2012年2月25日 (土) 掲載

◎市民ら青森の味満喫 「屋台横丁」盛況

 青森市内の飲食店などが函館で出店する「青森屋台横丁inはこだて」(青森中心市街地活性化協議会主催)が24日、函館市松風町6の空き店舗(旧カメラのニセコ)で始まった。人気上昇中の味噌カレー牛乳ラーメンをはじめ、居酒屋など4店が自慢のメニューを提供した。25日まで。

 道新幹線の開業を見据え、青函の連携強化と地域経済活性化を目標に、食を活用した事業を青函合同で開催している。青森からは初めての出店。

 会場には開始と同時に多くの市民らが訪れ、はしご酒や買い物を楽しんだ。来店者が途切れなかったのはラーメン店で、一風変わった味を楽しんでいた。青森商業高校の生徒は、青函連携を目的に考案した農水産物が入ったかまぼこを販売。函館大学の学生が手伝った。同高校の工藤友基君は「反応が良く、ホタテ入りが一番売れている。少しでも青函活性化の手伝いをしたい」と話していた。

 来店者はこの日同時開催の大門バルと合わせて参加した人もいた。友人と参加した大学生の女性(23)は「出身が青森なので懐かしい」と喜んでいた。25日は午前11時から午後7時まで。(斎藤まや)



◎「強い信念で市政運営」工藤市長が執行方針

 函館市議会の第1回定例会が24日開会し、工藤寿樹市長が市政執行方針演説を行った。経済再生と財政再建を最優先課題に掲げ、「郷土函館の揺るぎない発展の礎を築き上げるべく、強い信念のもと、全力で市政運営に臨む」と表明。経済、福祉、教育など主要施策に道筋をつけ、本格的なまちづくりの年への意気込みを示した。

 函館の将来像として、本年度に引き続き▽躍動する経済都市▽日本一の福祉都市▽子どもたちと若者の未来を拓(ひら)くまち▽ガーデンシティ—の4点を挙げ、「人が輝き まちが輝く 交流都市 はこだて」の実現を目指す考えを提示した。

 また、工藤市長は演説の中で「市民」という言葉を30回以上使い、市民の参画や市民主体のまちづくりの必要性を強調。基本姿勢に「過去にとらわれない清新な市政」の実現や「市民と苦楽を共にする市役所づくり」も打ち出し、「協働」の理念に理解を求めた。

 主要施策では「経済の再生なくして函館の復活はあり得ない」と力説し、コンパクトなまちづくりを明言。JR函館駅前・大門地区から本町・五稜郭地区を対象とした「中心市街地活性化基本計画」の策定や、WAKOビルの再開発事業の促進、駅前市有地の民間集客施設の事業公募などを挙げた。

 子ども医療費の助成対象を小学生から中学生に引き上げることや、地元の農水産品の学校給食への活用、「子ども未来部」の新設など子どもに関する施策も拡充。函館アリーナの実施設計の着手や旧北高跡地のグラウンド整備などスポーツ振興にも触れた。

 東日本大震災を受け、耐震診断を行っていないすべての学校の耐震診断を実施するほか、海沿い地域の海抜表示板の設置など防災対策にも力を入れる方針。弁天地区で「国際水産・海洋総合研究センター」の建設に着手するほか、フェリーの大間航路の運航支援も表明した。

 また、市教委の山本真也教育長も教育行政執行方針を説明。「人生の各段階において多様な目的をもって学ぶことができる生涯学習の充実に努める」と決意を示し、学校教育については「知・徳・体をバランスよく育むことができるよう、地域と一体となった学校づくりを推進する」と述べた。

 具体施策として、ハーフマラソン大会の定員拡充に加え「フルマラソン大会の検討に取り組む」としたほか、史跡垣ノ島遺跡の公有化を進める考え。学校教育では、子どもに自主的な学習の場を提供するアフタースクールの開設などによる学力向上の推進や、姉妹都市提携した韓国・高陽市との交流事業を挙げた。(森健太郎)



◎来年3月まで支援継続 市が東日本大震災対応で

 函館市は24日、今年3月末までとしていた東日本大震災の被災者への支援対応を、来年3月末まで継続すると発表した。現在でも200人を超える避難者がいることから、支援を継続する必要があると判断した。

 市は昨年4月1日に「東日本大震災復興支援本部」を総務部内に設置。専従職員を2人配置し、避難相談や住宅、寝具、家電の提供に関する相談業務をはじめ、民間団体への支援活動を行っている。

