2012年2月20日 (月) 掲載

◎カキ、ニラ求め6000人

 【知内】町特産のカキとニラを提供するイベント「しりうち味な合戦冬の陣カキVSニラまつり」が19日、町スポーツセンターと町中央公民館で開かれた。実行委によると来場者は約6000人で、多彩な創作料理を堪能したり、格安な価格で買い求めたりしていた。

 中央公民館では午前9時半からカキとニラの販売を開始。あっという間に会場の外まで長い列ができ、農業者と漁業者が総出で販売にあたった。カキは殻付き20個入りのケースを1300箱、1束100グラムのニラは2万束用意したが、どちらも飛ぶように売れていった。

 メーン会場のスポーツセンターでは、来場者が開場と同時に目当ての料理を販売するブースに向かった。「創作料理合戦」と題し、町内の飲食店や生産者団体がアイデア料理を提供。漁協や商工会の女性部員が作った五目ラーメンやカキ丼などは完売となった。また、会場の外ではカキを炭火で焼いて食べるコーナーも大人気。用意した1万2000個が来場者の胃袋に収まった。

 町の総力を挙げてカキとニラの味をアピールするイベントも今回で14回目。大野幸孝町長は「毎年これだけ多くの人に来場してもらているのは、カキとニラが知内ブランドとして認められているという証し。生産者の励みになる」と話した。

 函館市の主婦、砂原美和子さん(45)は娘2人を連れて来場。「冬に知内に来るのは我が家の恒例。カキとニラをたくさん購入した」と笑顔。小学校5年生の沙也可さんと2年生の由佳さんも「カキとニラが入ったラーメンや焼きそば、焼きガキをたくさん食べた。どれもおいしい」と話し、料理をほお張っていた。 (松宮一郎)



◎【「5・6%減」の意味(上)】行革成果も基金枯渇 

 「人口も減り、収入も減少する中で過去にない減少幅だがやむを得ない」。工藤寿樹市長は13日の会見でこう話し、まちの現状に沿った現実路線で予算編成に当たったことを強調した。旗印に掲げた行財政改革の成果が随所に見られる一方で、手持ちの現金は使い果たし、今後の市財政にとって大きな課題を残した。

 改革の一つが退職手当債の存在だ。西尾正範前市長は本年度当初予算で22億円を組んだが、工藤市長は公約通り発行額をゼロにし、財源不足額は31億円から20億円に圧縮した。その代償として、一般家庭の貯金に当たる基金は減債基金、財源調整基金合わせて20億円を取り崩し、残高は約7000万円しか残っていない。

 市財政課によると、退職手当債は新年度、25億円を借りることが可能だったという。市の退職手当債の残高は22年度決算ベースで73億円と、道内の類似都市(旭川市57億円、釧路市58億円)と比較しても多く、将来にツケを残さないための決断と評価もできる。ただ、ある市議は「地方債は利子がかかるにせよ、財政の延命策。それなら現金を残し、財政に余裕を持たせることも必要だったのでは」と疑問を投げかける。

 行財政対策全体では30億円弱を削った。中でも給料の独自削減分8億5400万円、事務事業の見直し分9億3800万円が大きなウエートを占める。だが、給与削減は当初目指した一律10%から平均5・5%へと減った上、退職手当の削減は組合との間で一致点を見いだせていない。

 初めて実施した事業仕分けの部分では、交通機関乗車料金制度の見直しと敬老祝い金の全廃で1億6700万円を浮かせ、補助金は廃止判定された教職員福利厚生事業補助金(本年度予算120万円)を全廃するなど、本年度比で3億6300万円減らした。一方で削減のあり方をめぐっては「切りやすいところを切っただけ」(ある仕分け委員)、「交通料金助成は実態調査をした上で制度を構築してほしかった」(別の市議)との声もあり、市財政課は「1年間かけて仕分けされた事業や補助金を見直していく」と課題に挙げる。

 新年度予算は形となったばかりだが、「むしろ大変なのは13年度予算」(財務部職員)とする指摘がある。新年度は「大きな建設事業が2つ終わり、その端境期」(工藤市長)だったが、13年度には函館アリーナの建設が始まり、水産・海洋総合研究センター建設費も約30億円の増額が予定されている。北海道新幹線開業を見据えた対策もまた、加速しなければならない時期へと差し掛かる。

 「土地開発基金が13億円余り残っているが、それだけでは足りない。行革の必要性はさらに増す」(財政課)と、庁内には早くも危機感が出ている。本年度末には新たな行革プランが打ち出される見通しだが、工藤市長は「市長査定に上がってこない予算を見たい」と、今夏をめどに自ら「事業仕分け」を行うことも示唆する。国や地域全体が縮小・削減への曲がり角に差し掛かった中で、取り組むべき課題はあまりにも多い。

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 一般会計で本年度6月補正時比5・6%減と、亀田市と合併した1973年度以降最大の削減幅となった函館市の2012年度予算案。工藤寿樹市長の初めての本格編成で、特徴や事業の目的、政策の達成度などを探る。 (千葉卓陽)



◎全国出場へ士気高める 7月「全道消防救助技術訓練指導会」

 札幌市で7月に行われる「第41回全道消防救助技術訓練指導会」に、函館市消防本部から2種目に7人が出場する。出場職員は「先輩たちが輝かしい成績を収めてきた大会。目標は全道、全国優勝」と語り、毎日数時間の練習と鍛錬に励んでいる。

