2012年2月17日 (金) 掲載

◎大雪 農業被害が拡大 ハウスなど倒壊53棟

 大雪の影響で、道南でビニールハウスなど営農施設の被害が拡大している。渡島総合振興局によると、15日現在、2市3町でハウスなど45棟(被害農家20戸)の倒壊が新たに判明。9日現在の8棟(同7戸)と合わせ今冬の被害は2市4町で計53棟(同27戸)に上る。被害農家は、あまりにも多い雪の量になすすべもなく、落胆している。

 同振興局によると、新たに判明したのは、知内町で作業納屋1棟の屋根が破損、木古内町でハウス1棟、七飯町でハウス8棟が一部破損。北斗市ではハウス30棟が半壊または全壊、畜舎用ハウス2棟が全壊。函館市でもハウス3棟が半壊または全壊した。8〜12日に激しい大雪に見舞われ、ハウスの上や側面にたまった雪の重みに耐えきれず、倒壊したとみられる。

 ハウス30棟に被害が出た北斗市では、長ネギの育苗準備やホウレンソウの収穫などに使われていた。市内村内の農家(68)は、ハウス10棟のうち1棟(約85坪)が倒壊。雪の重みに耐えらるようハウス内の中心部に支柱を3、4本立てて対策をしていたが、ネギの種をまくために支柱を外したところ、翌日に倒壊していたという。「雪下ろしや雪かきを懸命にしていたが、間に合わなかった。雪がとけたら新しいハウスを建てるしかない」とため息をつく。

 函館の積雪量は、1月20日までは平年並みだったが、その後は断続的な降雪があり、今月12日には観測史上4位となる最大79センチ(平均27センチ)に達した。特に8〜12日は1日に10a以上の大雪となり「ハウス棟数の多い農家は、除雪が間に合わなかった」(同振興局農務課)とみる。ハウス周辺には雪捨て場がなくなっており、今後まとまった雪が降ると、さらに倒壊が増える恐れがある。同課は「小まめな雪かきを心掛けて。周辺に雪捨て場がないときは、面倒でも遠くまで捨てに行ってほしい」と呼び掛ける。

 管内の近年の大雪による農業被害は、2010年12月24日からの大雪の影響で、1市5町でハウス469棟が倒壊した例がある。

 桧山振興局によると、16日現在、上ノ国町の農家2戸でハウスの一部破損を確認。農務課は「雪の重みか強風の影響か詳しい原因を調査中。パイプの老朽化の可能性もある」とする。(山崎大和)



◎大雪被害 北斗市内で公共施設損壊相次ぐ

 【北斗】北斗市内では大雪の影響により、公共施設の損壊が相次いでいる。10日に雪の重みで屋根の一部が損壊した市渡小学校(計良徳子校長、児童96人)の体育館は15日に完全に崩落。市が管理する中野通会館(中野通3)でも、同日、落雪でコンクリート製の集合煙突が倒壊し、隣接する民家の外壁を壊した。

 中野通会館は木造平屋で、15日午前5時40分ごろ、屋根の雪が高さ約4b、約40a四方の四角柱の煙突を押し倒すように落ち、根元から折れた煙突が南側に隣接する民家2階の外壁を直撃した。当時、屋根には40〜50aの積雪があったという。この家の男性(68)によると、家族3人にけがはなかったが、2階寝室のクロゼット内の内壁も押し出されるように壊れ、内部の物も飛び出したという。

 男性は「大きな音がして最初に外を見に行った時は倒れかかった状態だったが、間もなく壁に向かって倒れた」と話していた。連絡を受けた市は同日中に煙突を撤去し、男性に謝罪。市民課は「けが人が出なかったのは幸いだが、大変申し訳ないことをした」と話した。

 一方、市渡小学校では15日午前7時40分ごろ、体育館の屋根が崩落。箱館戦争ゆかりの樹齢約150年のクリの木も枝が折れる被害に遭った。枝の撤去作業中に体育館崩落を目撃した西田直教頭は「ミシミシッと音がした後にドーンと崩れ落ちた」と話した。

 同校では10日以降休止していた体育の授業を17日から市スポーツセンター(市本郷)を使用して再開。児童は市教委が手配したバスで送迎し、卒業式や入学式は公民館で対応する。体育館の建て替えについて、学校教育課は「災害認定を受けられるかを含め、道教委など関係機関と協議をしている」としている。

