2012年1月5日 (木) 掲載

◎「消費者大学」設立へ…3月から学生募集

 函館消費者協会(岩船寛会長)は今年、消費者としての知識習得を目指すための「函館消費者大学」を設立する。4年制の生涯学習講座で、年間10講座を開設。学識経験者や専門家など充実の講師陣をそろえた。同協会によると道内初の設立で、国内でも民間団体によるこのような取り組みは初めて。初年度は3月から学生の募集を開始する。

 事業は昨年4月の総会で設立に向けた準備調査を行うことを決め、これまで全国の事例を参考に運営手法や講座内容などを検討してきた。同協会が取り組む消費者教育推進事業の一環で、出前講座や出張相談の枠を超えて継続的に消費者として学ぶ場を提供。同協会の活動意義について理解を深めてもらう目的もある。

 定員40人で通常は4年間、最長で5年間受講できることから、2年目以降は大学全体の定員を1学年分ずつ増やし、講座数も充実させる。会場はサン・リフレ函館(函館市大森町)で、5月から10月までの第2・4火曜日、午前10〜11時半を中心に開講する。

 講師は大学教授をはじめ研究機関職員、司法書士、不動産鑑定士、建築士など多彩。講座は「振り込め詐欺と金融トラブル」や「土地家屋の評価方法」「震災に強い住宅へのリフォーム」「身近な民法の基礎知識」「生命保険と損害保険の基礎知識」などを予定する。

 受講料(資料代含む)は年間2500円。岩船会長は「民間としては全国でも珍しい取り組み。手探りしながら運営していきたい」と話している。詳しい募集要項などは3月の募集開始までに同協会ホームページ(http://www.kansyokyo.jp/)で公開予定。問い合わせは同協会TEL0138・26・2880。(小泉まや)



◎初詣客 3800人増の12万6000人…道南の正月三が日

 新年にふさわしい穏やかな天候に恵まれた2012年の正月三が日。道南各地の主要な神社には、前年より約3800人多い約12万6000人の参拝客が足を運び、今年1年の平穏無事を祈った。函館市内の観光名所でも多くの家族連れらの姿が目立ち、思い思いに正月休みを楽しんだ。

 ○神社

 道警函館方面本部のまとめによると、道南地域で三が日の初詣客が最も多かったのは亀田八幡宮(函館市八幡町3)で、前年より約6000人多い4万6000人、次いで函館八幡宮(谷地頭町2)で4万1000人(前年比4000人減)となった。道南の主要12カ所の初詣客は、湯倉神社(湯川町2)で前年比約1000人増、今金町の今金神社でも同約500人増加し、例年にない人出を記録した。

 ○観光施設

 函館山ロープウェイ(元町19)では、今年で5回目となるカウントダウンパーティーなどが行われ、日をまたぐころには約700人が来場。三が日は計1万896人が利用し、山頂からの絶景を眺めた。五稜郭タワー(五稜郭町43)は、関東からの観光客が若干減少したものの、東北からの観光客数が好調で、元旦からの3日間で4500人以上が来場。初日には市民ら456人が展望台に上り、恒例の初日の出観賞会でご来光を拝んだ。

 ○スポーツ施設

 冬ならではのスポーツでも盛り上がった。年末から無休営業を続ける函館七飯スノーパーク(七飯町大沼)では、利用者が3234人と前年比7%の増加となり、多くのスキーヤーが白銀のゲレンデを楽しんだ。今年の営業を2日から開始している函館市民スケート場(金堀町10)でも、初滑りに興じる親子の姿が多く見られた。初日は1168人、3日も967人が来場。前年より約160人増となった。同スケート場では「今年は高校生や一般客が、例年に比べ多い印象だった」と話している。(小杉貴洋)



◎人事評価制度 本格実施へ…函館市

 函館市が導入を目指していた人事評価制度と職員再任用制度が、職員組合との間で合意した。人事評価制度は新年度から本格的に取り入れ、業務目標に対する達成度などを考慮する「業績評価」を給与に反映させる。再任用は13年度から実施し、定年退職者を各部局に配置する方針だ。