 震災による函館市への避難者は22日現在で215人(岩手県15人、宮城県51人、福島県129人、その他20人)いる。ピーク時の224人(昨年8月17日)からは減少しているが、市総務部は避難者に対する情報提供や日常生活相談を継続する必要があることや、福島第一原発の事故の収束が見えず公営住宅の無償での入居期間を来年3月末まで延長したことなどを受けて、継続を決めた。

 4月からは名称を「東日本大震災被災者支援本部」に改める。同部は「今まで行ってきた支援内容を変えることなく、継続していきたい」と話している。(千葉卓陽)


◎民間で独立経営へ スイーツアンテナショップ

 道南の和洋菓子メーカー6社でつくる「函館スイーツの会」(佐々木博史会長)のアンテナショップ(函館市松風町)が3月末で閉店し、4月中旬からJR函館駅前のロワジールホテル函館(若松町14)に併設するビル1階に移転する。開店から3年間の国の交付金が終了するのに伴い、新会社を立ち上げて民営で事業を継続させる。

 アンテナショップは国の緊急雇用対策事業を活用し、2009年6月にオープン。統一ブランドで函館の菓子の知名度を上げようと、同会が地元の食材を使った商品を「函館スイーツ」に認定。統一テーマの最中や、各店の定番ではない新商品を開発、販売してきた。

 運営費の大半は国が新規雇用につながる自治体の事業を補助する交付金(総額6800万円)で賄ってきたが、3月末で打ち切りとなる。「ようやく認知されてきた函館スイーツの灯を消してはならない」と、佐々木会長が函館スイーツの会にちなんだ新会社「HSK」を設立し、民間による独立事業化にこぎ着けた。

 新店舗は駅前から函館朝市に通じる道路沿いにある「函館ツインタワービル」1階で、現在は休憩所として利用されている空きスペース。広さは現在の店舗より小さい43平方メートルだが、店内に10席ほどの飲食スペースを設け、これまで手薄だった生ケーキを中心に焼き菓子など50点程度が並ぶ予定。

 一方、市経済部によると、アンテナショップの売り上げは物産展への出品なども含め、1年目は約1600万円、2年目は約950万円、3年目は1月末現在で約650万円と苦戦が続く。佐々木会長は「売り上げは店で4割、外で6割を目指したい」と話し、今後は新幹線開業を見据え、北関東や東北のほか、東アジアなど国内外への販路拡大をにらむ。

 総事業費は年間約2000万円で、同会に加盟する数社で負担する。年商8000万円が目標で、同会以外の菓子店の商品取り扱いも検討している。近くスタッフ4人を新規採用する予定。市商業振興課は「駅前・大門の活性化につなげ、全国にPRできる函館スイーツの発信拠点になってほしい」と期待している。(森健太郎)


◎「お助け・迷子ベル」で復興支援

 【木古内】住民の安全を守る商品を開発する、かとう時計店(木古内町、加藤幸矢店長)は、2008年に取得した防災グッズの特許技術(知的財産権)を生かし、新年度早々にも東北復興支援に乗り出す。宮城県内の企業が同店の代表作「お助け・迷子ベル」に着目。近く技術協力の提携を結び、関連品の大量生産や技術研究の充実を目指す。加藤店長は「これまで培ってきた技術で少しでも東北の皆さんの支えになれれば」と意気込んでいる。

 東日本大震災で津波被害に遭った、同県多賀城市の総合商社「リーセル」(石毛守社長)が同店の防災グッズに着目し、関係者が協議を重ねている。

 同店の「—ベル」は再利用のペットボトルに音楽機器を組み込み、キャップを閉める度に大音量のメロディーがアトランダムに流れる仕組み。20年ほど前から加藤店長が試行錯誤を重ねて開発した。医薬品や食料を備える空間のほか、ライトやラジオ付きもあり、道南では山菜採りのクマ除け、独居老人宅における緊急時のサイレンなどとして重宝されている。

 加藤店長は「このベルは顧客と意見交換しながら試行錯誤で研究してきた。道南とかかわりの深い東北の復興のためにも、この技術協力を円滑に進めたい」と話し、リーセルの担当者も「加藤店長の技術協力を復興の原動力とし、日々の防災に役立つものを手掛けていきたい」としている。(田中陽介)