2012年1月3日 (火) 掲載

◎函館八幡宮で騎馬参拝

 穏やかな天候に恵まれた2日、函館市谷地頭町の函館八幡宮(中島敏幸宮司)で、境内へと続く石段をドサンコ馬が駆け上がる「騎馬参拝」が行われた。4頭が小気味よいひづめの音を響かせ一気に登る圧巻の光景に、見物客からは大きな歓声が沸いた。

 騎馬参拝は、「ホーストレッキング」(野外騎乗)の安全祈願として、同市東山の「函館どさんこファーム」(池田茂代表)が、1998年から実施している。騎乗者は武者装束に烏帽子(えぼし)を身につけて馬にまたがり、134段にもなる急斜面を勢いよく駆け上った。

 拝殿前に到着すると神職による神事が執り行われ、今年1年の安全が祈願された。終了後には子どもたちを背中に乗せて記念撮影を実施。「ゴンタ」(15歳、雄)にまたがり、笑顔を浮かべていた。

 同市内在住の若林里奈さん(13)、真梨さん(10)、留衣さん(9)3姉妹は両親と同宮を訪れ、騎馬参拝を見学。「ほかの神社ではなかなか見られないので楽しみにしていた。今年もさっそうと駆け上がる姿に目を奪われた」と満足気。「初詣では3人一緒に、学業についてお願いしました」と話していた。(小杉貴洋)



◎福袋や福引き大盛況、市内百貨店で初売り

 1日から2日にかけて函館市内の百貨店やスーパーマーケット、量販店では初売りが行われた。各店では正月恒例の「福袋」の販売や福引き、セールなどが行われ、大勢の買い物客でにぎわった。

 棒二森屋(若松町17番)は2日、今年の営業を始め、1回5000円の福引きを実施。特賞が40インチテレビやノートパソコンなどに加え、5000円の商品券と大盤振る舞い。末等でも5000円の商品券が当たる、1000本が用意された。午前8時半から並び、特賞のテレビを当てた東京都の会社員宮崎良大さん(25)は函館に帰省中で「まさか当たるとは思ってもいなかった。大きすぎるから東京に送ってもらう」と声を弾ませていた。

 テーオーデパート(梁川町10)も2日、初売り。暮らしに役立つ品々を詰め込んだ恒例の「びっくり福袋」(1万500円)を限定30個販売し、来店者が次々と買い求めた。婦人服や紳士服、インテリアなど各売り場でも福袋のサービスを実施。ワールドインポートブティックEXではブランドのバッグや財布などを格安の価格で売り出し、にぎわいを見せていた。市内東山町の女性(63)は「毎年福袋や催しを楽しみにしている。ポイントも貯まり楽しめました」と話していた。(田中陽介、鈴木 潤)



◎蓴菜沼でワカサギ釣り始まる

 【七飯】大沼国定公園の冬の風物詩、ワカサギ氷上穴釣りが2日、蓴菜(じゅんさい)沼で始まった。家族連れらが大勢駆けつけ、竿先に伝う魚の食いつきに集中し、釣れるたびに歓声が響いた。

 氷の厚さが20センチを超えたことから漁場を管理する大沼漁協が営業を開始。初日は午後2時すぎまでに約50人が釣りを楽しんだ。ワカサギは体長8センチほどで、時おり吹雪いたが、暖を取れるビニールハウスでは穴釣りができ、幼児も寒さを忘れてご機嫌だった。

 父親と一緒に訪れた、七飯町内の西野智哉君(12)、綾人君(10)兄弟は1時間で50匹ほどを釣り上げ「少し寒かったけどすごく面白い。楽しい冬休みの思い出ができた」と声を弾ませていた。

 営業時間は午前8時〜午後4時。遊魚漁は大人600円、小学生以下350円(各釣り場管理費込み)、竿レンタル(餌つき)500円。例年3月上旬までで、無休だが悪天候でオープンできない日もあるため電話などで確認を。

 問い合わせは大沼漁協担当者TEL090・1307・4206。(田中陽介)


◎書き初め大会、新年への思い力強く

 第15回函館新聞社「新春親子書初め大会」(函館新聞社、実行委員会主催)が2日、函館新聞社(函館市港町1)3階ホールで行われた。参加者は紙いっぱいに力強く新年への思いをしたため、書道の上達を願った。

 この日は函館市内・近郊の幼児から一般まで、昨年を上回る約40人が参加。主催者を代表して小笠原金悦社長が「今年のえと“辰”は闘争心や競争心を持ち合わせている。龍のごとく躍進の年になるように頑張ってほしい」とあいさつ。同実行委の岡田静園さんが「書初めはいつもと筆の大きさなどが違う分、文字を書くのにエネルギーが必要」と説明し、「どんど焼きで燃やすと書が上達するという言い伝えが今に伝わる」と書き初めの由来などを話した。

