2012年2月15日 (水) 掲載

◎米掃海艦「パトリオット」函館に入港

 米海軍第7艦隊所属の掃海艦「パトリオット」(1312d)が14日午前、函館港に入港し、函館市港町2の港町ふ頭に接岸した。岸壁では函館日米協会や海上自衛隊函館基地隊のメンバーによる歓迎行事が催される一方、周辺の北ふ頭では市民団体による抗議運動も行われた。

 入港目的は「親善・友好」。乗組員85人を乗せた同艦は19日まで停泊する予定で、滞在中は海自隊員とボウリングなどのスポーツ交流や、市内船見町の外人墓地で献花する。同艦の函館港入港は2009年10月以来で、外国艦船では10年10月のロシア軍哨戒艦「アドミラル・パンテレーエフ」(6700トン)以来。

 歓迎行事では、同協会の加藤清郎副会長が「入港を心より歓迎し、市民との交流を深めてほしい」とあいさつ。同協会のメンバーから花束を贈られた艦長のスザンヌ・L・シャング少佐(32)は「今回の寄港が日米2国間の関係を深めることを期待したい」と述べた。同日午後には艦長らが函館市役所などを表敬訪問し、工藤寿樹市長が応対した。

 一方、北ふ頭(浅野町)では道平和運動フォーラムや連合函館地区連合会、安保破棄実行委など6団体合同による入港の反対集会が開かれた。参加した約80人は函館港の軍港化反対を唱え、「軍艦での友好・親善はお断り」「私たち市民の思いを踏みにじるな」などとシュプレヒコールを上げた。(森健太郎、後藤真)



◎並行在来線五稜郭—木古内 負担割合「8対2」道が提案

 北海道新幹線開業に伴い、JR北海道から経営分離される並行在来線の江差線五稜郭—木古内間(37.8)の旅客輸送に関し、鉄道維持方針を示していた道は14日、「1対1」と設定した道と沿線3市町の負担割合を撤回し「8対2」とする案を、第8回道南地域並行在来線対策協議会に提案した。沿線自治体はこの案を了承。運営形態と負担割合をめぐる道と沿線自治体の協議は事実上、決着した。

 協議会には道の高井修副知事と工藤寿樹函館市長、高谷寿峰北斗市長、大森伊佐緒木古内町長が出席。高井副知事は「熟慮の上」の提案であることを強調した。

 道はその上で、新たな負担割合を提示。8対2とした理由について、第三セクター方式で鉄道を運行する先行県の事例や、道の厳しい財政事情を考慮した結果だと説明した。他県では前例のない「折半」に対して3市町の間に強い反発と不信感が広がったことが背景にある。

 この負担割合を踏まえ、鉄道方式での30年間の累積赤字額は51億5900万円で、うち道の負担額は41億2700万円、3市町の負担額は10億3100万円と試算。開業当初から赤字経営が見込まれるため、道は「開業後一定期間が経過した後、事業形態や負担割合を再検討する」とした。

 3市町は8対2とする案を歓迎。費用は道が85%負担すべきと主張していた高谷市長は「100%とは言えないが、道の厳しい財政状況を考慮すると、市議会、市民に十分説明できる内容」と述べた。大森町長も「鉄道方式に向かっていける条件が整ってきた」、工藤市長も「道としても地域の交通を守るという強い決意を示していただいた」と評価した。

 また、高谷市長は3市町間の負担割合決定に向けて「さらに経費の圧縮、分離後の収入増も図っていかなければ。並行在来線に対する国の支援も協力を求めていく必要がある」と注文した。

 今後の焦点は2市1町の負担割合に移る。高谷市長は取材に対し、距離や駅舎数、利用客数などが算定根拠になるとし「大ざっぱに北斗市が半分くらいは負担することになるだろう。道に議論のたたき台を示してもらいたい」と述べた。仮に北斗市が50%を負担した場合、初期投資などを含めた開業10年間の負担額は約1億5000万円、年平均で1500万円となる。同市長は「市としてもおそらく負担に耐えることができる」とした。大森町長は「財政規模の違う町との協議になるので、当町の負担が少なくなれば、一緒に鉄路を守っていく方向に進む」との見解を示した。

 3市町は担当課長でつくる幹事会で負担割合を協議。道は3月の協議会で3市町の負担割合も含め方向性を決定する。(山崎大和、今井正一)



◎函館市、除雪費4000万円増額

 大雪を受け、函館市は本年度補正予算で除雪費を4000万円増額する。24日開会予定の第1回定例市議会で提案するが、近年にない積雪量を踏まえ、市は補正のほかに道路関連予算から財源を捻出する考え。当初予算で3億4000万円の除雪費は、最終的には5億6000万円程度まで膨らむ見通しだ。

 14日に開かれた市議会経済建設常任委員会(松宮健治委員長)で、市土木部が示した。

 函館海洋気象台によると、今冬の函館の累積降雪量は14日現在で329a。積雪量は同日午後5時現在で61aとなっている。

 当初予算で3億4000万円を計上していた除雪費は、1月末時点で全体の約8割を消化。このため4000万円の増額補正に加え、道路の舗装などに使う道路橋梁新設改良費の不用額8000万円を転用するほか、さらに足りない場合は維持費1億円を使う方針。

 予算が議決された場合に実際に使えるのは3月中旬となるため、他の予算から回すことで、路面の雪がわだち状に解ける「ザクザク路面」への対処や、生活道路の除雪に充てる考え。

 委員会では北原善通氏(市政クラブ)が「国道、道道と市道では、除雪後の雪の厚みが違うのでは」と指摘。同部は「除雪を行う目安が異なり、凍結防止剤散布の頻度や通行台数の大小で違いが出ている」とした上で、「天候も気温も上昇しており、ザクザク路線になる前に一定程度整理したい」と述べた。

 また、現在市内に4カ所ある市民向け雪捨て場について、新川町の雪捨て場が許容量の約8割に達していることなどから、「新たな場所の設置を検討している」とした。(千葉卓陽)



◎市内私立高校で一般入試

 函館市内の私立高校全8校で14日、2012年度の一般入試が行われた。受験生は緊張した面持ちで筆記や面接などに臨んだ。合格発表は20日。

 道学事課によるど、本年度の道内の私立校で実施されたA日程とB日程(17日から)を合わせた平均志願倍率は前年度比0・02ポイント増の3・26倍。前日の積雪による交通渋滞の影響をうけ、白函館百合学園では数名の試験時間を25分遅らせ、清尚学院は全体で15分繰り下げるなど対応に追われたが、各校とも大きな影響はなく、予定通り試験を終えた。

 このうち函館大付属柏稜高校では388人が受験。午前9時から国語、数学、英語の筆記試験が行われ、午後は面接の試験があった。テスト用紙が配られると、受験生たちは表情を引き締めて問題に取り組んでいた。受験者のうち生徒2人は、前日の積雪の影響で交通渋滞のため遅れ、試験時間を1時間遅らせて無事受験した。(平尾美陽子)