2012年1月30日 (月) 掲載

◎函館千歳教会が新島襄の案内板設置

 函館から密航して渡米後、京都に同志社大を創設した新島襄(1843〜1890年)の精神を受け継ぐ函館千歳教会(函館市松陰町、井石彰牧師)が、教会前に「函館千歳教会と新島襄」と題した案内板を設置した。昨年迎えた教会創立110周年記念事業の一環で、教会と新島との関係を広く知らせるのが狙い。起点となった函館で、新島を知る新たなツールとなりそうだ。

 教会は、新島が明治維新前夜、渡米するため脱国した記念の地に1901(明治34)年創立された。函館大火により3回も教会堂を焼失する苦難を乗り越え、新島の信仰と志を受け継いできた。34(昭和9)年の大火により教会堂焼失後、37(同12)年には「新島襄脱国記念会堂」として再建。その際に寄贈された新島の遺髪が今も教会に保管されている。現教会堂は85年(同60)年に建設された。

 案内板は縦80㌢×横120㌢。新島が国禁を犯し函館から米国へ渡り、キリスト者となり大学で学んだことや、帰国後に同大の前身となる同志社英学校を創立した偉業を紹介。教会の歴史も盛り込んだ。井石牧師は「これまでは新島とのつながりを積極的にアピールしてこなかった。市民や観光客など、より多くの人に知ってもらえれば」と強調する。教会には、本州から修学旅行でキリスト教系の児童生徒が訪れることもあり、学習教材としても活用できる。

 一方、妻八重(1845〜1932年)が、来年のNHK大河ドラマ「八重の桜」の主人公に決まり、函館の登場も期待される。実際、新島夫妻は1887(明治20)年7月に函館に立ち寄り、湯の川温泉に滞在し脱国の地(大町)周辺を散策したことが新島の日記に書かれている。

 井石牧師は「夫婦2人で脱国した場所を歩くなど、函館もドラマのシーンに使われてくれればうれしい。市民の新島に対する認知度は深まっており、教会も新年度、新島に関する一般市民向けの集会が何かできないか検討したい」と一層の盛り上がりを期待する。(山崎大和)



◎木古内・観光交流センター、運営「直営」「委託」で検討

 【木古内】木古内町は、新幹線開業時の地域の拠点施設となる「観光交流センター」の運営戦略をまとめた。事業スキーム(枠組み)は、町による直営方式と、第三者に運営、管理を委託する方式の2つを挙げた。また、機能面では渡島西部と桧山南部地域の観光情報発信のワンストップ窓口とする考えで、それに見合った人材育成も行う。新幹線開業1年前のオープンを目指し、運営形態や機能の詳細の検討に入る。

 同センターは現駅に向かって右側に新築する。2階建てで床面積は約900平方㍍を予定。渡島西部と桧山南部の広域観光情報の発信拠点としており、9町の特産品を取り扱うほか、レストランなども備える。また、バス待合所や多目的ホールを設けるなど地域のコミュニティープラザとしても活用する計画だ。

 町が策定した運営戦略では、事業スキームについて①町の直営②管理運営を委託する—の2つの案を示した。直営は、町が施設やトイレ、駐車場などの管理、運営を行い、特産品販売と飲食施設がテナントで入居。特産品販売については事業協同組合をつくり、仕入れから販売までを一括して担うことを想定している。

 一方、委託の場合は、受託した組織が特産品販売や飲食施設を直営しながら、テナントを一元的に管理し、責任の明確化を図る。

 また、観光インフォメーションセンターとして機能させるため、専属スタッフを配置。ワンストップで9町の情報の発信と誘導を担えるように人材育成も行う。採用は公募を検討しており、雇用拡大と移住促進にもつなげる考えだ。まちづくり新幹線課では「建物ではなく、人の魅力を重視した体制を整える。発信力のある人材を育て、木古内駅利用者や広域観光のリピーターを増やしたい」とする。  同センターは12、13年度で基本、実施設計を行い、14年度の着工を予定。大森伊佐緒町長は「木古内のスギを使うのはもちろん、9町の施設という観点から、他町の木材も使い建設する。新幹線の乗降者だけでなく、地域住民や近隣からも多くの人が訪れるような施設にしたい」と話した。(松宮一郎)



