2012年2月12日 (日) 掲載

◎アツアツ鍋 心身ポカポカ 江差でまつり開幕

 【江差】真冬の江差をあつあつの鍋料理で元気付ける一大イベント「第12回 冬 江差 美味百彩(びみひゃくさい)なべまつり」(主催・江差観光コンベンション協会)が11日夕、本町の生涯学習センター体育館で開幕した。氷点下5度を下回る厳しい寒さの中で、大勢の来場者が、山海の幸を使った心尽くしの鍋料理に舌鼓を打っていた。

 道南伝統のゴッコ汁、クジラ汁、タラ汁、エビ汁をはじめ、約30種類のバラエティー豊かな鍋料理を1杯300円で提供。地元でも珍しいフグを使った鍋料理のほか、イノシシ鍋やシカ鍋など、野趣あふれるメニューも来場者の評判を呼んだ。同協会の打越東亜夫会長は「地場産の農水産物を活用した鍋料理はレベルアップを続けています。温かい鍋料理を味わって厳しい冬を乗り切って欲しい。12日も大勢のお客様をお待ちしています」と話していた。

 また、9月に開かれる、第50回記念江差追分全国大会のPRに向けて、江差追分会が公募したイメージキャラクター「しげっち」が、会場で初お目見えした。江戸時代に実在したとされる、とんちの名人「江差の繁次郎(しげじろう)」がモデルで、早くも来場者の人気を集めた。12日午後零時半からは、道南各地のゆるキャラ≠ニ競演するイベントも予定している。

 入場無料。午前11時〜午後2時。正午からは、道指定無形民俗文化財の「江差もちつきばやし」と、青森県むつ市の「津軽海峡海鳴り太鼓」の上演、午後1時から、地元有志によるもちつきとお汁粉のサービスも。鍋料理1杯で1回参加できる抽選会や、1回100円で参加できるジャガイモ袋詰め放題などもある。(松浦 純)



◎300人出会いに乾杯 本町地区で飲み歩き交流

 街の一角が合コン会場となる「HAKODATE街GO!コン」(ジャム函館主催)が11日夜、函館市本町地区で開かれた。若者を中心に300人が参加し、飲食店の14店舗で飲み歩きをしながら、新しい出会いを楽しんだ。

 地元企業が運営し、店や街の良さに気付いてもらおうと企画。イベントを通じて人や店が出会うことで街の活性化につなげようと、函館で初開催となるまちコン。

 同会本部で受け付けをした参加者は、指定された14店舗の飲食店に散らばった。1時間ごとに店を移動し、料理や会話をしながら合コンを満喫していた。川崎啓太代表は「店を知ってもらうきっかけとなり、地域振興につながればうれしい。5月ごろにまた開催したい」と話していた。

 参加した市内の会社員、中村武司さん(23)は「おいしい料理が食べられて出会いもある。最高です」と笑顔だった。

 まちコンは、18日に大門地区で、25日に五稜郭地区で開催する。大門地区は定員数に達したため応募を締め切ったが、別の実行委が主催する五稜郭地区は男性の参加者のみ募集している。問い合わせ先はTEL070・6601・1087(尾山さん)。(柏渕祐二)



◎業界の現状など確認 福祉職場就職説明会

 福祉職場への就職希望者らを対象とした就職説明会が11日、函館市若松町のロワジールホテル函館で開かれた。参加者は講義や職場採用者との個人面談を通して、就労へ足掛かりをつかんだ。

 市社会福祉協議会や市福祉人材バンクの主催で、今回で3回目。

 前半は道総合福祉研究所の河部輝幸所長が講演し、事前に申し込みをした約30人が聴講した。河部所長は、介護、福祉業界の現状、将来展望を解説しながら求められる人材について語り、これからさらに進む高齢化社会を支える重要な職種であることを強調。社会福祉施設や介護保険施設の種類は多種多様にあり、働く場はたくさんあるとした。

 最近の事業所や施設では社会人を中途採用する傾向にあり「考え方が柔軟で、人生の喜び、悲しみを味わった中高年者は認知症の人などに対して共感を持って接することができ、専門職養成校の新卒者に比べ求められている」と述べ、「期待を持って就職活動に臨んで」と激励した。