 両制度は職員給与や退職手当の削減などと合わせて11月に市役所労働組合連合会に提案し、昨年末に合意した。

 06年度から試行している人事評価制度では、本格導入にあたり①10月1日から1年間の「能力評価」②4月1日および10月1日からの半年間で、業務目標に対する達成度をみる「業績評価」—の2種類で、それぞれ3段階評価を行う。

 再任用制度は市が02年に市議会に提案したが、「待遇が良すぎる」などの指摘を受けて取り下げた経緯がある。

 市が今回打ち出した内容は、正職員と同じか4分の3、または半分を目安に勤務時間を設定。給与は4分の3勤務の場合で嘱託職員と同じ水準とする。年間給与は4分の3勤務の場合で225万円となり、02年の提案時からは57万円引き下げる。

 市総務部は人事評価制度に関し、「業績評価は12月から勤勉手当の成績率に反映させ、両評価を合わせた昇給は14年1月からの反映をめどに検討していく」としている。(後藤 真)


◎企画【JOMON第1部④】御所野遺跡(岩手)

 カラマツでできた地上14メートルの高さにある「キキキのつり橋」を渡り終えると、御所野遺跡のボランティアガイド「御所野遺跡を支える会」の上田敏雄会長(73)が笑顔で出迎えた。新聞記事や写真などを貼ったスケッチブックをめくりながら「この土屋根住居(復元)は、夏は冷涼、冬は暖かいといいます。他にも見どころはたくさん。でも知名度が低いからお客さんが伸び悩んでいるんだ…」

 上田会長が嘆くのは、同遺跡の存在が、昨年世界遺産に登録された平泉の影に隠れる現状だ。青森〜東京を結ぶ国道4号線から程近く、八戸自動車道一戸インターチェンジからも車で5分と良好なアクセスにもかかわらず、見学者は月平均数千人と横ばいが続く。

 農工団地造成計画に伴い、一戸町教委が事前発掘調査を始めた1989年。大規模集落跡が見つかると調査は加速し、95年に町が土地を公有化。5年間の環境整備を経て2002年に御所野縄文博物館・公園をオープンさせた。土屋根住居などの珍しい景観をひと目見ようと、開館当初は1年8カ月間で10万人が来場した。しかし今、観光資源としていかに遺跡の魅力を高めていくかが大きな課題となっている。

 「他の遺跡と違い、ここは周辺に観光スポットが少ない。県南の平泉には車で2時間半もかかる。御所野遺跡のためだけに来る人は本当に限られている」。見学者数が伸び悩む要因を、同館の高田和徳館長(62)は分析する。「とにかく町に足を運んでもらわなければ。どんな町づくりを進めるかも大事になってくる」と気を引き締める。

 地元は博物館や公園の整備とともに、活用策を練り上げてきた。町は02年から5年間、地元の小学生を対象に遺跡を活用したオペレッタ(小規模のオペラ)を開いた。縄文のムードも体感できると好評で、03年には遺跡をテーマとした一戸高校生による創作舞踊も誕生。同公園のオープン記念では「御所野縄文公園讃歌」も作曲され、市民団体や地元合唱団が県内外での交流会で必ずお披露目するほど浸透している。

 「この10年間、ボランティアの協力を得ながらまち全体で遺跡の価値を共有することができた」と町民の意識の変化を感じ取ってきた高田館長。今期待を寄せているのは、町民有志が昨年12月に立ち上げた「御所野遺跡世界遺産登録推進協議会」だ。

 全国の企業や個人に入会を呼び掛け、遺跡の魅力を伝えるパンフレットの作成や、遺跡見学ツアーなどを計画していく。設立総会には300人が集まるなど、地元の機運は確実に高まる。12月現在の会員数は35個人・団体。今春から遺跡の普及・啓発活動を本格化させ、登録へ向けて弾みをつける。

 4道県の関連市町との連携もさることながら、まずは知名度を上げたい─。関係者の取り組みが試される一年となる。(長内 健)

 ◆御所野遺跡 岩手県一戸町にある縄文時代中期後半(4000〜4500年前)の大規模な集落跡。1989年から発掘調査を開始、7・5ヘクタールに及ぶ広大な大地から800棟以上の竪穴住居跡が見つかり、1993年に国の史跡に指定された。