2012年1月25日 (水) 掲載

◎函館千歳教会、喫茶店益金など被災幼稚園に寄付

 函館千歳教会(函館市松陰町、井石彰牧師)は、一般市民向けの「喫茶チャペル」を教会1階ロビーで毎週火曜に開いている。年明けは24日から再開した。収益金を東日本大震災の被災地の子ども支援に充てるのが狙いで、昨年末には35万円を宮城県石巻市の石巻栄光教会(小鮒=こぶな=実牧師)付属の栄光幼稚園(同園長)に贈った。同幼稚園は、園庭に3月末完成予定の「移築建物」の費用に充て、震災復興へのシンボルにしたい考えだ。

 栄光教会は、千歳教会と同じ日本キリスト教団系列。日本が鎖国時代に函館から脱国して米国で学び、京都に同志社大を創設した新島襄(1843〜1890年)と関係が深く、小鮒牧師は千歳教会の前牧師(1989〜95年)を務めた。こうした縁から被災した栄光幼稚園の支援につなげようと、昨年6月に喫茶チャペルを開設した。

 メニューはコーヒー、紅茶、ジュースに、クッキーやケーキなどの手作りお菓子が付いて1セット200円(子ども100円)。毎回、教会の信徒8〜10人がボランティアで運営する。教会に隣接する函館ちとせ幼稚園の保護者や、信徒の友人らが訪れ、ゆっくり楽しく過ごせるスペースとなっている。

 昨年末に届けた35万円は、喫茶チャペルのほか、毎週日曜の礼拝後に開く信徒向けの「震災喫茶」、献品された野菜やCDなどのミニバザーの収益金を合計したもの。

 石巻市は県内では最大の人的被害が出た。小鮒園長によると、園児に人的被害はなかったが、津波が園庭に入ってきて遊具が泥だらけになったり、激しい揺れで園舎の軒下に穴が開くなどの被害を受けた。家屋が被災した保護者や教諭もいたという。

 移築建物は、3月24日までTOTOギャラリー・間(東京)で開催中の建築家・長谷川豪展「スタディとリアル」で展示されており、終了後に栄光幼稚園に移築する。高さ約9メートルの建物で、1階が地域コミュニティーの場、2、3階が子どもの遊び場とし、天井には鐘が付く。小鮒園長は「千歳教会の支援に大変感謝している。移築建物は遊具としての利用だけでなく、復興のシンボルにできれば」という。

 井石牧師は「今後は被災した他の幼稚園や保育園も支援したい。喫茶チャペルを多くの人に利用してもらえれば」と話している。

 喫茶チャペルは午後零時半〜同4時半。問い合わせは千歳教会TEL0138・51・9573へ。(山崎大和)



◎工藤市長ら経産省などに大間原発無期限凍結を要請

 【東京】青森県大間町で建設中の大間原子力発電所について、函館市の工藤寿樹市長と北斗市の高谷寿峰市長、七飯町の中宮安一町長らは24日、東京の民主党本部や経済産業省、事業者の電源開発を訪問。建設の無期限凍結や、函館を含む関係自治体の同意を求める要望書を手渡した。

 要望活動は昨年6月に続き2度目。前回は道との連名で国や事業者に情報提供を求めることが主眼で、工藤市長が口頭で無期限凍結を求めるにとどまっていた。今回は「文書ではっきりと申し合わせる」(工藤市長)と北斗市、七飯町に参加を呼び掛け、3市町の首長と議長が足並みをそろえての行動となった。

 民主党、経産省に対する要望書では、福島第一原発事故について「国は昨年12月に事故収束を宣言したが、原発はまだ不安定な部分を抱えているほか、除染や食品への放射能汚染の問題なども解決されていない」と指摘。①福島第一原発の事故原因を徹底的に解明し、その結果を国民に説明する②国のエネルギー政策について原子力からの脱却も含めて議論し、抜本的見直しを図る③大間のような建設中、計画中の原発は無期限凍結④半径30キロの範囲内の自治体の同意がなければ、大間の建設再開をさせないよう国が関与する—の4点を求めた。

 一行は民主党の松浦大悟副幹事長、電源開発の渡部肇史常務取締役、牧野聖修経済産業副大臣を相次いで訪問。逢坂誠二衆院議員が同席した。

 函館市総務部などによると、工藤市長は津軽海峡が国際海峡としてさまざまな船舶が通過している点に触れ、「テロの標的になりかねず不安がある」と主張。中宮町長は「福島のような事故があればすべてがだめになる。脱原発の論議が後退している感がある」、高谷市長は「万が一のことがあれば北斗にも被害が及ぶ。50キロ圏内の自治体の意見も聞いてほしい」と訴えた。これに対し、牧野副大臣は「一刻も早く事故原因を究明したい。中長期的には脱原発依存の方向は変わらない」としたが、大間原発凍結に関する言及はなかった。

