2012年1月6日 (金) 掲載

◎函館駅にジャンボ絵馬

 JR函館駅構内に5日、毎年恒例となっている「ジャンボ絵馬」が設置された。縦1・2メートル、横2・4メートルの巨大なもので、駅員が改札口前に置くと早速、駅の利用者らが願い事を書きこんでいた。

 絵馬は昭和57(1982)年から同駅に設置しており、ことし31年目となる。同駅職員の花田芳治さん(51)がデザインし、設置に合わせて制作した。ことしの絵柄は、東北新幹線の新型車両E5系「はやぶさ」が北の大地を疾走する様子で、えとの辰、日の出を組み合わせた。道新幹線の札幌延伸を願った「夢をつかめ!」の文字も加えた。

 絵馬は書き込みがいっぱいになると別の板を上から張り付けるタイプで、全部で14枚用意した。この日駅では、通りかかった利用客らが受験の合格や健康などを祈願してサインペンで書き込んでいた。函館市陣川町の佐藤真奈美さん(43)は、理学療法士を目指す子どもの受験合格を祈願。「就職先も決まっているので、がんばってほしい」と祈っていた。

 絵馬は2月8日に函館八幡宮に奉納され、それまでは誰でも自由に書き込むことができる。(小泉まや)



◎2卸売市場で初競り

 水産物と青果物を取り扱う函館市内の2つの卸売市場で5日朝、初競りが行われた。競り人たちの威勢のいい掛け声が響く中、場内に運び込まれた魚や野菜が次々と競り落とされ、関係者が今年の活況を願った。

 ○…水産物地方卸売市場(豊川町)には卸売業者や仲買人など約300人の関係者が集まり、午前7時から「初売り式」が行われた。

 式では開設者を代表し、工藤寿樹市長が、昨年の東日本大震災に伴う津波被害からの迅速な復旧をねぎらい「消費者の魚離れも進んでいる中、市民の台所をより活性化させるため頑張っていきたい」とあいさつした。

 卸売業者の函館魚市場の松山征史社長は「震災時には多くの仲間の支援で、3日後には市場機能が回復した。今後も地域密着の視点から安全な海産物を安定的に供給し、辰(たつ)のように上へ上へと積極的に頑張りたい」と抱負を述べ、豊漁と商売繁盛を祈願する手締めも行った。

 式後に競りが始まり、競り人の威勢のいい声が市場内に響き渡った。この日の総入荷量は昨年より落ち込んだものの、22トンとまずまず。タラが7・3トンと最も多く、ドンコとババガレイもともに2トン以上の水揚げだった。

 ○…青果物卸売市場(西桔梗町)では午前6時40分から「初競り式」が行われた。法被姿の卸業者や買受人ら関係者約150人が出席し、七福神や干支(えと)の龍が描かれたパネルの前には鏡もちやダイコン、ミカンなどが並んだ。

 開設者を代表して片岡格副市長が「景気低迷や商品流通の変化など市場を取り巻く環境は厳しいが、市民に安心・安全な青果物を安定供給するという使命を果たすため、関係者との連携を強化し、市場の活性化に努めたい」とあいさつ。

 式では函館巴太鼓の力強い演奏が活気づけ、三本締めで1年間の繁盛を願った。指定管理者の函館青果管理によると、この日は地場産のダイコンやタマネギ、トマトなどが並び、本州産のニンジンやキャベツなどとともに次々と競り落とされた。

 入荷量は野菜が前年比7・8トン減の39・4トン、果物が同2トン増の19トン。価格はほぼ昨年並みで、キュウリが高め、タマネギが若干安めだった。一方、本州産の果物の入荷量は少なめだった。(森健太郎、後藤真)



◎企画【JOMON第1部⑤】北黄金貝塚(伊達)、入江・高砂貝塚(洞爺湖)

 噴火湾越しに駒ケ岳を望む起伏に富んだ丘陵地帯。緑まぶしく、清らかに小川がせせらぐ。北海道らしい大自然をたたえる国指定史跡「北黄金(きたこがね)貝塚」。冬の陽光を浴びた台地は、現代に続く縄文への想像力をかき立てる。

 伊達の市街地から車で約20分。牧草地だった小高い丘には復元された竪穴住居も見える。約6000年前。海は丘のすそに迫る。その後、寒くなると海は丘から後退する。地球の気候変動に呼応した縄文人の暮らしがよみがえる。

 標高20メートルほどの丘を上ると、白い貝殻が敷き詰められた2つの復元貝塚が姿を現す。高台の地点に多いハマグリは当時の温暖な気候を裏付ける。中腹の地点からは人骨14体も見つかった。

 「貝塚はごみ捨て場ではないんです」

 伊達市噴火湾文化研究所の青野友哉学芸員(39)は、貝塚に置かれたシカの頭蓋骨を手に力説した。そこには「命」があった。

 小川の水源近く、出土したままに保存された「水場の祭祀場(さいしば)」。発掘されたすり石や石皿など調理道具は約1200点。ほとんどが壊れているが、決して捨てられたのではない、という。