 また、今回の事故を受け、市教委は、市内全小中学校と管理する社会教育施設の積雪状況を確認。冬季休館中の第2市民プールでは、採光用のアクリル屋根の一部が積雪によりきしんでいたため、除雪して対応したほか、他の施設、各学校には随時、状況を確認しながら対応するよう指示している。(今井正一)



◎トマトダイエット 市内でも人気 青果店に特設コーナー

 テレビなどでトマトダイエットが紹介され、全国的に注目が集まっている。女性を中心に興味を持つ人が増え、函館市内や近郊のスーパー、青果店でも特設コーナーが設置されるなど、トマト人気が高まっている。

 トマトダイエットは、夕食と一緒にリコピンや食物繊維を多く含むトマトを食べることで、ダイエットや美肌効果が期待できるというもの。

 はこだて自由市場(新川町1)の中宮青果店では、長崎産のトマトやミニトマトなど4種類を並べている。12日ごろから売れ出すようになり、いつもより多く仕入れているという。同店は「ダイエットのために購入する人が増えている。甘みと酸味が強いスーパーフルーツトマト(3個600円)がお薦め」と呼び掛けている。

 ホクレンショップ昭和店(昭和1)は、トマトコーナーを設置。品数豊富な16種類を取りそろえ購入を促す。フルーツトマトやミニトマトも好調だが、熊本産の200〜300円のトマトが売れ筋。価格は例年の1・2倍ほどで、売れ行きも2割ほど伸びているという。青果担当の斉藤真さんは「問い合わせも多く、需要が高まっていると思う。トマトジュースなども用意しているのでぜひご来店を」と呼び掛けている。

 いせや青果(富岡1)も13日から売れ行きが伸びている。3種類あるトマトの中で愛知産のミニトマト(1パック300円)が売れ出し、仕入れの回数が3倍ほどに増えている。同店は「お年寄りの客が多いので、意識はしていないが、ダイエットブームの影響を感じる」と話している。(柏渕祐二)


◎市長に映画「海炭市叙景」DVD贈る 実行委、新作制作への意欲も

 函館を舞台に撮影された映画「海炭市叙景」(佐藤泰志原作)の実行委は16日、工藤寿樹市長に昨年11月に完成したDVDを贈った。実行委員長の菅原和博さんは「函館で新たな映画制作を始めたい」などと抱負を語った。

 菅原さんによると、次回作は同じく佐藤の小説「そこのみにて光輝く」で、今年の夏に撮り始め、来年の初夏には公開したいという。若手監督を起用し、昔の大門地区を現代的に表現することなどを構想している。

 懇談で菅原さんは、同映画の制作について「大門地区が最も輝いていた時代を現代に置き換えた映画の制作を今年の夏から始めたい。撮影期間は約1カ月で宣伝活動にも時間を費やしたい」などと述べ、工藤市長は「映画づくりを通じて函館を元気にしてください」と期待を寄せた。

 菅原さんは「市長には前向きに受け止めてもらったと思う。まだ具体的なことは何も決まっていないが、実現できるよう努めたい」と話していた。

 この日贈った映画「海炭市叙景」のDVDは、函館をモデルにした架空都市で生きる人たちを描いた作品で、2010年11月から公開され、フランスやドイツなど約10カ国でも上映された。3月にCSでの放送が決定し、地上波での放送も検討されている。(柏渕祐二)


◎修学旅行ぜひ韓国に 函館で関係者向けセミナー

 韓国観光公社主催の「2012函館韓国修学旅行セミナー」が16日、函館市大手町の函館国際ホテルで開かれた。市内の高校や旅行代理店など関係者約20人を前に、同公社東京支社の担当者が修学旅行先としての韓国の魅力をアピールした。

 市の木村拓美港湾空港振興課長はあいさつで、函館と仁川(ソウル)を結ぶ大韓航空の国際定期路線や、昨年夏の高陽市と姉妹都市提携に触れ、「国際感覚や国際的な視野を養うために、今後、函館から韓国への修学旅行需要は高まっていくはず」と述べた。

 セミナーでは同支社の洪成基次長が韓国への修学旅行の現状について、映像を交えて紹介。全国で年間約200校が訪れるなど近年人気が高まっていることや、時期が9〜11月の秋に集中し、3泊4日、4泊5日が全体の7割以上を占めることなどを説明した。

 セールスポイントとして治安が安定し、宿泊施設など受け入れ体制が整備されていることや、2時間程度で行ける近さ、日本との文化的つながりなどを挙げ、「キムチ作り体験や歴史・文化、自然、環境など多彩な学習プログラムがそろう。学校間交流で現地の学生とコミュニケーションを深めて」とPRしていた。(森健太郎)