2012年1月27日 (金) 掲載

◎葉物野菜の出荷作業盛ん

 【森】外の雪景色とは対照的に森町濁川地区のビニールハウスでは、シロナやダイコン菜などの葉物野菜が青々と育ち、農家は出荷作業に追われている。

 同地区は、温泉熱を利用した冬季のハウス栽培が盛ん。JA新はこだて濁川事業所(山田智道所長)によると、葉物野菜(シロナ、ダイコン菜、小松菜、ミズナ)の生産者は約15戸あり、昨年11月中旬から今年4月初旬まで出荷作業が続く。これから2月にかけてピークを迎え、函館や札幌を中心に市場出荷する。

 愛場悠一さん(30)方では、1棟80坪のハウス5棟でシロナとダイコン菜を作る。緑のじゅうたんを敷いたようなハウス内では家族で収穫、水洗い、選別し、1束120㌘に束ねて1箱20束入れで出荷する。ピーク時には1日に20箱を出荷、現在は13、14箱を出荷している。

 愛場さんは「パイプに常にお湯を流し、ハウス内でトンネル被覆もして、しばれないように気をつけている」と話す。今冬は気温が低い割に、日照時間が適度にあり、野菜の出来も上々だ。愛場さんは「みそ汁や、おひたしに最適。鍋に入れてもおいしい」とPRしている。(山崎大和)



◎布目が浅野町に新工場建設へ

 水産加工の布目(函館市弁天町、石黒義男社長)は、函館市浅野町4に新たに工場を建設し、工場・本社機能を移転させる。6月にも着工し、2013年3月には稼働させる考え。総事業費は約10億円。製造能力はこれまでより2割増の年間3000トンとなり、食品安全マネジメントシステム「FSSC22000」の取得を目指す。

 同社は1941(昭和16)年に同市入舟町で開業。その後現本社、工場がある同市弁天町(旧西浜町)に移転した。2010年度の売上高は約24億円。現在は本社工場と第二工場合わせて年間2500トンの生産能力を持つが、これを1カ所に集約して設備面を刷新し効率化、製造能力を高める。

 新工場用地として約1万3000平方メートルの土地を7年前に取得済み。施設は鉄骨造の2階建てで、1階部分に工場を、2階には事務所や福利厚生関係などを配置する。また手狭だった見学用通路を幅約3㍍、長さ約50㍍に拡大してバリアフリーとし、大人数の見学も受け入れやすくする。

 移設に伴い50〜100キロ程度の小ロット商品の製造にも力を入れる考えで、これを専門に扱う部署を設置する予定。同社の堀内雅専務は、昨年迎えた同社の設立70周年を契機に工場新設が具体化したとし、「高付加価値商品は手間がかかるが積極的に取り組みたい」と述べた。(小泉まや)



◎たけだクリニック、共生型の複合施設建設へ

 ケアプラザ新函館・たけだクリニック(函館市宮前町27、武田良一院長)は同市本通2に、デイサービスやフィットネス施設、共同住宅などを併設した共生型の複合施設「ケアプラザ新函館・よいあすセンター(仮称)」を新設する。国土交通省の「高齢者・障害者・子育て世帯居住安定化推進事業」の認定を受けて施設を建設。今春にも着工し、9月ごろの開業を目指している。

 (鈴木 潤)

 同省の事業は高齢者や障害者、子育て世帯の住環境整備に対し、先導的な提案をした事業に対し支援をするもので、同クリニックは道内で唯一認定された。

 新設する施設のコンセプトは「誰もが自分の能力を高め、社会参加できる『共生社会』を目指す複合施設」で、高齢者や障害者、健常者が共に暮らせる居住空間と福祉、介護サービスを提供する。

 建物は旧浴場施設の跡地に建設し、鉄筋コンクリート造り4階建て、延べ床面積約1800平方メートル。3、4階を高齢者や障害者らの賃貸型共同住宅とし、1、2階は介護保険のデイサービスや介護予防、健康増進のパワーリハビリなどを行うフィットネススタジオ、エステスタジオ、喫茶ラウンジ、フリーマーケットなどを行う交流スペースを設ける。

 また、喫茶の仕事や施設の清掃などは高齢者や障害者の就労の場に充てるほか、町会や地域ボランティア、医療・福祉系の団体などと連携しながら地域福祉、地域交流の拠点としても運営していく方針だ。

 武田院長は「障害の有無、年齢にとらわれずに生きがいを持って生活してもらえるよう総合的なサービスを提供し、真の意味で自立した生活を応援する体制を構築していきたい」と話している。

 同クリニックは2005年に開業し、医療部門のたけだクリニック、介護・福祉分野のリハビリセンター、居宅介護支援事業所、訪問看護の4部門を運営している。


◎税関昨年の函館港、輸出8年ぶり減少

 函館税関が公表した2011年の函館港貿易速報によると、輸出は船舶などが減少し、前年比9・5%減の287億2800万円と8年ぶりにマイナスに転じた。輸入は石油製品や石炭などが増加し、同9・5%増の152億3100万円と2年連続で増加した。

 輸出は減少したが、過去10年間では2番目に高い水準。主な原因は主力の船舶が同18・9%減の220億8100万円だったことによる。内訳は新造船が同2隻減の7隻、中古は同1隻増の4隻。新造船の減少は、函館どつくの造船ペースが本年度から1隻減に変更されたことなどが要因。

 船舶は輸出総額の76・9%を占めており、船籍のある国は同港の輸出貿易主要相手国となる。1位はパナマ、2位はマーシャル、3位はシンガポールで、4位の英国までの主要品目が船舶。5位の韓国で初めて鉄鋼のくずとなる。

 輸入は、主力の魚介類・同調整品は同0・6%減の48億4200万円。主に中国を相手としたサケが同84・1%減となったことが影響した。このほかカズノコやニシンなども減ったが、一方でイカや魚介類の調整品などは増加した。石油製品は火力発電所燃料の入港地変更で同4・0倍の19億1100万円だった。

 同税関管内(道内と青森、秋田、岩手の東北3県)は、輸出が同1・3%減の5408億5500万円と2年ぶりのマイナス。輸入は同29・8%増の1兆8278億1100万円と2年連続で増加した。(小泉まや)


◎文化財防火デー、高龍寺で防災訓練

 文化財防火デーの26日、函館市内では船見町21の高龍寺(永井正人住職)で防災訓練が行われた。消防署員、同寺の僧侶、職員含め約40人が参加し、万が一の事態に備えた防災体制を確認した。

 市民の文化財保護への意識を高めることや、関係機関の防災対策の強化が目的。毎年実施しており、今年で58回目を迎えた。

 同寺は市内最古の曹洞宗寺院。本堂は1899年ごろに建築され、山門は1907年の火災後に建て替えられるなど、歴史が古い。昨年12月には国の登録有形文化財への登録が決定した。

 訓練では食事を準備する庫裏で出火したことを想定。僧侶らは迅速に避難し、保管する道有形文化財の「釈迦涅槃図(しゃかねはんず)」は箱だけをすぐさま持ち出した。その後、消防署員らが消防車3台を使い本堂へ放水した。

 北消防署の鎌田昭二消防司令は「万が一火災が起きても冷静に行動して、迅速な対応を心掛けてほしい」と述べ、永井住職は「防災対策は定期的に行っているが、消防との連携は26年ぶりだった。今日学んだことを忘れず、今後も日ごろから防災意識を持ちたい」と話していた。(後藤 真)