 「貝塚と同様に、感謝の意を込めて供養する『送り場』だったと考えられる」と、青野学芸員は思慮深げに水辺を見つめた。数千年の時を経て、土の下に眠る神聖な史実は、物質的な豊かさを手に入れた現代人に警鐘を鳴らしているようにもみえる。

 地域の縄文文化に魅せられた人々の輪も広がる。市民団体が主催する「だて噴火湾縄文まつり」は今年15年目を迎える。公園に併設する情報センターでは、市民ボランティアガイドの「オコンシベの会」が土器作りや模擬発掘など体験メニューをそろえる。

 縄文遺産を生かしたまちづくりを進める噴火湾考古学研究会の浪越朗会長(60)は言う。「北の縄文はアイヌ文化に通じる日本人のルーツ。世界遺産登録に向け、オール北海道で取り組むためにも、国宝のある函館が中心となって引っ張ってもらわないと」

 伊達から北西に約20キロ。胆振管内洞爺湖町の住宅街に国指定史跡「入江・高砂貝塚」が広がる。入江の高台には長さ約20メートルの「貝塚トンネル」が抜ける。ガラス越しの断面に多種多彩な骨や土器、貝類がぎっしり埋まり、縄文の時代変遷を伝える。

 ポリオに感染した人骨も出土した。頭や背中に比べ、手足の骨が極端に細い。周囲の手厚い介護で生き永らえた証しだ。同町教委の角田隆志学芸員(42)は「当時の福祉水準の高さを物語る貴重な史料」と胸を張る。

 一方、300メートル離れた高砂は草地のまま。2013年度からの整備は自然景観を重視し、必要最小限にとどめる方針だ。「自然との共生や人へのいたわりなど縄文の心に思いを巡らせてほしい」と角田さん。北の貝塚には現代に通じる縄文文化の核心が宿る。

 ◆北黄金貝塚 伊達市内にある縄文前期・中期(約7000〜4500年前)の集落跡で、1950年に当時の伊達高教諭・峰山巌氏が発見。5カ所の貝塚などからは多くの人骨や石器、住居跡が見つかり、水場遺構も特徴的。8・7万平方メートルが国史跡に指定され、2001年から公園として公開している。

 ◆入江・高砂貝塚 胆振管内洞爺湖町にある縄文前期から後期の集落跡。貝塚は南北に約300メートル離れ、総面積は計5・4万平方メートル。入江が1988年に国指定史跡となり、2002年に高砂の追加指定で一つの史跡として登録された。土器や人骨などの出土品を展示する入江・高砂貝塚館(4〜11月)もある。(森健太郎)


◎JA新はこだてが北斗市に今夏、農産物直売所

 【北斗】JA新はこだて(畠山良一組合長)は今年夏、新たなファーマーズマーケット(農産物直売所)を北斗市東前に開設する。現在運営する同JA直売所「北斗へい屋」に替わる販売拠点で、広域JAの強みを生かし、多種多様な農産物の提供で消費者の心をつかみ、農家の所得を増やす。地域農業への理解促進や、生産者と消費者の交流拠点も狙う。JA直営では道南最大級の常設直売所となる見込みだ。

 新店舗は、同JA東前事業所の内部を全面改修し開設。工事は4月下旬にも始まり、夏の開業を目指す。売り場面積は北斗へい屋の30平方メートルから、200平方メートルへ拡大。名称も変える。事業費は約3000万円。

 最大の特徴は、渡島半島一円を区域に持つ広域JAならでは品ぞろえだ。管内の函館市、北斗市、厚沢部町、江差町、奥尻町、長万部町、乙部町、上ノ国町、木古内町、知内町、せたな町(北桧山を除く)、七飯町、森町、八雲町ではコメをはじめ野菜、花、畜産物と道内で生産されるほとんどの農産物がそろう。例えば、八雲のチーズ、厚沢部のメークインやメロン、森のカボチャやトマトなども扱う予定だ。加工品も充実させ、通年営業する。「JA全域」から集めた農畜産物を函館圏の消費者、全国に向け発信し、3年をめどに1億円の売上高を目指す。

 出荷者は同JA直売部会(仮称)に加入することが条件で、3月までに部会を設立する。部会員は50人程度でスタートし、100人規模の組織にしたい考え。商品は持ち込みが原則で、出荷者自ら値決めする。

 店舗販売だけでなく、インターネットを活用した全国販売も予定。消費者と交流できるイベントも企画し、料理方法の提案などを通じた食育への貢献も。

 北斗へい屋は同事業所の隣にあり、プレハブ造りで2008年5月に開設。同JA大野基幹支店管内の生産者を中心に30〜40戸が野菜をメーンに販売。出荷者の組織はない。新店舗の開業までは既存施設の営業を続ける。

 同JAは「各市町で得意とする農畜産物を出荷してほしい。小規模経営や高齢者、女性も重要な担い手となる。出荷者の所得増や生きがいづくりにつなげていきたい」(企画室)としている。

 ファーマーズマーケットの開設は、同JA中期経営計画(11〜13年度)の目玉として位置づけられている。(山崎大和)