2012年2月10日 (金) 掲載

◎道南観光名所をスマホで「案内」、コンベンション協が「動画ガイド」開設

 函館国際観光コンベンション協会は、スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)向けに動画で観光名所を案内する「はこだて観光動画ガイド」を開設した。函館市内・近郊の観光スポット53カ所の周辺でしか見られない動画を「ミスはこだて」が紹介。観光客の街歩きに役立ててもらうユニークな試みだ。

 急速なスマホの普及に伴い、国内外の観光客に新たな切り口で函館の魅力を伝えようと、2月上旬から運用を開始。スマホに搭載されたGPS(衛星利用測位システム)機能を使って専用サイトにアクセスすると、現地周辺の半径100メートル以内でしか見られないオリジナル動画が楽しめる。

 動画では函館山山頂や五稜郭タワー、金森赤レンガ倉庫をはじめ、西部地区の坂や日本最古のコンクリート電柱、大沼、駒ケ岳など計53カ所を紹介。ミスはこだての3人がそれぞれナビゲーターとして登場し、1カ所につき40秒程度で名所の概要や外観を動画で案内する。

 制作は道観光振興機構(札幌)などの助成を受け、市内のケーブルテレビ局「NCV」が昨年秋に撮影。今後は紹介する観光スポットを増やし、外国語対応も検討する。同協会によると、GPSと連動した観光案内動画サイトは全国でも珍しいという。

 同協会は「観光客が手軽に持ち歩けるガイドブックのように活用してもらい、函館散策を楽しむ一つのツールにしてもらいたい」としている。サイトのURLはhttp://www.hakodate−kankouguide.com/ (森健太郎)



◎新規住宅着工の減少続く、昨年の函館

 国土交通省は2011年の新築住宅着工戸数をまとめた。函館市内は1396戸で前年比11.6%の減と、漸減傾向が続いている。道南圏の主要3市町(函館、北斗、七飯)では計1760戸で同10・5%の減。長引く不況に伴う需要冷え込みに歯止めがかかっていないことに加え、東日本大震災後の資材不足などが影響したとみられるが、3市町合計で持ち家が増加しており、根強いマイホーム志向がうかがえる。

 同省のまとめによると、函館市では個人など持ち家が前年比13.2%増の546戸と持ち直した一方、分譲は同50.2%減の218戸と半減した。アパートなど貸家は同2.7%減の626戸と、ほぼ横ばいだった。日本銀行函館支店は分譲の落ち込みについて「昨夏に約200戸のマンションが建設された影響」とみている。

 月別でみると、東日本大震災直後の4月が171戸で最多。新築1戸あたり30万円相当が与えられる住宅エコポイントが締め切られた7月も164戸と“駆け込み着工”が多く、国の各種制度が下支えした。エコポイント打ち切り以降は月100〜110戸と伸び悩んだ。

 2市1町の持ち家は同16.9%増の752戸。北斗市は持ち家、貸家など合わせて208戸(同21.9%減)、七飯町は同156戸(同30%増)だった。

 2市1町の年ごとの推移をみると、08年に2454戸あった新規住宅着工は、同年に発生したリーマンショックを受けて、翌09年は1980戸に減少。10年も1965戸と、依然として回復基調には至っていない。

 住宅建築の辻木材(北斗市)の辻秀明社長は「全体的には先細りだが、子育て世代で家が欲しいと思っている人が多く、持ち家の伸びにつながった。今年は公務員給料が下がる状況などから購買意欲が減退していく懸念があり、掘り起こしが必要」と話している。

 政府は1月25日から被災地復興支援として住宅エコポイントを復活させており、エコ住宅の新築で1戸あたり15万円相当のポイントが付与される。着工の対象期間は今年10月末まで。(千葉卓陽)



◎景観条例規制強化へ、審議会で改正素案示す

 道南の特別支援学校や障害者施設などが日ごろの活動で作った作品や製品を展示、販売する「函館・渡島・桧山教育福祉合同作品展」(函館地方精神保健協会など14団体の共催、函館新聞社など後援)が8日、函館市若松町の棒二森屋で始まった。13日まで。

 函館市都市景観審議会(岩田州夫会長)が9日、市役所で開かれ、市内西部地区の景観保全に向け、見直しを進める市の都市景観条例の改正素案が示された。函館らしい町並みの「景観形成街路」を新たに設定し、建築前の事前協議制度や強制力をもった罰則規定の導入を盛り込んだ。

 一昨年に市内元町の二十間坂の上に市内の海産物販売業者が「自由の女神像」を設置したことや、1988年の条例制定から20年以上が経過していることなどを受け、市や同審議会は規制の強化や歴史的建造物の保全を含めて条例の改正協議を進めてきた。

