2012年2月1日 (水) 掲載

◎「伏せ込み栽培」ぐんぐん成長 アスパラ出荷

 【厚沢部】厚沢部町で「伏せ込み栽培」による冬どりグリーンアスパラガスの出荷が行われている。冬季の農業収入の確保を目的に、町内では厚沢部町農業振興公社(鶉町、進藤貞夫社長)と農家2戸が取り組む。氷点下の気温が続く中、ビニールハウス内の気温は20度前後に保たれ、太く長いアスパラが次々と育っている。

 同公社では、ハウス2棟(約200坪)に1万5000株が植わっている。出荷は今月上旬から始まり、3月中旬まで。毎日、職員7、8人が長さ26センチ以上(製品は24センチ)で収穫、選別し、1束150グラムに結束。1箱に40束(6キロ)詰め、現在は1日あたり12〜15箱をJAを通し札幌市場に出荷。ピーク時の今月20日ごろには、20箱超を出荷した。市場価格は、出始めがLサイズで1キロ1800円ほどだったが、道内の他産地の出回りも増えたため、現在は同1700円弱で「例年並み」と同公社。1シーズンで同じ株から約3回収穫できる。

 床の高さは45センチで、床下に電熱線をはわせ、上からトンネル被覆するほか、ハウス内の加温も。

 同公社の米谷勝雄次長は「今年の出来はまずまず。伏せ込みアスパラは柔らかく、甘いのが特長」とアピールする。

 伏せ込み栽培は、春〜秋に露地圃場(ほじょう)で根株を養成、11月下旬に掘り上げて12月にハウス内の床に伏せ込む。収穫後は株を撤去する短期栽培法。根株を丈夫に育てることが、いいアスパラができる条件だ。国産アスパラの端境期に出荷できるため、高値で取引されるメリットもある。(山崎大和)



◎知的障害者の生活実態調査へ

 札幌市内のマンションの一室でともに40代の姉と知的障害のある妹の遺体が発見されたのを受け、函館市は31日、市内在住で福祉サービスを受けていない知的障害者約830人を対象に、生活状況などの実態調査に乗り出すことを決めた。2月中にも現況を把握したうえで具体的な対応策を検討する。

 市福祉部によると、市内に住む知的障害者は1月1日現在、約2450人。このうち約半数の約1250人が在宅や施設などでデイサービスを受けたり、支援施設に入所したりして福祉サービスを受けていて、年齢や家族構成、日中の生活状況などを確認できている。

 一方、残る約1200人は障害の度合いが比較的軽く自活していたり、家族らの支援を受けていたりして状況を把握しきれていないのが実情。市は主に保護者と同居している18歳未満の約380人を除く約830人について職員による訪問などで聞き取り調査し、困った時の連絡先などを掲載したチラシも配布する。

 市では独自の障害者データベースシステムで市の福祉サービスの支給決定者を登録、管理しているが、これまではサービスを必要としない対象者まで目が行き届いていなかった。市は2月6日までに調査対象者を名簿で特定し、同7〜15日に調査を行い、同20日までに結果をまとめる予定。

 市障害福祉課は「実態調査と並行して地域の支え合いも不可欠。まずは現状把握を最優先に、行政がどういう手だてができるか検討したい」としている。今後は関係機関や町会、地域の民生委員と連携し、将来的に支援が必要な人や、家族と同居している可能性が高い18歳未満についても調査に着手する方針。

 また、北斗市では知的障害の認定を受けた療育手帳交付者は昨年3月末現在で502人。市では通常業務の戸別訪問などで対象者のサービス利用実態を調査し、未利用者についても必要な支援があるか家族や本人の意向を確認した上で対応している。市保健福祉課は「従来通り担当間で連携を密にして、情報共有を強化することを確認している」としている。(森健太郎、今井正一)



◎称名寺「円空仏」市文化財へ

 函館市船見町18の称名寺(須藤隆仙住職)に伝わる彫刻「円空作仏像観音像(円空仏)」が1月31日、函館市文化財保護審議会(折原久左エ門会長)から市に答申され、函館市指定文化財への指定が事実上決まった。同文化財指定は2008年10月以来で、件数は合わせて87件となった。8日の市教委定例会の議決を経て正式決定となる。

 円空仏は称名寺の宝物館で所蔵。江戸期に日本各地を回って木彫りの仏像を残した円空上人が作者で、全国に残した約12万体のうちの一体。同円空仏は1666年に作られたとされている。

