2012年1月9日 (月) 掲載

◎青々と元気「一番ニラ」 知内で収穫始まる

 【知内】ニラの生産量全道一を誇る知内町で、「一番ニラ」の収穫が盛んに行われている。甘い香りが漂うビニールハウスの中で、生産者らは青々と成長したニラを丁寧に刈り取っている。

 知内町のニラは、味の良さと徹底した品質管理で国内有数のブランドに成長。甘みがあり、葉の幅が広く肉厚なのが特徴で、昨年は2年連続で販売額が10億円を突破した。

 知内町ニラ生産組合(石本顕生組合長、73戸)では4日から一番ニラの収穫を開始。8日までに15戸が収穫を行っている。

 町上雷の宮下進也さん(36)のハウスでは6日から出荷を始め、室温が10度に保たれたハウスの中で、50㌢ほどに成長したニラを根元から刈っている。「二番ニラ」の収穫には30日ほどかかるという。

 8日は約120キロを収穫し、函館と札幌の市場に送られた。収穫が本格化する来月からパート従業員を雇い、作業にあたる。3〜5月の最盛期には1日の収穫量が500キロにも及ぶという。宮下さんは「昨年12月の天候があまり良くなかったので心配だったが、平年より出来のいいニラになった」と笑顔で話していた。(松宮一郎)



◎国立函館病院の名誉院長・荻田さんエッセイ集出版

 国立病院機構函館病院(函館市川原町)の名誉院長・荻田征美さん(70)がこのほど、エッセー集「病と共に」を東京図書出版から出版した。医療現場での印象深い思い出や自身の闘病体験を、やさしい筆致でつづっている。

 著書は診療で出会った患者について記した「病、そして人」と、脳梗塞を発症した自身の闘病体験を振り返った「自らが病を経て」の2部構成。一人の医師として、患者として「病」と向き合ったエピソードがつづられ、序文を含めると全部で23のエッセーが収められている。

 いずれも平易な文章で、心温まる話やちょっぴりせつない思い出が語られている。「眼鏡」では、足寄国保病院に院長として赴任した時の奮闘ぶりを回顧。「女2人」は、同室の女性2人、嫁としゅうとめ、娘と母、姉と妹と、4組の乳がん患者について振り返り、互いに絆を深めながら病に向き合い、精神的な重圧を乗り越えたエピソードとして紹介している。

 今回で4作目の出版で、荻田さんは「一人一人の患者に対し、深い思い出があります」と話す。

 荻田さんは北大医学部卒業後、1969年4月に帯広病院に勤務し、医師としての人生をスタート。国立札幌病院などを経て2005年に国立病院機構函館病院の院長に就き、07年から名誉院長。現在は札幌に在住し、毎月2回函館病院で診療に当たる。

 238ページ、1470円。問い合わせは最寄りの書店へ。 (鈴木 潤)



◎2012年卒の道南の高校生 求人増も就職厳しく

 函館公共職業安定所がまとめた2012年3月高校卒業予定者(渡島・桧山管内)の11月末現在の求職・就職状況は、求職者1045人に対して1032人の求人があるが、うち就職決定者は52.3%の547人にとどまっている。前年度より求人状況は改善したが製造や介護など業種に偏りがあり、事務職などを希望する生徒との間にミスマッチが起こっている。

 道南の高校卒業予定者は例年減少傾向にあり、これに伴い求職者の人数も減る傾向にある。ただ本年度は現時点では前年度より多く、これに応えるかのように求人も伸びている。この状況について同職安は「前年度は早めに進学に転向した生徒が多かったが、本年度は例年並みに戻った」とみる。

 本年度の求人数は前年同月比14.2%増の1032人。リーマンショックからくる世界不況の影響を受けた09、10年度からは改善しているが、それ以前(08年度は1391人)と比較すると少ない。しかし就職先が同職安管内(道南)の求人に限ってみると同30・7%増の大幅改善で、過去10年間では06年に次ぐ2番目に良い状況だ。

 しかし就職決定者数は求人の割に振るわず、全体の増加幅は同6.4%増、管内も同17.7%増と、一定の増加はあるものの低い割合にとどまっている。これについて同職安は、食品製造や介護職など特定の業種で増加していることを指摘。「女子に希望が多い事務系は少なく、事業所側と求職者側にミスマッチが生じている。環境が上向いている実感はわかない」とする。

 ただ環境は道内全体が上向いており、道南の就職決定者の割合は道内20地域中、上から10番目。平均の51.8%をわずかに超えた。

 12月以降に求人の増加はさほど見込めず、1月からは一般対象の求人を切り替える作業に入る。同職安では求職者が手書きした自己アピール文などを掲載した「高卒予定者求職者情報」を本年度も作成し、今後道南企業に配布して雇用促進につなげる考え。(小泉まや)


◎渡島11市町 財政改善

 渡島総合振興局がまとめた管内11市町の2010年度普通会計決算の概要によると、財政健全化の判断の目安となる「実質公債費比率」の管内平均は前年度比0.8ポイント減の10.3%と改善した。全道平均(12.8%)も下回った。地方債を発行する際に道の許可が必要となる18%以上の自治体は知内町(19.1%)のみで、前年度の3町(知内、森、長万部)から減った。知内は早期健全化基準(25%)を超えるまでは至っていない。

 実質公債費比率は、一般財源に占める地方債の元利償還の割合を示し、数値が高いほど財政状況が悪く、25%以上になると地域活性化事業などの単独事業に関する地方債が制限される。

 管内では、知内町が最も高く、前年度の21・8%から19.1%へ。11年度決算では18%を下回る見込みだ。前年度に18%だった森町は17.4%、長万部町は16.1%となった。函館市は同0・8ポイント減の8.2%、北斗市は同1.3ポイント減の11.3%だった。

 人件費や扶助費、公債費と経営経費の占める割合を示す「経常収支比率」は、管内平均が同1.8ポイント減の85.3%で、全道平均(87.5%)を下回った。

 財政規模に対し、一般会計などの実質赤字が発生した自治体はなかった。全会計が対象の実質赤字「連結実質赤字」が発生した自治体もなかった。連結実質赤字は前年度、北斗、函館の2市で発生したが、いずれも解消した。

 将来の借金負担の重さを示す「将来負担比率」の管内平均は同21.4ポイント減の87.5%。森町が163.7%と高かったが、財政健全化計画を策定しなければならない350%以上の自治体はなかった。

 歳入総額は同1.3%減の2090億円で、3年ぶりに減少。地方交付税が同6.1%増加したが、国庫支出金が同12.3%、地方債が同7.3%それぞれ減少した。歳出総額は同1.7%減の2054億円となり、2年ぶりに減少。人件費が同4%、公債費が0.3%それぞれ減少したが、子ども手当や生活保護費などの扶助費が14.7%増となった。(山崎大和)