 素案では、市が指定する都市景観形成地域(120f)内にある伝統的建造物群保存地区(14.5ヘクタール)に隣接した八幡坂や二十間坂などの沿道を最重要景観の「景観形成街路」に選定。この街路で建物や工作物を新築、増築、改築などをする場合、届け出前に市との事前協議を必要とする制度も導入する。

 また、景観形成地域内では、景観形成基準に合わない場合、これまで指導・勧告が限度だったが、今後は国の景観法に基づき、最高で50万円以下の罰金や1年以下の懲役を科すことができる。さらに現行の「周囲の景観と調和のとれたもの」というあいまいな表現を改め、高さや色、素材など具体基準も設けた。  「女神像」のような工作物については「彫像や記念碑」などの項目を新たに加え、景観形成街路を対象に「1敷地に対して1基とし、高さ2b以下、幅2b以下とする」。さらに既存の景観形成指定建築物など以外に歴史的な街並みを構成する昭和30年代までの建物を「登録建築物」に定める。  このほか、景観形成街路や伝建地区で広告物を表示する際、市との事前協議や届け出の制度を導入することを柱とした市屋外広告物条例も同時に改正する方針。この日の同審議会でいずれも了承され、市は6月の定例市議会に改正案を提案し、12月の施行を目指す。(森健太郎)



◎砂原漁協女性部が全国大会へ

 東京で3月1、2両日に開かれる「第17回全国青年・女性漁業者交流大会」(全漁連主催)に、森町砂原地区の砂原漁協女性部(石栗節子部長、部員29人)が道代表として出場する。道南からは唯一の出場で、浜の主婦のアイデアから生まれたヒット商品「ほたて昆布きんちゃく」について発表し、砂原のまちと漁業を全国に発信する。

 大会は全5部門あり、同女性部は「流通・消費拡大部門」で石栗さん(72)が「ほたて昆布きんちゃく商品化から販売までの取り組み〜消費、販路拡大への第一歩」と題し15分間発表する。道南から全国大会への出場は、第15回大会に出場した森漁協青年部以来2大会ぶり。

 同女性部の「ほたて—」は、第3回「浜のかあさん料理コンテスト」(渡島総合振興局など主催)で最優秀賞を獲得。砂原特産ホタテの稚貝をコンブで包み、かんぴょうで結んだ後、しょうゆで煮込んだもの。養殖コンブのとろけるような軟らかさにホタテのうま味が加わり、高い評価を得た。

 商品化のきっかけは、2010年に2回開催された「道南食のブランドフェア」(同振興局など主催)への参加。大手百貨店バイヤーから高い評価を受ける中、伊藤忠商事が着目。昆布巻きや煮豆商品などを手掛ける篠田食品工業(札幌)を紹介され、共同開発が始まった。

 同女性部は原料調達と熟練の技が必要なコンブ包み作業を担い、同社が味付け、パッケージングを担当。11年4月に丸井今井函館店(本町)で開催された「森町フェア」で商品デビュー、そのときは600パックが完売する人気だった。

 現在は丸井今井函館店のほか、同地区にある道の駅「つど〜るプラザさわら」、札幌市内の「どさんこプラザ札幌店」や「きたキッチン」でも販売している。価格は1パック5玉入り600円。これまでに催事も含め約4500パック売れたという。

 石栗さんは「砂原のPR、そして浜のために頑張りたい」と意気込む。

 石栗さんは、札幌で1月19日に開かれた「第57回全道青年・女性漁業者交流大会」(道、道漁連主催)で活動内容を発表。9団体の中から同女性部を含む3団体が全国大会に推薦された。(山崎大和)


◎「がごめ焼き麺」評価上々、えん楽が試食会

 函館市末広町の函館塩らーめん専門店・えん楽で9日、函館名物で強い粘りが特長のガゴメコンブを使った新商品「函館がごめ塩辛焼き麺」の試食会が開かれた。道の本年度「地域食クラスター推進事業」で開発を進めており、14日に札幌グランドホテルで開かれる「食クラ・フェスタ2012」(食クラスター連携協議体主催)で発表、試食される。

 同店を経営するファインリバー企画の吉川寿樹社長によると、ガゴメはソースにして具材や麺と一緒にからめたほか、細切りにして麺の上に載せた。具材は函館産イカ、道産サケ、ニンジン、タマネギ、ピーマン。隠し味として函館産イカ塩辛を炒めたものを使った。海鮮味の焼きそばで、見た目も鮮やか。

 この日は、事業受託者のノース技研や渡島総合振興局、函館地域産業振興財団、函館がごめ連合などの関係者10人が試食。同連合の専門店「がごめ昆布 ねばねば本舗」の茂森慶子店長は「おいしかった。もう少しガゴメのとろみを生かしてほしい」と話していた。

 吉川社長は「函館の特産品を生かした新しい名物料理に育てたい」とし、同フェスタで食のプロの意見を聞き、改良を加え3月中に完成させる。(山崎大和)