2012年1月8日 (日) 掲載

◎無病息災祈り どんど焼き

 受験シーズン到来—。6日は道教育大学附属函館中学校(相田幸男校長)の入試が行われ、函館市内や近郊から201人の小学6年生が挑戦した。

 古いお札や縁起物、正月のしめ飾りなどをたき上げ、無病息災を祈る「どんど焼き」(焼納祭)が7日、道南各地の社寺で開かれ、参拝者は勢いよく燃える炎に手を合わせていた。

 どんど焼きは全国的に、小正月の15日に開かれるが、道南では「松の内」最終日の7日に行う。函館市谷地頭町の函館八幡宮(中島敏幸宮司)の境内では、祭礼が始まる午前9時前から、お守りや正月の松飾りなどが集められ、鈴などの金属製のものや、ビニールなどを外し、灰が飛び散らないようにフェンスで囲いをした「忌床(いみどこ)」に山積みにしていった。

 神職が祝詞をあげ、氏子を代表して同八幡宮敬神婦人会の鈴木慶子副会長(70)らが玉串をささげた後、祭礼前に拝殿で採られた忌火(いみび)を破魔矢に移して火が付けられた。竹製の熊手がパチッっと大きな音を立てる中、煙を頭に浴びようとする参拝者の姿も見られた。

 鈴木さんは「家族や世界の人が健康で暮らせることを祈りました。今日の青空のように穏やかな1年になってほしい」と話していた。(山崎純一)



◎妙技はしご乗り 函館市消防出初め式

 新春恒例の函館市消防出初め式が7日、市民会館(湯川町1)駐車場などで行われた。集まった1000人以上の市民らが見守る中、消防団員による伝統の技「はしご乗り」などが披露され、火災のない1年を願った。

 出初め式はレスキュー隊員が同会館屋上からロープで降下して開幕。工藤寿樹市長がスイッチを押すと、はしご車の先端に取り付けられたくす玉が割れ、消防音楽隊の演奏に合わせて消防職員200人、消防団員700人が会場内を次々と行進した。

 火消し装束を身にまとった市消防団「町火消し」のメンバーによるはしご乗りの実演では、高さ約6・5メートルのはしごの上で手を離したり、逆さになったりする妙技が繰り広げられ、観衆から大きな拍手が送られた。

 続く消防訓練では、放物線を描く放水に虹がかかり、市民らから大きな歓声も。最後に三本締めで市民の安全を願った。会場を同会館に移して行われた屋内の式典では、長年にわたり防火、救急活動に貢献した個人や団体に市長感謝状も贈られた。(森健太郎)



◎企画【JOMON第1部⑦】大船遺跡と垣ノ島遺跡(函館・南茅部)

 ほのかに潮風が鼻をかすめる。市内中心部の喧騒からは程遠い静寂が周囲を包んでいた。「ようこそ、いらっしゃいました」。管理人の女性がにこやかに出迎える。建物内にある無数の土器が、この南茅部地域を“縄文遺跡の里”と呼ぶゆえんを示していた。

 同地域には縄文遺跡群が91カ所点在し、北東北とは津軽海峡を挟んで「円筒土器文化」という共通の文化圏に属するなど関連が深い。その代表格が大船遺跡と、国内有数の規模を誇る垣ノ島遺跡だ。

 大船遺跡は1984年度の所在確認調査によって、縄文時代中期・後期の遺跡であることが確認された。その後、大規模な集落跡として重要性が認められたため現状保存されることとなり、2007〜09年度にかけて竪穴住居の復元や環境整備工事をするなどし、整備を完了させた。

 現在、遺跡に隣接する大船遺跡埋蔵文化財展示館には多くの見物客が足を運び、管理人の案内のもと、地域と縄文との関わりを学んでいる。

 展示館の外には、精巧に復元された竪穴住居が散在していた。当時、発掘には多くの旧南茅部町民が発掘作業員として関わっていたという。

 「25人ほどの作業員が、各班に分かれて発掘作業に当たった。深い住居が見つかったり、クジラの骨が発見されたり、大変だったけど楽しかった」。1996年から約5年間、発掘に携わった大宮トシ子さん(58)は、昔を懐かしがるように振り返る。