 昨年の大会は東日本大震災の発生で中止されたが、その前の大会で同本部は、「引揚救助」で全国制覇。ほか水平に張られた20bのロープを移動し、要救助者をけん引して救助する「ロープブリッジ救出」でも全道優勝を果たした。

 今回出場するのは、「ロープブリッジ救出」に北消防署警備係から指導者の竹内佑介消防士長(28)、酒井岳さん(26)、矢幅雄二さん(24)、村上友哉さん(24)、越崎篤さん(27)。長さ8bの煙道を検索し、要救助者を救出する「ほふく救出」は同本部から約20年ぶりの出場で、東消防署警備係から指導者の福井賢治消防士長(31)、佐藤脩平さん(26)、笹谷昌広さん(22)、佐藤啓伍さん(22)が代表として技術力などを競い合う。

 昨年9月に選考会が行われ、希望者25人の中から7人が選ばれた(指導者は含めず)。当直はもちろん、非番でも最低2〜3時間の訓練を積んでおり、大会が近付く4月からは時間を増やして臨むという。

 出場者の願いは「8月の全国出場」で、最終目標は「全国制覇」。そのためには「タイムだけでなく、安全性を確認しながら一つ一つの動作を的確にこなすことが大事」とメンバー。気合と若さで目標を実現しようと、士気を高めている。(小杉貴洋)


◎ロンドン五輪代表の小西ゆかり選手がデジタル射撃の講習会

 【八雲】女子25メートルピストルでロンドン五輪代表が内定している八雲町出身の小西ゆかり選手(埼玉県ライフル射撃協会)によるデジタル射撃の講習会(八雲デジタルスポーツ射撃少年団主催)が19日、八雲町民センターで開かれた。同少年団を中心に、小学から高校までの10人が国内トップ選手の指導を受けた。その後は、はぴあ八雲(八雲町本町)で八雲町後援会主催の「小西ゆかり選手ロンドン五輪出場激励会」が開かれ、川代義夫町長ら約50人が出席した。

 デジタル射撃は実弾の代わりに赤外線レーザー光線を使い標的を狙う競技。銃の規制が厳しい日本で射撃競技を普及させるため、日本ライフル協会が開発した。八雲町では小西選手が2004年アテネ五輪の出場をきっかけに、全国初の射撃少年団である「八雲デジタルスポーツ射撃少年団」を2005年に結成。奥田有香さん(札幌光星高3年)が八雲中3年時に全国大会で優勝を飾るなど輝かしい実績を残している。

 講習会では小西選手がジュニア選手を相手に実践を交えて熱心に指導を行った。参加した木村洸君(雲石小6年)は「教えてもらった通り、打つ瞬間に標的を見ずに引き金を引いたらうまくいった。これからの練習にも生かしていきたい」と満足げ。一昨年の全国大会で中学1年ながら、一般の選手を相手に8位の好成績を残した足立利佐子さん(八雲中2年)は「打つときに呼吸を整える方法を教わった。もっと上達して今年の全国大会では優勝したい」と目標を掲げた。

 その後、小西選手は参加者に対して競技者としての心構えやトレーニング方法などを指導。「点数やライバルを気にせず、自分が練習してきたことをしっかり出し切ることが大事」とジュニア選手たちにアドバイスを送った。

 小西選手は八雲高を卒業後に自衛官となり、配属された東千歳駐屯地で射撃の才能を見いだされ、2000年に自衛隊体育学校に入校。2004年にアジア選手権4位に入賞し、アテネ五輪出場を果たした。その後は結婚を機に自衛隊を退職したが、射撃競技を続け2010年にドイツで行われた世界選手権で4位に入り、ロンドン五輪の代表に内定した。 今後は3月からヨーロッパで合宿を行い、五輪に備える。小西選手は「ロンドンは最後のチャンスと思っている。支援してくれている町の方たちのためにもメダルを取って恩返しをしたい」と意気込みを語っていた。 (金子真人)


◎認知症わかりやすく 介護劇で行動例紹介

 【北斗】劇や専門家の講演で知識を深める「北斗市認知症市民セミナー」が18日、市総合文化センターで開かれた。約160人が来場し、認知症の特徴や予防法、患者への対応を学んだ。

 各種講座で認知症の理解、予防などの啓発に取り組む「北斗市キャラバンメイト・ネットワーク」(清水修一代表)と同市などの共催。開会で清水代表は「認知症の人が安心して暮らせるまちづくりを目指し、地域ぐるみで継続した協力をお願いしたい」とあいさつした。

 介護劇は、同ネットワークメンバーがスーパーでの買い物を設定し、認知症の具体的な行動を紹介。物忘れや理解、判断力など生活する上で支障を来す様子を取り上げ、「症状を理解し、手助けすることが大事。患者の自尊心を傷つけず、家族と店側などの連携も必要、その中で患者本人ができることが増えてくるはず」と提言した。

 講演では市立函館病院の丸尾泰則医療部長が、認知症の基礎知識を説明した。具体的な症状に、数秒前の記憶がない、作り話や言い訳をするなどを挙げ、「高齢化に伴い、認知症患者が増えている。身近なものとしてとらえ、周りの正しい理解が重要」と強調。認知症を防ぐために生活習慣病の予防と治療、定期的な運動などが効果的とし、「症状を治す決定的な薬などはないが、一時的な改善、認知機能の低下を遅らせることはできる」と訴えた。 (田中陽介)