 講師が「辰」「龍」という模範となる文字を揮ごう。早速、参加者は思い思いに文字を書き上げた。「平和」という文字を書いた、千代田小3年の大山有梨亜さん(9)は「大きい筆は使い慣れないけど、うまく書けた」と自信をのぞかせていた。

 作品は4日から15日まで同社1階ギャラリーで展示されるほか、本紙紙面でも紹介される。(小杉貴洋)


◎11年の函本交通事故、死者数が過去最少

 道警函館方面本部交通課は2日、2011年の交通事故発生状況を発表した。管内の交通事故発生件数は前年比187件減の1434件で、死者数は同2人減の14人、負傷者数は同188人減の1812人だった。死者数は交通統計上で過去最少を記録。道内の死者数は同25人減の190人で、1949(昭和24)年以来62年ぶりに200人を下回り、全国ワーストワンを回避した。

 管内の死亡事故の主な特徴をみると、死者14人中8人(57・1%)が65歳以上の高齢者だった。発生では国道が同5人減の5人と減少したものの、一昨年0件だった道道が5件と増加。類型別では正面衝突が35・7%、地形別では市街地交差点が28・6%と最も多く、時間別では正午から午後6時までの間に約6割と集中していた。

 警察署別でみると、函館中央署が7件(前年比5件減)で松前署も0件(同1件減)となったが、函館西署で約2年ぶりに死亡事故が1件発生。森、松前、江差各署でそれぞれ前年より1件増となった。

 道内では、事故件数が同1693件減の1万6395件で、負傷者数は同2391人減の1万9705人。都道府県別の死者数では、全国6位となり前年のワーストワンを返上した。(小杉貴洋)


◎企画【JOMON第1部A】三内丸山遺跡

 「全国からたくさんの人が来るけれど、世界遺産登録を目指しているのを知らない県民も実はいるんです」。三内丸山応援隊会長のほか、「『青森県の縄文遺跡群』世界遺産をめざす会」事務局長も務める一町田工さん(73)は、世界遺産登録に向けた動きが活発化する一方で、遺跡のPRが必ずしも行き渡っていない現状を不安視する。

 青森県は2005年、県内8遺跡群の世界遺産登録を目指し、3道県に先駆けて単独で始動。目的達成には遺跡の価値や魅力を発信できる地域住民の存在が不可欠だ。同会は、地域レベルでそうした人材を養成しようと06年9月に発足した。

 主な事業は、遺跡を所有する各自治体職員らを講師に、関連市町などで開く市民対象の勉強会。回を重ねるごとに受講者が増えるなど好評で、地域の語り部として期待される会員は県内外432人(昨年11月現在)にまで増えた。一町田さんは「地域に根差した会員が遺跡を積極的にPRしてくれる」と手応えを感じつつ、「500人到達までまだまだ」と気を引き締めている。

 08年9月、ボランティアガイド団体の三内丸山応援隊など、縄文文化遺産の保存・活用に携わる18市民団体が「北の縄文文化回廊づくり推進協議会」を立ち上げた。地域間交流や情報発信を推進しようと年1回、各団体役員が連絡会議の場を設ける。

 一町田さんが期待するのは、地元の「足場固め」だけでなく、こうした大所帯が中心となって4道県関連市町を結び付ける横の連携だ。「今は各団体が単発で行動することがやっとというのが実情。遺跡を巡る研修や市民対象のツアーなど何でもいい。行政とともに民間でも新たな試みを進めないと」と力を込める。

 一方、06年に世界文化遺産登録推進プロジェクトチームを立ち上げた青森県教委文化財保護課は、早くから国内外の考古学専門家らを招いたフォーラムを県内外で展開。15遺跡群の中で最も注目を集める三内丸山遺跡が存在するのに加え、「縄文遺跡群世界遺産登録推進本部」本部長を三村申吾県知事が務めていることもあり、普及・啓発活動は3道県をリードしている。

 「海外の世界遺産の中にいは、人の手で環境が損なわれ、登録が取り消された例がある。だからこそ遺跡の価値に理解ある地元住民が必要」。そう強調するのは同チームの増田仁副参事(51)。地域の機運を盛り上げることで、確固とした遺跡保存が可能な世論を生み出すためだ。

 縄文など先史時代に該当する世界遺産が数少ない半面、今後登録の審査が厳しくなるとも言われている。県教委も講座や縄文の語り部育成などの事業に年々力を入れるが「感覚的に現状のままでいいはずがない」(増田副参事)不安感がある。今後は、これまでの普及・啓発事業に加え、関心を喚起する新たな試みも求められている。(長内 健)