 後半の個人面談は市内近隣20社の採用担当者が専用のブースで待機し、来場者は興味のある施設の採用担当者と面談し仕事の内容や勤務時間などを確認した。

 福祉の仕事で再就職を目指す市内の男性(37)は「施設の求める人材を把握して就職活動に生かしたい」と話していた。(鈴木 潤)



◎社協補助金「再構築を」 函館市の事業仕分け最終回

 本年度最後の函館市「事業仕分け」が11日、市役所で開かれた。2つの班で9事業を審議し、社会福祉協議会補助金と、医療費通知事務経費の2事業を「廃止のうえ制度を再構築すべき」と判定した。1事業を「見直しが必要(廃止を含む)、6事業は「改善を図る」とした。

 最終回は外部委員14人全員が出席し、2班に分かれて審査を行った。

 市社会福祉協議会補助金(本年度予算1億3732万円)は、前回の仕分けで書類精査を理由に審議を持ち越している。今回は2006〜10年度の資金収支決算書や、昨年度の補助金内訳が示された中、直近の3年間で赤字決算を計上し、市からの補助金の約90%が人件費に充てられたことなどが判明した。

 各委員からは「福祉の現場を社協任せにしており、市の関わりが薄いのでは」「きちんと検証せず、毎年ほぼ同額の補助金を出している」「使途の内訳に関し、必要性の説明が不十分」などと厳しい指摘が上がり、制度の再構築を求める声が過半数を占めた。

 また、職員研修所要経費(同2172万円)に関し、所管の市人事課は、国や夕張市など11団体で行っている長期派遣(2年間)について、13年度から自治大学校への派遣を除き、廃止すると説明。「改善を図る」と判定された中、委員から「財政再建中の夕張への派遣は勉強になる」「職員から要望があれば、1年に短縮しても派遣の余地を残すべきでは」との意見が出ていた。

 本年度の事業仕分けでは計4回の開催で50事業、補助金25件を審議。このうち廃止判定(制度の再構築を含む)は計10件に上り、市は敬老祝い金など一部事業で、廃止や制度見直しを決めている。

 ある外部委員は「問題点を把握していない担当者もいて、問題認識を共有できずに終わったものは厳しい判定になった。廃止判定されたものは相当な覚悟を持って取り組んでほしい」と注文を付けた。別の委員は「予算と決算の中身がはっきり見えて勉強になった。受け答えや心構えなど、部署によって力量差があると感じた」と話した。(千葉卓陽)


◎「漆文化は縄文の本質」 フォーラム

 縄文時代の漆糸をテーマにしたフォーラムが11日、函館市縄文文化交流センター(臼尻町551)で開かれた。約40人が参加。専門家の講演とパネル討論で、漆文化の意義や縄文人の思いを探った。

 同センターとNPO法人三内丸山縄文発信の会(青森市)の主催。奈良文化財研究所(奈良市)の元調査部長、岡村道雄さんが基調講演し、函館市の垣ノ島遺跡で世界最古とされる9000年前の漆糸が見つかったことを紹介し「ウルシは他から持ち込まれたという説が主流だが、この地域に元から自生していた可能性が高いのでは」と指摘。祭りや晴れの衣装などに使われる漆製品の文化の始まりが、この土地からであることも示し「東北日本の縄文人が開発した漆文化・技術が日本列島内で個性的な発展を遂げたと考えられる」と説いた。

 2002年の埋文調査事務所の火災で、同遺跡出土の漆糸製品が多く失われたが、燃え残った一部から復元に取り組んだ様子も伝えた。最後に「漆文化は自然の生態を知り、自然調和を図った日本文化の基礎となった縄文文化の本質を示すもので、この土地で築かれた素晴らしい漆文化に自信を持って、世界遺産(登録へ)に弾みを」と述べた。

 国や道、地域が連携して取り組む「漆糸製品復元プロジェクト」に携わった関係者によるパネル討論も行われ、遺跡発掘調査の様子や専門機関で進められた研究内容などを事例報告。参加者は真剣にメモを取っていた。(田中陽介)