2012年1月26日 (木) 掲載

◎大沼で氷の切り出し

 【七飯】2月4、5両日に開催する「第46回大沼函館雪と氷の祭典」で使用する湖水氷の切り出し作業が25日、大沼で始まった。例年よりも厳しい冷え込みの日が続いたため、透明度も高く、この日の氷の厚さは約36センチ。作業は月末まで続き、ジャンボ滑り台などに使用する2000枚以上を切り出す。

 湖水氷は積雪が多いとシャーベット状の層が厚くなり、透明度が低くなるが、今年は寒さが続いたため、透き通った氷の層が厚さの半分以上を占める。

 大沼周辺では24日夜から約20センチの降雪があり、氷上の雪かきを実施した後に切り出しを開始。氷上には、そりのブレードで60センチ四方の碁盤の目となるように溝が付けられ、作業員が電動のこぎりで切り出しを行った。1枚の重さは約110キロにもなるが、専用の氷ばさみで水揚げし、重機を使用して、会場内に運搬した。

 氷は会場に設営する長さ20メートルのジャンボ滑り台に敷き詰めるほか、氷像の台座や「氷ダルマ」などに加工される。祭典の川村晃也運営委員長(53)は「例年よりしばれた日が続き、過去10年でみてもとても良い状態の氷ができた」と話していた。(今井正一)



◎函館市の新年度固定資産税 8〜10億円減収見通し

 函館市は新年度の固定資産税評価替えに伴い、本年度から8〜10億円の減収を見込んでいる。厳しい不況に伴う地価下落に加え、住宅の新増築や工場など大規模施設の建設が伸び悩んでいるためで、職員給与削減で生み出される財源をほぼ相殺する格好。市は悪循環の打開策が見つからない現状に頭を痛めている。

 市の固定資産税は過去5年間、129〜135億円台で推移。本年度当初予算では133億7200万円の固定資産税収入を計上している。前回(2009年度)の評価替えでは、前々回比で約4億円の減収だった。市税務室は「固定資産税は市税に比べて景気に左右されにくく、自治体にとっては当てにしやすい財源だが、今回は落ち幅が大きい」と話す。

 要因に挙げられるのは地価の下落。道がまとめた昨年7月1日現在での基準地価によると、函館市内は商業地で6・4%、住宅地で4・2%下落。10年度はJRA函館競馬場のリニューアルオープンなど上昇要素もあったが、本年度は東日本大震災の影響とともに、ホテルなど大規模建造物の建設が落ち着いている。

 増築を含む新規住宅着工戸数も09年度1228棟、10年度1218棟、11年度1066棟(23日現在)で、減少傾向に歯止めがかかっていない。

 市は一方で、従前から地価の安かった亀田地区で税負担の調整措置を講じてきた。同地区では一般住宅の場合、課税標準額から毎年5%増しで課税し、その税額の80%に達した場合に前年度と同額に据え置く規定を設けてきたが、「旧市域とほぼ同じ水準になり、負担調整の部分がほとんどなくなった」(同室)と、増収要素がより乏しくなったことも影響している。

 財源不足に悩む市は今年1月から職員給与の平均5・5%独自削減に踏み切っており、新年度は9億1200万円の効果額を見込んでいるが、長引く景気低迷の影響で、庁内には「行財政改革を重ねても追いつかない」との声も出ている。増加に転じる見通しが立たない中、同室は「15年度の北海道新幹線新函館(仮称)開業が、どう影響を及ぼすか注視したい」と話している。(千葉卓陽)



◎米軍艦が来月函館寄港計画

 米海軍第7艦隊(横須賀市)の掃海艇「パトリオット」(1312トン)が2月14〜19日に函館港への寄港を計画していることが25日、分かった。函館市は核兵器搭載の有無を外務省などに照会し、「搭載能力がない」とする回答を受理済みで、近く入港の許可を判断する。

 市港湾空港部によると、寄港目的は「友好・親善」で、計画では苫小牧から14日午前9時に入港、19日午後3時に出港する。受け入れれば、函館港へ同艦の入港は2009年10月以来で、外国艦船では10年10月のロシア軍哨戒艦「アドミラル・パンテレーエフ」(6700トン)以来となる。

 16日に米軍側から函館海上保安部を通じて連絡があった。同部は核の持ち込みについて在札幌米国総領事館と外務省に照会したところ、「(同艦に)搭載能力がなく、搭載していることはない」と核搭載を否定する回答があった。現在、寄港中の市民との交流や催しなどの予定を確認中という。

 同艦は全長64メートル、幅11メートルで、海の機雷除去が主な任務。今回は乗組員84人が乗船する。警備の都合上、使用岸壁は港町ふ頭(港町2)となる見通し。市の妹尾正白港湾空港部長「現時点では許可していないが、情報収集に努め、総合的に入港の可否を決めたい」としている。(森健太郎)


◎WAKOビル建て替え計画

 函館市若松町の商業施設WAKOビルを運営するNAアーバンデベロップメント(布村隆二社長)が、同ビルを建て替える意向であることが25日までに明らかになった。駅前・大門地区の活性化を目標に、マンションと商業施設の複合施設とする計画。現在マンションの誘致活動を進めており、規模などは未定だ。

 同ビルは1968年に開業し、商業施設として市民に親しまれてきた。地上7階地下1階で、1フロアの面積は約990平方メートル。敷地面積は約1650平方メートル。現在15の商業施設や博物館施設、子育て支援施設などが入居するが、建設から約45年が経過し、設備面などの老朽化が課題となっていた。

 同社によると、ビルの再開発は4年ほど前から計画。「駅前を元気に」(布村社長)との考えから進めており、計画の詳細は27日に開催予定の中心市街地活性化協議会の第2回総会で公表する。

 マンションの誘致は、交流人口を増加させようと発想した。布村社長は「居住者が増えると自然に人通りが増加する」と期待する。

 ただ、新たなビルの規模や住宅の戸数など詳細は未定で、建て替え時期も決まっていない。既存ビルの取り壊しから新ビルの完成まで数年を要する見通しであることから、現在のテナントが継続して入居するかは同社とテナントの双方の話し合いで決定する。(小泉まや)


◎寄港地の魅力づくり解説

 函館のクルーズ客船の可能性や課題を探る「クルーズセミナー」が25日、函館市若松町のロワジールホテル函館で開かれた。JTB北海道のクルーズアドバイザー加藤武さんが講師を務め、最新の国内外クルーズの市場動向や寄港地の魅力づくりについて解説した。

 例年10隻前後が入港するクルーズ船の寄港地として、さらなる受け入れ体制の充実を図ろうと、函館の港湾関係者でつくる函館港湾振興会と函館地区クルーズ振興協議会が関係者向けに初めて企画。市内・近郊の港湾、観光関係者ら約100人が参加した。

 加藤さんは「クルーズ寄港地の魅力づくり」と題して講演。近年は外国船の大型化が進み「海外の大型船は有料のカジノが収入源。アジアなどを回る1泊1万円ぐらいカジュアルクルーズが主流になっている」と説明。「日本では超高級なシニアの富裕層向けといった間違ったイメージが根付いている」と問題点を指摘した。

 そのうえで「クルーズは旅行の一つの付加価値。観光性の高い商品にしていくことが重要」と強調。寄港地の魅力を向上するために有償のオプショナルツアーを充実させることを挙げ「乗船客は寄港地でどんな体験ができるのかを期待している。独自性のあるプランや近隣とタッグを組んで幅を広げることがエリア全体の魅力につながる」と語った。(森健太郎)