2012年2月23日 (木) 掲載

◎ものづくり大賞 優秀賞にコーノ 世界初 輻射熱利用の暖房機開発

 暖房機器製造・販売のコーノ(函館市西桔梗町、阿部俊夫社長)が、第4回ものづくり大賞(経済産業省など主催)で優秀賞を受賞した。真空のパネル内部に発生させた蒸気の輻射(ふくしゃ)熱で温める暖房機で、自然対流型で効率的な暖房が可能。世界初の技術で、阿部社長は「既存の概念にとらわれない開発姿勢が評価された」とする。

 ものづくり大賞は、製造・生産現場の中核を担う人材や、伝統・文化的な技を支える熟練職人、今後を担う若手人材など、ものづくりに携わる優秀な人材を表彰する。今回は内閣総理大臣賞が19件(76人)、経済産業大臣賞・特別賞が19件(137人)、同・優秀賞が70件(322人)。同社への表彰式は28日に札幌市で行われ、道南からの受賞は同社のみ。

 同社は1979年に創業し、札幌やせたな町に営業所などを持つ。年間の売上高は約3億3000万円(11年9月期)。

 受賞対象となったのは「ヒートサイフォンの技術を利用した熱源内蔵FF式真空パネル暖房機(HPH)の開発」。長くボイラーや暖房器具の販売代理業務を行った経験を生かし、2000年から技術開発に取り組み、09年に製品化した。製品・技術開発部門での受賞で、受賞者には開発に携わった函館地域産業振興財団などの職員も含まれる。

 同暖房機の特徴は、輻射熱で穏やかに空間を温めるため、ほこりが舞い上がらず快適性が高い。省エネルギーや耐久性も高いといい、これまでに道内の学校や地方自治体の役場などに約400台の納入実績がある。1台当たりの価格は40〜60万円。同社は今後生産量を増やし、年間の販売数400台を目指す考え。(斎藤まや)



◎本町のビル2棟 暴力団排除宣言 函館中央署などが指定

 函館中央地区暴力追放運動推進協議会(中野豊会長)と函館中央署が、函館市本町地区の「第1LCビル」(本町17、28店舗)と「ニューピアザビル」(本町1、5店舗)を「暴力団排除宣言ビル」に指定した。これを受け22日、関係者約40人が同署に集まり宣言式を実施した。

 暴力団構成員がみかじめ料を要求する恐喝未遂事件が昨年5月にあり、被害を受けた北斗市のビルが暴力団排除宣言ビルに指定された。全道では今回の2棟を含め13棟、同署管内では3棟となる。また「北海道暴力団の排除の推進に関する条例」施行に伴い、函館市と同署、函館西署は市の発注する契約から暴力団等を排除する旨の合意署を締結。反社会的勢力の弱体化を進めている。

 宣言式で中野会長は「この機運が本町地区、ひいては道南の安心・安全の礎となることを期待する」とあいさつ。第1LCを運営するリンクルの高木浩運函館営業所長(40)とニューピアザのテナントを代表して太田等さん(46)が、藤田裕二署長に「不当行為を恐れず速やかに関係機関に通報する」などが記された宣言書を手渡した。

 その後、ビル2棟に出向き標章を掲示した。高木所長は「お客さまに安心して楽しんでもらえるように努力していきたい」、太田さんも「官民が一体となり、排除機運が高まってくれれば」と期待を込めた。(小杉貴洋)



◎陣川あさひ町会「コミュニティーバス」月2500円 定期券発行へ

 函館市陣川町の陣川あさひ町会(西川孝一会長)が、4月1日から独自に試験運行する「コミュニティーバス」の概要が固まった。月額2500円の専用定期券と3000円の回数券を販売し、住民に購入してもらうことで、行政に頼らずバス運行に必要な経費を賄う。来年3月までの1年間運行し、3カ月ごとに運行継続を協議していく。

 22日に函館市役所で開かれた市生活交通協議会で、市が運行案を報告した。

 陣川地区は美原、神山などの市街地から2`以上離れており、自動車など「足」を持たない世帯にとっては買い物も困難な地域。同町会は1996年から学校が遠い児童・生徒のために保護者が自主的に通学バスを運行してきたが、一昨年の住民アンケートで約75%の住民が町会独自のバス運行に賛同したことを受け、町会が市や函館バスと協議を重ねてきた。

 コミュニティーバスは函館バスに運行業務を委託、平日に1日7便、土・日・祝日に3便運行し、美原、昭和地区の公共施設や商業施設、病院などを約40分で回る。月額2500円の定期券と、15枚つづり3000円の回数券(有効期限2カ月)を購入して利用できる。現金での利用は「1日やひと月あたりの収支が見えづらい」(市企画部)として行わず、定期券を無記名式とし、家族の誰でも使えるのが大きな特徴。定期券と回数券は同地区のコンビニ2カ所と町会館、函館バスで販売する。

 同町会では昨年暮れにも住民から記名式のアンケートを取り、定期券購入予定者などを把握している。この日の協議会で、事務局の市は「定期券が200〜230枚売れると1カ月運行できる」との見通しを示すとともに、中学生の利用拡大も検討している。

 同町会は25日に会合を開いて住民に説明する。同町会青少年育成部長の上野山隆一さんは「住民から意見を聴き、大きな問題がなければ実験に移りたい。時間帯の設定など走ってみなければ分からない面もあり、アンケートを取りながら、3カ月に1回点検を行いたい」と話している。(千葉卓陽)


◎沿線自治体の負担割合 複数の要素を勘案 北斗市議会並行在来線特別委

 【北斗】市議会の並行在来線問題調査特別委員会(寺沢十郎委員長)が22日、開かれた。JR江差線木古内—五稜郭間(38キロ)の沿線自治体間の費用負担割合について、市は「先行県では人口割や延長距離などさまざまな配分割合で算定している」とし、同区間の路線距離や利用者数など複数の要素を勘案して議論を進たい考えを示した。

 14日の道南地域並行在来線対策協議会では、第3セクターの鉄道運営経費を、道が8割、函館市、北斗市、木古内町を2割とする負担割合を提示。今後、3市町間の割合が本年度中に決定される見通しだが、高谷寿峰市長は「北斗が半分くらいは負担しなくては」との見解を示している。

 市によると、第3セクター方式で鉄道を運営する先行県(4社5県)は、いずれも各構成自治体の負担割合に人口割を採用。さらに均等割や距離割、新幹線駅の所在地など、複数の要素、項目で算定している事例もある。

 市内には、12駅中7駅があり、路線距離は23・4キロ。2015年度の推定利用者数も函館27万7000人、木古内9万6000人に対し、北斗は84万人と多い。人口比率を除けば、いずれの算定根拠でも市の割合が高くなる見通しから、市は「北斗の負担が50%を下回ることはないと試算している」とし、他県の事例を参考に議論を進めたい考えを示した。

 この日の委員会で、山本正宏副委員長は「道との負担割合の『8対2』を導いた市の努力は評価したい。函館、木古内それぞれの主張もあるが、基本的に財政が厳しい状況にあるのは一緒。拙速な議論を避け、慎重に臨んでいただきたい」と述べた。また、寺沢委員長は沿線自治体間の議論に道の積極的な関与を求めた。(今井正一)