◎函教大が今秋、マルチメディア国際語学センター開設へ

 道教育大学函館校(八幡町1)は、語学教育の中心となる「マルチメディア国際語学センター」を今秋開設する。学生の先端的な語学教育を支援するほか、市内の大学などで学ぶ留学生の日本語教育を担う場として、後期(10月)オープンを目指す。開設準備を中心に進める福田薫教授は「国際交流や語学教育の場としてだけでなく、他大学や地域と連携して有効的に活用していければ」と話している。

 センター開設は、グローバル化時代に対応できる言語能力の養成を目指すことがねらい。従来の技術実習棟(1階建て569平方メートル)を改修し、パソコンなどを完備した講義室、国際交流を図るスペース、自主学習室などを設ける予定。学習室にはテキストやDVDなど1000点以上を用意し、学生の興味や関心を引き出す。

 センターの運営管理の一部には、外国人講師や学生ボランティアがスタッフとして関わり、「全国でも珍しい取り組み」と同校。学生の留学や語学などの相談、学習支援を行う。

 センターでは、在学生の外国語の授業が行われるほか、協定校のオーストラリア・シドニー工科大とインターネットを介しての討論や共同研究などにも力を入れる。議題を決め意見や情報交換を行うことで、実践的なコミュニケーション能力を高めるとし、また地域の住民にも開放される。現在は、市民参加型の公開講座、他大学と連携した英語プレゼンテーション大会を予定。多目的トイレも完備され、臨時で託児スペースを設けることもできるという。

 開設に向けて福田教授は「学生や市民が気軽に国際交流や語学を楽しめる場にしたい」と意気込んでいる。(平尾美陽子)


◎被災地支援チャリティー、ハワイ気分満喫

 被災地復興を支援する「ハワイアンチャリティーパーティー2012」が29日、ロワジールホテル函館(若松町14)で開かれた。函館でハワイでの結婚式をプロデュースする「ナプアハワイ」とフラダンス教室を開く「ハラウフラカウルオカラージャパン」の主催。約180人が参加し、ハワイ料理やウクレレ演奏などを楽しみながら、復興へ祈りをささげた。

 東日本大震災で親を失った子どもたちのために役立ちたいと企画。寄付金は、あしなが育英会を通じて被災者支援に使われる。立案者のケアラニ岩瀬さんは「ハワイで被災地復興のためのグループが立ち上がる姿を見て、自分の気持ちを形にしたいと思い開催しました」とあいさつした。

 会場では、ブッフェスタイルでロコモコなどのハワイ料理が振る舞われ、ウクレレ演奏やフラダンスも披露された。曲が終わる度に参加者から大きな拍手が送られていた。そのほか、Tシャツやハイビスカスの髪飾りなどを並べたハワイアン雑貨屋やネイルアート店も出店し、参加者たちはハワイで行われた結婚式の映像鑑賞やフラダンス体験でハワイの雰囲気を満喫していた。

 参加した富岡町の鈴木喜美子さん(72)は「料理がおいしく、すてきな雰囲気で楽しい。寄付が少しでも手助けになれば」と笑顔で話していた。(柏渕祐二)


◎個性豊かな紙袋、体験講座で製作

 道南の観光・イベントポスターやカレンダーを紙袋に仕立てる体験講座が29日、函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で行われた。市内近郊の9人が参加し、お気に入りの作品づくりを楽しんだ。

 まなびっと2011体験講座運営委の主催。芸術的なポスターやカレンダーの魅力にひかれ、3年ほど前から紙袋としての活用策を勧める、同センタースタッフの榎本陽輔さん(27)が講師を務めた。

 函館観光のPRポスターは公共機関の協力を得て用意した。音楽イベントや金融機関のカレンダーも、函館ならではの異国情緒あふれる景色が題材で「こんなに素晴らしい作品を捨てるのはもったいない」と主催者。

 榎本さんとセンタースタッフが各席を回って、丁寧に作り方を説明。絵柄が織り込み面とうまく調和するように、長さや割合を計算して切り込みを入れた。

 神山町の千葉美恵子さん(61)は「すてきな紙袋ができたので、埼玉に住む娘に届けたい」。東山の吉岡みき子さん(60)は「街中で見かけるポスターが、これからもっと興味深いものになりそう」と声を弾ませていた。

 次回開催は4月下旬を予定している。(田中陽介)