は「これからが正念場」としている。

 同課によると、本年度は件数が前年度比14・6%(19件)増と2年ぶりに増加し、参加人数は同3・4%(2766人)増と4年連続で増加した。当初懸念された震災に伴う中止や延期は計5件・4620人程度にとどまり、「函館の復興、復旧が早く、安心して開催してもらえた」(市コンベンション推進課)という。

 本年度の内訳は宿泊者の多い全国、全道規模の件数が同19・2%(20件)増の124件、人数が同15・2%(6199人)増の4万6893人と好調で、伸び悩む観光客の入り込みを下支えした。また、地元市民が対象の件数が同3・9%(1件)減の25件、人数が同8・7%(3433人)減だった。

 本年度はロシア文化フェスティバル(昨年6、7月、8000人)、情報科学技術フォーラム(同9月、2000人)など2000人以上の大規模な催事も多く、函館初開催のコンクリート業界団体の大会など誘致活動が結実したケースもあった。

 新年度は、自治労定期大会(8月、5000人)、日本病院脳神経外科会(7月、2000人)、全国城下町シンポジウム(6月、1200人)などの開催が既に決まっている。市は民間委託して作製したPR用のDVD映像などを活用し、売り込み強化を図る。

 函館は観光を組み合わせた「アフターコンベンション」が充実し、最大で約2万人を収容できる宿泊施設の多さが強みだが、2000人規模を収容できる会場など大規模な施設が少ない。市は道新幹線開業年度の15年夏までに最大5000人規模のコンベンションに対応する「函館アリーナ」(仮称)を建設予定で、今後の誘致に弾みをつけたい考え。 (森健太郎)



◎「大門に観光の総合窓口」 官民の機能集約図る

 首都圏など外部の有識者を招いて函館の経済振興策について検討する「函館市経済再生会議」の第3回会合が22日、函館国際ホテル(大手町)で開かれた。工藤寿樹市長は「大門地区に総合的な観光案内センターを設けたい」と述べ、官民の観光機能を集約し、中心市街地の活性化につなげる考えを示した。

 同会議は経済や観光、デザイン分野など外部の専門家と意見交換し、市の経済政策やまちづくりに反映させる狙いで昨年8月に始動。今回が本年度最終回で、工藤市長や松本栄一函館商工会議所会頭のほか、委員5人が出席した。

 清水慎一・立教大観光学部特任教授は「観光を産業として確立すべき」とし、地域でお金を循環させる仕組みづくりを強調。パリ観光局の案内所を引き合いに「観光案内所がプロモーション拠点では客は満足しない。ホテルやツアーの予約などあらゆる要望に応えられるワンストップサービス窓口をつくるべき」と提起した。

 これに対し、工藤市長は市の観光コンベンション部や函館国際観光コンベンション協会、函館ホテル旅館協同組合などの立地、役割が分散している実態を踏まえ、将来的に総合的な観光窓口の開設を進めていることを明らかにし、「大門に足を運んでもらう仕掛けづくりの一つとして中心市街地活性化計画の中で検討したい」と前向きだった。

 このほか、委員からは地元信用金庫の預貸率の落ち込みや製造業の生産拠点が海外にシフトする中での企業誘致の厳しさを懸念する意見のほか、市電やバスの停留所の「寒々しさ」を指摘する声も。北海道新幹線の開業を見据え、人材育成やネットワークづくりの必要性を訴えた。 (森健太郎)


◎「ふらっとほ〜む」 28日から待望の初企画ツアー

 全盲の写真家、大平啓朗さんらが昨年12月に中島れんばいふれあいセンター(中島町)内に開設した観光案内所「ふらっとほ〜む」が、札幌の旅行会社と協力して起業後初の事業「函館〜札幌二都交流スタディーツアー」を28〜30日に行う。大平さんは「函館と札幌の冬を楽しんで」と参加を呼び掛けている。

 同案内所は障害の有無や年齢に関係なく誰もが旅行を楽しむユニバーサルツアーの企画などを行う。

 今回のツアーは、札幌市バリアフリー観光推進事業の実証・調査を目的としたモニターツアーで、身体障害者を対象に実施。リフト付き観光バスや介護職の資格者を同行させたバリアフリー観光を行う札幌の旅行会社「HKワークス」と協力し、函館、札幌の2市の観光スポットをユニークな企画を交えて巡る。

 札幌発着(28、29日)、函館発着(29、30日)と1泊2日の2コースが組み合わさっていて、札幌発の参加者が29日に函館発の参加者と交流する行程となっている。

 28日はJR札幌駅からバスで函館に向かい、午後3時半には、同日開催する恒例の中島れんばい横丁に参加。29日は函館からの参加者が合流し、五稜郭タワーの見学などをした後、札幌へ。30日は札幌時計台の鐘の音を間近で聞く体験やジンギスカンの会食などのメニューが用意されている。

 ユニバーサルツアーは、障害者が抱えるハンディを補うためのサポートや協力体制の構築が必要。参加者個々の要望やハンディを細かく確認し、苦にならないような対策を講じた。訪問予定の観光スポットや宿泊施設のバリアフリー状況を一つ一つ調べ、段差がある場所では移動式のスロープが付けられるのか、人の助けが必要なのかを確認して迎え入れる。

 今回の準備で「それぞれの障害に特有の悩みやハンディがあり、どうすれば不便を感じないか本人に尋ねてみないと分からない面がある。勉強させてもらった」と大平さん。

 起業後、障害者からの問い合わせが相次ぎ、「旅行に行きたいのに遠慮している人が多いと感じた。そういう人が参加できるよう後押ししていきたい」と語る。