 「当時は世界遺産のことなんて考えもしていなかった。登録されたら夢のよう」。のどかな空気に包まれるこの遺跡が、過疎化に悩む地域の起爆剤になることを地元住民は望んでいる。

 大船から約3キロの近さに、さらなる可能性を秘めた遺跡がある。「垣ノ島の価値は大船に劣らない」。昨年10月にオープンした市縄文文化交流センター(臼尻町)の阿部千春館長は、自信を持って語りかけてくる。

 垣ノ島遺跡は9万2757平方㍍の広さを誇るとともに、集落が存在していた時期は縄文早期前半(約9000年前)から後期(約3500年前)と、大船よりも長い。

 長さ100メートルを超える国内最大級の盛土遺構が象徴で、世界最古の漆糸製品など20万点以上の遺物が見つかった。昨年、国史跡に指定され、現在は世界遺産の暫定リスト入りを目指している。

 市は来年度にも土地を公有化させて環境整備を進め、盛土遺構や年代によって性質を変える集落の存在を伝える遺跡へと変ぼうさせる計画だ。

 「垣ノ島が世界遺産のリストに加われば、この地域のさらなる活性化につながるはず」。阿部館長の言葉が、地元の思いを代弁している。(後藤 真)(第1部おわり)

 ◆大船遺跡…縄文時代中期(約5500年〜4000年前)を中心とする北海道南部の拠点的な大規模集落跡。調査では100軒以上の住居跡が見つかっている。2001年に国史跡指定。国史跡範囲は7・2ヘクタールに及び、「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」の構成資産入りしている。


◎昨年度の函館市 広告収入 不況で苦戦

 函館市が行っている広報誌や各種刊行物、ホームページ(HP)などでの広告収入が、不況の影響で苦戦している。2010年度は前年度比2割減の699万円にとどまり、本年度も600万円台となる見通しで、各企業が広告費を減らした影響が反映された形だ。

 広告収入事業は自主財源の確保を目的に、2006年度から開始。市財政課によると、初年度は市民生活のしおり、納税通知書用封筒、ごみ収集カレンダーとHPバナー広告の4媒体で実施し、350万円の収入があった。

 以降、広報誌「市政はこだて」や職員の給料明細封筒などへ拡大。最大11媒体で展開し、08年度は985万円に達したが、09年度は観光パンフレットへの掲載が終了し、870万円に減少。昨年度は新たにがん検診カレンダーを加えたが、伸び悩んだ。

 ごみ収集カレンダーは各家庭で見やすい場所に貼り付けるケースが多いことから人気が高いが、給与明細封筒は2年連続で応募がないなど、ばらつきがある。

 公共施設のネーミングライツは、交通部が06年度から導入し、市電「魚市場通」と「五稜郭公園前」の電停2カ所でそれぞれ副呼称を付けている。市は財源確保の面で有効な手段とみて、過去に市長部局での導入も検討した経緯があるが、札幌などの大都市圏でも応募が少ない点などから、実現していない。

 市内で今後、建設される大規模施設は2015年度オープン予定の函館アリーナ(湯川町1)がある。同課は「供用開始時期の景気状況をみながらの判断」と話し、慎重な姿勢だ。(千葉卓陽)


◎氷上の熱戦火ぶた 函館新聞社杯アイスホッケー開幕

 第15回函館新聞社杯アイホッケー大会(函館新聞社主催)が7日、函館市民スケート場(金堀町10)で開幕した。優勝を目指し選手たちが熱戦を展開し、約50日間にわたるリーグ戦の火ぶたが切られた。

 試合に先立ち、全チームから約50人が参加して開会式が行われ、函館アイスホッケー協会の見付宗弥会長が「毎晩、仕事を終えた後の試合となるが、けがの無いように実力を発揮してほしい」と選手を激励。参加者も健闘を誓い合った。

 開幕試合は、昨年3位のホワイトベアーズと同4位のファンキースタッフの対戦。見付会長によるフェースオフで始まり、両チームの選手は激しいぶつかり合いや鋭いシュートを放ち合った。

 今年は道南の7チームが出場し、総当たり2回戦で優勝を争う。試合は月〜土曜日(2月11、24日は休み)の午後8時から行われる。観覧無料。(山崎純一)