 さらに電源開発に対しては、無期限凍結などに加えて積極的な情報開示を要望。渡部常務は「できる限りの安全対策を講じたい」と述べるにとどまり、建設を再開したい意向を示した。(千葉卓陽)



◎木古内駅のデザイン決まる、高校生が選定

 【木古内】2015年度に開業する北海道新幹線木古内駅のデザインが24日、決まった。選定にあたったのは3月末に閉校する木古内高校(西博道校長)の3年生15人で、波をイメージした壁面が印象的なデザインを選んだ。生徒らは「町のイメージにぴったり」と話し、自分たちが選んだデザインに胸を張った。鉄道・運輸機構によると、地元の高校生が駅舎のデザインを選ぶのは全国でも初のケースだという。

 駅舎については、町が設置した委員会でコンセプトの検討を重ね、10年3月に「波と森のプロムナード〜北の交流発進地」と決め、同機構に提案。それを受け、同機構が3つの案を町に示した。閉校前の思い出にしてもらおうと、大森伊佐緒町長の計らいで同校の生徒に選んでもらうことにした。

 この日は冒頭で大森町長が「みなさんの独創性に期待している。自分たちが選んだ駅、そして、町を末永く愛してほしい」とあいさつ。生徒らは同機構の職員から3案について詳しく説明を受けた後、4つのグループに分かれ、議論を開始。3案の中から1つに絞り込んでいった。

 グループごとに「窓の雰囲気がいい」「デザインがすてき」などと意見を出し合い、最後に一番評価が高かった「過去・現代・未来、波のリズムと木漏れ日がつなぐ駅」というサブタイトルがついた案を選んだ。壁面で波のリズムを表現しているほか、これからの町の発展への願いが込められているという。

 荻野美穂さんは「珍しいデザインだったのが決め手になった。波のデザインが木古内のイメージに重なる」と笑顔を見せた。大森町長は「どの案も良かったが、生徒たちが最高のものを選んでくれた」と語った。

 駅舎は1階が改札や事務所、2階が線路をはさんで相対式のホーム。地上からホームまでは11メートルある。駅舎部分の面積は約1200平方メートル、12年度に実施設計まで行い、13年度の着工を予定している。(松宮一郎)


◎「田舎で働き隊」研修生らがコンブ使った菓子販売へ

 農林水産省の人材育成事業「田舎で働き隊」の研修生らが24日、さまざまなコンブを使った菓子の試作品を完成させた。2月8日に函館市内で販売する。食感と風味は強くないが、コンブの持つ栄養はそのまま生かしており、研修生は「バレンタインのプレゼントとしてや、子供たちがコンブに親しんでもらえれば」と話している。

 同事業は、都市部に住みながら農山漁村地域の活性化活動に関心を持つ人材の活用・育成を目指す仲介機関(事業実施主体)を支援する。函館では道国際交流センター(HIF)が行っている。研修生は七飯在往の今野あすかさん(28)と函館市の西尾直さん(24)の2人。昨年11月、同市住吉町で、調理師免許を持ちレシピ本を出すなどコンブに詳しい木村マサ子さん(66)を訪れ、コンブの活用実習に取り組んだ。

 その際、函館の特産品であるコンブが子供たちに人気がないことを知り、子供が好きな菓子にコンブを入れ、食べてもらうことを考えた。今回は木村さんが持っているミツイシコンブ、ガゴメコンブ、マコンブを使い、クロワッサンやパイに入れたり、米粉と長いもで生地を使った蒸し菓子、あんこに混ぜておはぎ、チョコレートケーキなどを作った。

 「菓子の中にレーズンや栗が入っているのと同じ感覚を目指した」と3人。コンブの色合いを残すため煮る時間や、食感を残すため切る大きさを整えるのに苦労したという。今野さんは「コンブを食べる機会が増えることで漁村の活性化につながれば」、西尾さんは「コンブについて知らなかったことをたくさん学べた」と話す。木村さんは「2人は挑戦意識が強く、私も刺激を受けた」と感心する。

 試作品は2月8日、函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で開かれる「水曜マルシェ」で販売する予定。(山崎純一)