 元々は福島町の観音堂に祀られ、その後海に投げ入れられたが、地元の漁師が偶然発見して所蔵。同家が1958年に同寺に寄進し、同寺が所有していた。

 各地に伝わる円空仏としては初期のもので、この年代の代表作として称名寺型と呼ばれる。ほほ笑みを浮かべているのが特徴。作者が明確に分かるほか、同型が東北や関東などへも及ぶことから円空仏の変遷を把握する上で大きな価値があり、美術性にも優れていることが評価された。

 同日は市役所で答申書の受渡式が行われ、折原会長から山本真也教育長に答申書が手渡された。折原会長は「円空仏は数が多いため、審議に約10年を費やした。素晴らしい作品なので、多くの人の目にとまってもらえれば」と話した。

 須藤住職は「初期の作品なので丁寧に彫られ、本州からわざわざ見に来る人もいる。道南にある約40体はほとんど腐食しているが、この円空仏は保存がいい。一般の人にも自由に見てほしい」と話す。

 円空仏は午前9時から午後5時まで、同寺で一般公開している。(後藤 真)


◎函商高の森田君が日商簿記1級合格

 難関として知られる日本商工会議所主催の簿記検定1級に函館商業高校(難波繁之校長、生徒634人)3年の森田祐樹君(18)が合格した。現役での1級合格は同校では2006年以来の2人目の快挙。全校集会で合格を知ったという森田君は「すごく驚いた。合格するとは思っていなかったので、とても嬉しかった」と笑顔を見せる。

 同試験には、商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算の4科目(各25点)が出題され、大学卒業程度の知識が問われる。合格には各科目最低4割以上、合計で7割以上の得点が必要とされ、社会人や大学生でも難しいとされている。今回試験の全国合格率は13・0%だった。

 森田君は高校から簿記の勉強をはじめ、先生の勧めをきっかけに1年の後半から簿記部に入部した。2年から部長を務め、大会や検定に向けて日々活動を続ける一方で、日商簿記2、3級も順調に合格。1級は2年の11月に初受験し、今回が3回目のチャレンジだった。

 「やるからには最後までやりたい。受かるまでがんばろう」との思いで、部活ではひたすら簿記に打ちこんだ。中でも外国通貨などの問題が苦手だったという森田君。土日は朝8時半から夕方までテキストや問題集を繰り返すなど、黙々と取り組んできた。「苦手の問題を重点的にやったり、問題を反復して解いたり下積み重ねが合格につながったのでは」と振り返る。

 現在は19日の全国経理教育協会主催の簿記検定に向けて勉強に励んでいる。森田君は「将来は地元で簿記の資格を生かした職に就くのが夢。事務処理などを行う職業に就きたい」と目を輝かせている。(平尾美陽子)


◎ホームレス7人を確認

 函館市が1月中旬に実施した本年度のホームレス実態調査で、市内では駅や岸壁などで生活する7人の男女が確認された。近年はほぼ10人前後と横ばいで推移し、中には数年来定住≠オている人も。市は「1人でも減ってほしい」として実態把握に努めている。

 市では2007年度から夏と冬の年2回、職員が市内で巡回調査を行っている。本年度は1月20日に市内のJR駅やフェリーターミナル、港湾・公共施設、公園など43カ所を対象に、日中と深夜にそれぞれ1回ずつ目視で調査し、一部は聞き取りも実施した。

 本年度はJR函館駅を中心に男性5人、女性2人を確認。本格的な調査を開始した07年度は男女13人がいたが、08年度は男女12人、09年度は男性7人と減少傾向にある。10年度は男性2人だったが、調査時に不在だったり、初顔もいたりと、結果には不確実性もある。

 市福祉部によると、年代は40〜60代が大半で、毎年確認している人のほか、所持金や日雇いの仕事を持っている人も。施設などの管理上は看過できない半面、「本人が『何も困っていない』と言えば、積極的には出れない」(生活支援第2課)難しさもあり、黙認されているのが実態だ。

 市には例年、生活保護の受給を申請するホームレスが少なからずいるという。同課は「支援策などの判断材料にもなり、実態を正確につかむことは大切。できる限り対応し、調査結果をホームレスの自立に生かしたい」と福祉の手を差し伸べている。(森健太郎)